- Amazon.co.jp ・本 (135ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344903364
感想・レビュー・書評
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入門書と侮るなかれ。この本はたいした優れものである。
ルネッサンス以降400年大きく変わらなかった絵画の世界が変わったのは、古典絵画を代表するアングルに対抗して出てきたロマン主義からであり、ここから近代絵画が始まったといえる。そこから目に見える形を追い求めたのが、写実主義、印象主義、新印象主義、ポスト印象主義、キュビズム、抽象主義、ダダイズム、コンセプチュアル・アートという流れとなり、目に見えない形を追い求めたのが、象徴主義、ポスト印象主義、フォーヴィズム、表現主義、シュルレアリスム、抽象表現主義という流れとなっていく。山田五郎氏は、派ごと、絵画一枚ごとに明晰な言葉で解説をしていく。その歯切れの良さには惚れ惚れする。この一冊で近代絵画の筋道だった概要は確実に把握できる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「リンゴでパリを驚かせてみたい。」
byポール・セザンヌ
みなさんは『アート』と聞いてどんな言葉が浮かびますか。
「モナ・リザ? ピカソ? ゴッホ? 印象派?
モネ? ルノワール?」
「西洋絵画の王道のダヴィッドやアングルは外せないだろう。」
「そもそもアートって聞いてもよく分かんないんで、大丈夫です。」
なるほど。みなさんの意見は分かりました。
それを踏まえた上で、一言だけ言わせてください。
「意外と人間臭くて、めちゃめちゃカッコイイ!
お時間が許すなら、少し寄り道して、見ていきませんか?
後悔はさせませんよ。初心者大歓迎、近代アート美術館へようこそ。」
<紹介>
この本は、西洋絵画がもっとも変化していった1800年代~1900年代の
『西洋絵画史でいちばんおもしろい100年間』(本文引用)のアートに触れる入門書です。
一度は聞いたことがあるでしょうか。
印象派、モネ、ルノワール、ピカソ、ゴッホ、ムンク
そんな画家たちの新しい表現方法を獲得していく格闘の物語と、
情熱が込められた作品たちに出合うことができます。
<感想>
近代絵画史の大きなテーマは「キリスト教や神話、金持ちのための絵画に対する抵抗から生まれた小さき者たちの逆襲」と「市民、自然、そして画家の内なるものを表現しようとする情熱」だと思います。
時を遡れば、ルネサンス(1400年代)で西洋絵画の古典が確立し、絵画といえば聖書を題材としたキリスト教普及のための作品や美しい肉体をもつ神々の姿を描くことでした。
そこから400年間は、描かれるテーマは変わらず、
聖書や神々の姿を繰り返し描き、
教科書通りの絵を描く者が評価を得ました。
その古典的な絵画への対抗として立ち上がった
【ロマン主義】(1800年代)から、近代絵画の歴史が始まります。
それまでは描く価値のないとされてきた、
同時代の「市民」「人間自身」「自然」を
テーマに描くことで、従来の権力に刃を向けました。
ここから急速に、絵に描く対象、絵の技法、
絵に込められた画家の思いや表現に革命が起き、
100年間で『西洋絵画』は『現代アート』へと変貌をとげていきます。
それがまさに本書が取り上げる激動の100年です!
近代絵画の大きな流れは2つ。
一つは、同時代の現実や自然(目に見える形)を描いたもの
【写実主義】【印象主義】【新印象主義】【ポスト印象主義】【キュビスム】【抽象主義】【ダダイスム】という流れをつくり、絵画的技法の発展も遂げながら進んでいきます。
もう一つの流れは、作者個人の内面(また、目に見えない概念)を描いたもの
【象徴主義】【ポスト印象主義】【フォーヴィスム】【表現主義】【シュルレアリスム】などの人間の内面をえぐるような苦悩の歴史ともいえる発展へとつながります。
この本の良いところは、小難しいそれぞれの主義の絵画を、
簡潔で軽快な説明による架け橋で
アート入門者へつなげてくれる点だと思います。
当時の画家たちの思いを知りながら、
素直に絵に触れて、ちょっと心が動かされる。
そんな日常から離れた芸術の世界への
ちょっとした寄り道として、
気軽に読んでみてはいかがでしょうか。
きっと、寄り道から帰って来たら、
同じ風景でも違って見えますよ。
『リンゴで人々を感動させる』
芸術家たちの情熱に触れたあとでは。
<おすすめの人>
・アートってよくわからないけど、有名な画家の名前くらいなら知ってる!
・絵画の○○主義ってよくわからないけど、少しでも人に説明できたらカッコイイと思う。
・次に美術館に行くときは、もっと楽しめるようになっておきたい!
・原田マハのアート文学が3倍おもしろくなる。 -
◯高校の美術以来、全く触れてこなかった中で読んでみたが、なかなか面白かった。近現代の美術誌の流れが理解できる。
◯入門とはいえ美術の本なので、当たり前ではあるが、絵がたくさん掲載してあるので、読んでて楽しい。好きな絵、画家が見つかる。
◯学生時代はなんだかよく分からないと思っていた絵には、歴史的な意味があり、表現者の思想や意図が緻密に表れていると思うと、大変面白い。なにより、ただ視覚的に好きだと思っても良い自由さも、美術の歴史の中で認められているという点が新鮮であったら、
◯もっと突っ込んで勉強したくなる、興味をそそる一冊。 -
「出没!アド街ック天国」(テレビ東京系列)など、多くのバラエティ番組で活躍する著者。
軽妙かつ的確なコメントは、本著でも存分に発揮されている。
「西洋絵画でいちばん面白い100年間」(「はじめに」より)を11のカテゴリーに分け、その中心人物や代表的作品を、わかりやすい視点で語っていく。
ロマン主義の代表・ドラクロワは「19世紀の会長・島耕作」--若い頃は反体制派だったが、革新政権に乗じてちゃっかり大出世したから。
写実主義の代表・クールベは「19世紀の荒木経惟」(アラーキ-)ーー巨匠と讃えられる腕がありながら、あえてありのままを描いて顰蹙を買う道を選んだ無頼派。
ポスト印象主義の代表・セザンヌは「19世紀の蛭子能収」ーー不遇時代を経て「ヘタウマ」漫画が若い世代に再評価され、「天然」キャラで常識を覆した先駆者。
キュビズムの代表・ピカソは「19世紀のビートたけし」ーー古典的漫才の名手でありながらあえて素人臭い笑いも狙い、映画も撮る。自分で自分の殻を壊し続ける先駆者。
芸術は本来、すべての人に開かれたもの。
人間味丸出しの本書との出会いで、アートがより身近になった。 -
詳細は、こちらをご覧ください
あとりえ「パ・そ・ぼ」の本棚とノート
→ http://pasobo2010.blog.fc2.com/blog-entry-1330.html
知識ゼロから なので 安心して 読めますね。
豊富な絵とわかりやすい解説。
各章に描かれた人物相関図が、特に役に立ちます。 -
絵の変化を時代ごとに紹介しているので
どのように絵の形が変化していったかが分かりやすかった。
作家同士の関係性も分かりやすかった。
モンドリアンのあの絵は木を抽象化した物だった。
いきなり見せらたら、木だとは思わないだろう。
構成(コンポジション)作品は何度見ても
良さがわからない。 -
メアリー・カサット
青い肘掛け椅子の少女
ワシントンナショナルギャラリー
1878
カイユボット
床を削る人々
オルセー
1875
ルノワール
すわるジョルジェット・シャルパンティエ嬢
ブリヂストン美術館(アーティゾン?)
1876 -
基本のきのレベル。
納得することがたくさんありました。 -
図書館でパラパラ。流れがわかりやすい。
先日、スイス プチ=パレ美術館展にいったとこなので、印象派以降に付いての復習するのにちょうどよかった。 -
S図書館
人物相関図がよい
メアリーカサット「 青い肘掛け椅子の少女」が見たい National gallery washington