- Amazon.co.jp ・本 (230ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344980112
作品紹介・あらすじ
東京のインテリジェンス市場は今、沸き立っている。北の独裁国家が核実験に踏み切ったのを機に、情報大国は第一級のインテリジェンス・オフィサーを日本に送りこんでいる。彼らの接触リストのトップには本書の著者名が常にある。情勢の見立てを誤ったことも、機密を漏らしたこともないからだ。極東発のインテリジェンスは対日戦略の骨格となる。武器なき戦いの幕はあがった。情報大国ニッポンの誕生に向けた驚愕のインテリジェンス入門書。
感想・レビュー・書評
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未知の世界といえましょう。
政治の裏側では多くの情報が取り交わされ、
時にそれは外交上でのターニングポイントと
なるということ。
本当に外交に関しては
そういった情報作戦が重要なのに
どうやら日本は乗り遅れてしまっています。
それが今現在のさまざまな対応の
遅れにつながっているように思えてなりません。
この世界に関しては
遠い世界(私たちにとっては)なので
あまり得ることはないですが
一部文章、得られた情報を鵜呑みにしてはいけない。
それに関しては日常では役に立つと思います。
今は情報が錯綜する時代。
私たちも何かと惑わされないように
せねばならないのかもしれませんね。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
2006年11月30日初版1ヶ月以内に4刷発行の新書である。
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NHKKの元ワシントン支局長の手嶋龍一氏と、鈴木宗男事件に絡んで
逮捕され外務省を退職した元外交官・佐藤優氏の対談をまとめた書。
このふたりの対談なら勿論、テーマは「インテリジェンス」。インテリジェンス
と言えば、即、スパイと頭に浮かんでしまうのだがスパイ合戦ではなく、
外交における情報戦を語っている。
手嶋氏は報道の現場で、佐藤氏は外交官として。それぞれに最前線で
日本を取り巻く国々の情報戦を体験して来たことがベースになっている
のでインテリジェンス入門としても分かりやすい。
特に佐藤氏が外務省での体験や先輩外交官の功罪を語っている部分が
面白いわ。これは外務省を離れているから語れることなのだろうけれど。
小泉政権時代の「平壌宣言」なんて糞味噌だったわ。北朝鮮との間での
拉致被害者問題が何故、現在でも解決されないかの原因がこの宣言に
あるような気がして来たわ。
本書は2007年の発行なのでお二方は安倍政権にかなり期待していたよう
だ。対談のなかでも日本版NSCの必要性も語られているのだが、実際の
稼働はどうなんだろうね。
ISによる邦人拘束事件で現地対策本部をヨルダンに置いたってだけで、
やっぱり現在の日本は嬢情報戦にはからっきし弱いんじゃないかと
思っているんだが…。
でも、以前は日本にも優れた外交官がいたとの佐藤氏の話はよかった
な。何故、それが現在でも維持できななかったのか。政治家と一緒で、
外交官も人材不足なんだろうか。それとも育成が出来てないんだろうか。
新書だし、ふたりが繰り出すエピソードはそれぞれに興味深くて面白い
のだが、全編通してお互いに「よいしょ」しあっているのが少々気持ち
悪かったわ。 -
順番は逆になりましたが手嶋龍一佐藤優の三部作を読み終わりました。
「インテリジェンス」は同じ「情報」という訳語でも「インフォメーション」とは違います。
分析しないただのインフォメーションでは役に立たないんですよね。
これは何も外交の世界だけの話ではありません。
我が社でも情報をいかに仕入れていかに分析するか。
これができるかできないかで今後の道筋が変わるというものです。
僕も今までのように地べたで孤軍奮闘するだけではなくこれからはインテリジェンスが必要になりそうです。
まあとりあえずは情報収集ですね。 -
『憂国のラスプーチン』こと佐藤優氏と、NHKワシントン特派員を経験し、退職後小説家・外交ジャーナリストとして活躍中の手嶋龍一氏の2人による『インテリジェンスとは何か?』というテーマで語られる入門書。
かつて、外務省きっての辣腕情報分析官であり、現在は作家の佐藤優氏とと元NHKのワシントン支局長で、同じく現在では作家として活躍されている、手嶋龍一氏による『インテリジェンスとは何か』ということを知るための入門書であり、画期的な対談本であります。
NHKと外務省。組織名称は違えど、彼らいわく『獣道』を歩いてきただけあって、その虚虚実実、丁々発止のやり取りは本当に読んでいて面白かったです。ここで言う『インテリジェンス』という言葉ので意義付けは『国家間の外交でのイニシアティブを取るための、そして他国の自国への脅威から身を守るための“情報戦”に必要不可欠な武器』であるとされます。
世界的なインテリジェンスの動向に対して、日本ではどうしてもその辺が後手後手に回っているような気がいたしますが、佐藤氏に言わせると
「日本のインテリジェンス能力の潜在地は高い」
だそうで、混迷を深める今だからこそ、それが「正しい」形で実行されることを願ってやみません。
話を本題に戻すと、ここで二人が扱っているゾルゲ事件に始まって、イギリス旅客機テロ計画阻止、チェチェン紛争、湾岸戦争と世界が動いている裏ではいったい何が行われているのかということが語られており、こういった奥深さもさることながら、軍事力の強いアメリカではインテリジェンスが育ちにくいことやロシアのプーチンとイスラエルの蜜月状態などの衝撃的なことも語られております。
日本に情報機関が設置されるという話になると、ヒステリックな反応を示す方が多いとは思われますが、世界的な『水面下の戦い』の中で日本だけが「ポヤ~ッ」としているわけにはますますいかなくなっているというのは、もはや言うまでもないでしょう。『謀略は誠なり』戦前の陸軍中の学校の この言葉を体現するこの二人に、乾杯。 -
腹の底を明かさないような智者達のインテリジェンスに関する2005年頃の対談。佐藤先生は人材の育成の重要さを提言されていましたが現状の日本はどうなっているのでしょう。
手塚先生のノンフィクションのようにリアルなフィクション作品とうそくさいけどノンフィクションな佐藤先生の著作が気になりました。 -
佐藤優氏の解説は成る程と言うものが多く、一般的なニュース解説のアンチテーゼとして参考になる。
この本を見ると先日の北朝鮮のミサイル実験に対する政府の対応はお粗末だし、外務省も同様だ。
インテリジェンスは公開情報の再整理で98%が得られ、東京で北朝鮮情報の80%が得られるという。 -
情報の扱い方を個人レベルで応用出来ればいいと思う。
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「嘘のような本当」と「本当のような嘘」
情報分析のプロフェッショナル2人による対談。
はじめに、この本に書かれていることはどこまでが本当で、どこからが嘘か分かりませんよ、という趣旨のことが言われる。
積極的に嘘を混ぜることも厭わないし、些細なところで貴重な真実が述べられていたりする。
インテリジェンス、というと敵地の単身乗り込み、機密情報を入手するスパイの姿が思い浮かぶ。
けれど、本書で述べられているのは、そんな単純な話ではなく、それぞれの思惑とさじ加減の中から頭と行動を存分に発揮しながら真実を探し当てていく姿だった。
情報は断片で掴んでも、それを再構築し、現実の事象を浮かび上げていく。
また、両者とも日本のインテリジェンス機関を憂いていて、今の縄張り争いから国益を考えて行動できる人がどれだけいるか。そして、そのような人を育てることが出来るか、ということに強い関心を持っていた。実際に戦争で国力を決する前に、情報の使い方一つで如何様にも戦争を未然に防ぎ、また相手方の有利にたてるかが分かる。
平時のインテリジェンスの有用性を理解し、実行していく。
本当、要は頭の使い方次第。 -
2006年に刊行されたものであるため、現在としては政権構造も社会情勢も変わっているため、時事情報の新書というよりも外交上の超近現代史という意味合いになる書籍であると思う。
インテリジェンスとは、各国間の超高度重要事項情報の取り扱い能力であると仮定するならば、非常に興味深く意味深い概念と内容である。しかし、冷静に考えると国際的な通行上のマターが国内の情勢に対して劇的に与えてきているかどうかは実証的なものではないと思う。本書では外交のプロが語っており、わかる人にだけわかる的な内容で語られている。これは、ある一定の職業は重要だと感じることが社会に対して非常に重要だとが思ってはいても、その実たの領域ではそんなに重要ではなかったということと同意にもなりえるのではないかと、斜めに見た感想では感じた。