東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと (幻冬舎新書 か 16-1)

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  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (205ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344982840

感想・レビュー・書評

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  • [総理の言]未曾有の被害を引き起こした東日本大震災とそれに伴う福島原発問題の対応に当たった元首相が、当時の動きを回想した一冊です。また、脱原発を始めとする原子力、エネルギー政策に対する見解についても筆が及んでいます。著者は、第94代内閣総理大臣の菅直人。


    福島原発問題の対応に当たって、当時の総理の問題意識が那辺にあったのかがわかり興味深い。いわゆる「理系総理」ならではの着眼点があったことを本書により知るだけでも、事故対応の際に管氏が首相の座にあったというのは、それだけで何かしらを意味するものであると再認識させられます。原子力政策に関する管氏の主張は既に多く出回っていますが、本書を読むとどのようにしてその主張に至ったかを知ることができ、その点も興味深かったです。


    とある福島原発事故関連の書籍の中で、管首相は対応を平時モードから有事モードにしたという指摘があったのですが、管氏がまさに震災及び事故の発生時点から有事モードに入っていたことがわかります。また、その有事モードの中で、下記のように首相権限について無制限とも言える考え方を有していたというのは、いわゆる管氏が「市民政治家」と呼ばれていたことを思うと正直驚かされました。

    〜異例ではあるが、国の危機とも言うべき緊急事態が発生した時には、総理大臣はあらゆる権限を行使し、危機回避に全力を挙げるべき責任を負っていると私は考える。〜

    それにしても管氏が繰り返し述べることになる「外国から侵略される」という考え方は、どのようにして想起されるに至ったのだろう☆5つ

  • 震災当時の内閣総理大臣が語った本、貴重なものになる気がします。

  • 時の総理大臣の証言。
    事故直後の混乱の中、収束に向けて緊迫した状況が伝わってくる。
    それにしても、加藤紘一氏の仲介が実って、谷垣総裁とのサシの会談が行われていたら、入閣での協力もありえたかと思うと、残念でならない。さぞや、その後の無益な政局は煩わしかっただろうと思う。

  • 官邸にアドバイスできる人がいないこと。
    そのような状況で、日頃危機管理に関して着目していないことが図らずも浮き彫りになった本だった。

  • 最近の総理大臣としては大震災直後の対応は1番適任そうだが。お疲れ様でした。

  • 一般の読者が読む価値はない。筆者及び関係者が司直の手によって裁かれる時の証拠、若しくは後世の防災専門家または歴史家が、福島第一原発事故について調べる際には、原子力災害対策本部長が何を行わなくて、どんなミスを犯したか検証する材料にはなろう。出版された書籍を、あとから改ざんすることは困難だから。
    事故の初動段階から原子力安全・保安院の院長は、原子力の専門家ではなく、自ら官邸に専門家を集める必要があったそうだ。をいをい、今の安全委員会の委員は大丈夫なのか?
    これだけ原子力の危険性を充分理解している元総理には、身を挺してでも、現在行われている東電・政府の無茶苦茶な事故処理を、高い倫理性を持ち、かつ高度な知識を持った専門家の手に委ねるようご尽力いただきたい。著者が、わが国に対してできる事は、もはやそれだけしか残されていないのだから。

  • こんなに言い訳出来るもんなんだね! と。
    私は悪くなかった! というのが、前面に押し出されている。
    菅直人と同じくらい使えなかったお偉いさんのことを
    暴露しているのは面白かったから★ひとつ。
    腹のたつ本だった。

  • 批判もあるけれど、復興はともかくとして、事故対応は、他の総理大臣だったらもっとまずかったのでは、と思うときもあった。しかしそれも、みな何らかの「情報」によるもので、たとえば斑目元原子力安全委員長の「証言」という「情報」にあたれば、菅氏は完全に悪者である。一方、ヘリからの放水を無駄だ、無知だ、という声もあったけど、あれを持って決意が高まった、という言い方もできる。というわけで、一面的にだけものをみてはいけない、という気持ちで読む。
    あちこちに配慮しながら、という面も見え隠れするけれど、それはよしとして。最後に、野田政権が原発ゼロ政策を決定したことに触れ、1年以内にあるであろう衆院選挙は大事だ、と述べていた。結果として菅氏の脱原発はまったくの白紙になったのだけど、その前に、同じ民主党政権が引っ込めたこともわすれてはならない。
    あらためて、民主党という党の実態のなさを証明してしまった一冊なのかも。

  • 細野さんの本と比べると、感情が伝わってこないというか原発事故の表面だけをなぞったような薄い内容のように感じました。
    この本を読んで、その場その場での菅元総理の対応は間違ってなかったように見えました。しかし、ことさらその正しさを強調するわけでも、苦悩を語るわけでもないためこの本を読んでも菅さんという人がどういう人なのか結局ピンときませんでした。淡々としすぎていて、息づかいが感じられない感じ。自分で文章を書かれてるのでしょうか? 感想文でもレポートでもないような……半端な印象。もっと、あのとき何をどう感じて判断したのか、菅さんの心の内を知りたかったです。
    記者会見を見てもわかることですが、あまり言葉が巧みでない、言葉が足りない方のようなので文章で気持ちを伝えるのもあまり得意ではなかったのかもしれません。

  • 資料番号:011497617
    請求記号:543.5/カ

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著者プロフィール

菅 直人(かん・なおと):1946年山口県生まれ。東京工業大学理学部卒業。民主党代表、政調会長、幹事長を歴任。2009年鳩山内閣の副総理、2010年に内閣総理大臣となる。現在衆議院議員、弁理士。著書『東電福島原発事故 総理大臣として考えたこと』(幻冬舎新書)、『大臣』(岩波新書)、『原発事故 10年目の真実』(幻冬舎)、『民主党政権 未完の日本改革』(ちくま新書)など。

「2024年 『市民政治50年 菅直人回顧録』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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