- Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344981294
感想・レビュー・書評
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石原慎太郎のような、無意識過剰な人間に自分を語らせると、自己顕示欲が全面に出てしまいエグみが強い。
だが、ひとたび愛を通せば、それはとても強度の高い語りになる。
その意味で、この企画は慎太郎作の中でも、かなり不愉快さがなく読める(もちろん、そこかしこに無理やりこじつけたように自分の話が出てくるのだが、ご愛嬌レベル。むしろかわいい)。
もともと、自分は慎太郎のまっすぐな肉体性は嫌いではないからなおさらかもしれないが、人々との思い出を通して沸き立つ香り、のようなものがとても美しい。
自己顕示欲が強い人間は、他人への愛を語らせろ。
この本からの一番の学び。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史上の人物であげられている織田信長や大久保利通などは、峻烈果断な行動力を持つといった点でいかにも政治家としての著者が好みそうなので、そういう意味では新鮮さは無かったが、
小林秀雄、岡本太郎らをはじめとする実際に親交のあった人物への評価というか思い出は一般の人物伝とは違う距離感で面白かった。
しかし、世に出る人間の交友関係とはすごいもんだな… -
この本では石原慎太郎が好きな日本人として、歴史上の人物から無名な人まで10人紹介されています。10人の人物についての文章を通して、石原慎太郎さんが何を考え、何を美しいと感じるか、何に感嘆するかなどが少しは分かる気がします。
内容自体も十分面白いのですが、文章自体を楽しむだけでも価値がありました。硬くない文章なのに美しいのです。 -
いかなる人間も、それぞれが属している国家や民族の歴史に、その人生を規制されぬ訳にはいかない。それは人間社会という共同体のしからししめる原理に他ならない。