- Amazon.co.jp ・本 (202ページ)
- / ISBN・EAN: 9784344983083
感想・レビュー・書評
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おれの抱くイメージとおりの元自衛官の文章で、突っ込んだ話、専門的な話には触れられていない。
インテリジェンス機関は国家の防寒着で、取り巻く環境が寒くなれば厚手になる。第二次大戦から厚着した米国と違って敗戦で厚手のコートを脱いだ日本。戦後は日米安保条約を所管する外務省が第一国防省、自衛隊を所管する防衛省が第二国防省といった状況だった。外交インテリジェンスは戦略情報だけだが、軍事インテリジェンスは戦略情報だけでなく作戦情報、戦闘情報も扱う。また、外交インテリジェンスは個人プレーになりやすいが軍事インテリジェンスは組織プレーが重要になる。RMAの中核的な要素であるC4ISRが示すとおり、軍事において情報は大きな意味を持ち、インテリジェンス活動も様々。安全保障は一元化されてるのにその他の分野では外交は一元化されていない。それから地政学の話。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
タイトルはイマイチだけど、インテリジェンスの基本を知るにはいいと思う。
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先日、高校の同窓会で自衛隊で働いている友達と話した。そのタイミングで書店で目にしたので買ってみた。著者の福島隆さんは、防大を卒業後、陸上自衛隊に入隊。その後外務省に出向し、駐在武官としてインテリジェンスに関わる。陸将も歴任された方のようだ。
インテリジェンスについては、ボクの中では佐藤優の本を読んだことで、その概念を認識したと思っている。今は、社会的にも一分野として認められたのではないだろうか。佐藤優の著作が注目されたからかもしれないが、インテリジェンスは外務省が担当していると思いがちだ。なぜなら、外交政策は外務省が担当していると漠然と思っているから。だが、対外政策の中には国防に関する案件もあるわけで、当然、防衛省も関与している。実際、アメリカのNSAは「軍保安局(Armed Forces Security Agency、AFSA)として設立されている。
日本は、戦後締結した日米安保条約と、それに付随する日米地位協定が実質的な「国防」の根拠となる。そして、それを主管する外務省が安全保障政策の最前線に立っている。これは国際的に見てもかなり異例な体制とのことだ。言われてみれば、国防のことを防衛省ではなく、外務省が主管するのはたしかに妙な印象を受ける。
戦後レジームの中で外務省が「国防」についても最前線に立ってきたこと。そして、その国防の根拠となる日米安保条約は、決してアメリカ的良心から友好国日本を助けるためのものではなく、アメリカにとって意味があるから助けるということ。さらには、アメリカの意向に沿った形で日本の「国防」の姿が形作られてきたこと。こういうことに対して、著者の福島さんは問題提起をする。
では、そのアメリカという国は、どういう国なのか。そして、今後のインテリジェンスのあり方はどうあるべきかと展開する。
アメリカの分析や、インテリジェンスについての自論は興味深い。防衛省の視点での日米分析、情報戦略分析を知るには良書だと思う。