もう親を捨てるしかない 介護・葬式・遺産は、要らない (幻冬舎新書)

著者 :
  • 幻冬舎
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  • Amazon.co.jp ・本 (206ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784344984189

感想・レビュー・書評

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  • もうすぐ介護されるであろう親世代こそ読んでほしい。親孝行は普通できないもの、できる人は幸せと書いてあり、少し救ってくれました。
    親がしてくれたことを、自分の子供にして、自分自身は子供からの見返りは求めないように生きようと思いました。

  • 子どもの教育に金をかけたからといってそれは親の恩ということにはならない。しっかりと将来を見据え、将来において破綻しないための戦略と戦術を立てて望まない限り、未来は切り開かれない。そういう社会。サバイバルを必要とする社会。子供は親に甘えているわけにはいかないし、親も子供に甘えているわけにはいかない。親を捨てられるようにしておくのが親の務めではないか。
    なのだけれど。現実にそうなってきているし。親が生きたいと言ったときどうするかはかなり難題かなあ。

  • 死生観に触れる本はよく読むけれど、この本はいわゆるジャケ買い。
    「親を断捨離」なんていう強烈な帯をもっていて面食らったが、読んでみるとそれ程非道な内容でもなく、なるほどなと思える。幸い、僕の家は自動的に断捨離されているので、正直「ふうん」というような印象になってしまった、苦笑。それでも、「物忘れは死への恐怖を軽減させる」は今までにない考え方で、あっと思わされた。

  •  この社会では寝たきり老人を増やして平均寿命を伸ばしている。
     長寿国・日本。
     本当にその長寿が幸福につながるのだろうか。

     殺人件数は減りつつも、介護殺人は増加の一途をたどる。
     介護疲れからの殺人を、この国は仕方がないものと容認しているようにしか見えない。
     今後の超高齢化により、介護はますます負担を増す。

     もう親を捨てるしかない。
     子が生き残るためには、もはや親を捨てるしかない時代に突入している。


     孤独死、下流老人、老々介護、介護殺人。
     高齢化社会から見えてくる現実は問題だらけなのに、それらの問題が家庭の問題として、自己責任とされている。
     介護を放棄すれば罪になり、介護をすれば生活が破たんする。

     父方の祖母、母方の祖父は寝たきりになり亡くなるまでずっと病院のベッドの上だった。
     母方の祖母は一昨年の冬に病院に運ばれてから、ずっと介護施設にいる。

     老人を病院に、介護施設に入れられたのは、それだけの貯えがあったからだ。
     だが、もし今、俺のオヤジかおかんに倒れられて病院にずっと入れておける財力はない。
     すると、介護に専念せざるを得ない。
     その結果、生活が破たんする。
     
     その現実はオブラートに包まれて見えにくい。
     だが、誰もがそのリスクを負っている。

  • 年老いた親を介護するため、職を失い、人生を失い、あげく介護殺人まで起きるニッポン高齢化社会。もはや、本書のタイトル通り「もう親を捨てるしかない」のかもしれない。

    とはいえ、著者は老人を処分せよと、現代の姥捨山を作れとSFのようなことを提案しているのではない。精神的に子は親を捨て、親は子を捨てることを勧めている。親も子も互いが身軽な状態でそれぞれの道を歩もうというのが著者の主張。

    介護によって、する側とされる側の両者が不幸になる前に親離れ、子離れを実現させておく。その上で、老いた親はとっとと死ぬことを頭に入れつつ、子に期待しない。冷酷なようだが、家族も故郷も弱ってしまった現代では現実的な選択かもしれない。

  • この人の本は、本当に考えさせられる。
    つか、そうじゃないのと何となく思ってることをズバっと言ってくれている。
    長寿一番で喜んでる場合じゃないのだ。
    あまりにも無責任。
    医療関係の、確かに死なせちゃ商売にならんという、割に当たり前のことは気がつかなかったけど、あとは大体そう感じていた。
    それを口にするのはタブーなのだが。

    俎上に上げるだけでも大変なことになるだろうな、日本では。

    だが、いつまでも目をつぶってて良いことなのだろうかと思っている。

  • ■現実には親捨てに近いことは行われている。それが「世帯分離」。
    ・親と子供が同居していても,それぞれの世帯に分けること
    ・主に介護費用や保険料を節約するために行われる一種の「裏ワザ」
    ・介護サービスなどを受けている場合に負担する額が大幅に減る
    ■年を取れば人に迷惑を掛けないでは生きられなくなる。その点で「子供には迷惑を掛けたくない」という言葉は単なるスローガンであり,きれいごとに過ぎない。そして,かえって子供の生き方を縛る。人には迷惑を掛けないと教えられたことが子供にとっては最も重大な迷惑になる。
    ■「生涯未婚率」は「50歳未婚率」とも言われるように50歳になるまで一度も結婚したことがない人間の割合を示したもの。
    ・50歳時点で結婚していない人間の割合ということではない
    ・1960年時点で男性1.3%,女性1.9%
    ・1970年時点で男性1.7%,女性3.3%
    ・1980年時点で男性2.6%,女性4.4%
    ・1990年時点で男性5.6%,女性4.3%
    ・2000年時点で男性12.6%,女性5.8%
    ・2010年時点で男性20.1%,女性10.6%(30~34歳未婚率は男性47.3%,女性34.5%)
    ■世界的には安楽死という選択肢を認める傾向にある。
    ・消極的安楽死(延命治療の中止)と積極的安楽死(致死薬投与)に区別
    ・オランダでは若い人間でも本人の意思が固まっていれば安楽死は可能であり病気とは関係なく「死にたい」と思えば死なせてくれる
    ・国別自殺率は日本は170か国中17位で,安楽死を認めているオランダは87位
    ■子供の教育に力を注ぐのは他に子供に対してやれることがないから。
    ■一時テレビに霊能者が登場し,先祖の祟りと供養の大切さを強調するようなことがあったが今ではそんな人物がテレビに登場することはなくなった。家が永続性を失い脆いものになったことで先祖という存在自体が消滅して「先祖の祟り」という脅し文句にリアリティを感じられなくなった。
    ■家や家族の関係が脆いものである以上,人は一人で生きていき,一人で死んでいくしかない。子供に介護を期待すること自体がそうした状況からすればあり得ないことであり,子供はそんな義務を果たす必要はないし,親はそれを期待できないと覚悟すべき。
    ■「自立できないものは生きられない」というのが生物界の根本的なルールであり,人間も例外ではない。

  • 野生動物の親離れ•子離れを見れば、親を捨て、子を捨てるのは、自然なことなのだと思う。

  •  
    ── 島田 裕巳《もう親を捨てるしかない ~
    介護・葬式・遺産は、要らない 20160528 幻冬舎新書》
    http://booklog.jp/users/awalibrary/archives/1/4344984188
     
    …… 故郷の墓を守るという“常識”に囚われていては身を滅ぼしかね
    ません」 親捨て提言の島田裕巳氏「墓も捨ててしまいなさい」©
    http://daily.2ch.net/test/read.cgi/newsplus/1471874383/-100
     
    (20160823)
     

  • 介護での世代共倒れなどの話。
    まだわたしの親が健在なので、不謹慎な気もしつつ、自分が、子供に頼らんで行けれようにも考えないといけないので、、と読んだ。

    でも、家が強かった昔でないので、親子とも依存しない生き方というのが必要かと、改めて。

    安楽死というか尊厳死についても、書かれていて、興味深い。

    体壊して、だんだん食べなくなって、死を迎える。著者の母の話。

    わかりやすさが良かった。

    親がしんぱいするかな?

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著者プロフィール

島田裕巳(しまだ・ひろみ):1953年東京生まれ。宗教学者、作家。東京大学文学部宗教学宗教史学専修課程卒業、東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了。放送教育開発センター助教授、日本女子大学教授、東京大学先端科学技術研究センター特任研究員を歴任し、現在は東京女子大学非常勤講師。現代における日本、世界の宗教現象を幅広くテーマとし、盛んに著述活動を行っている。 著書に、『日本人の神道』『神も仏も大好きな日本人』『京都がなぜいちばんなのか』(ちくま新書)『戦後日本の宗教史――天皇制・祖先崇拝・新宗教』(筑摩選書)『神社崩壊』(新潮新書)『宗教にはなぜ金が集まるのか』(祥伝社新書)『教養としての世界宗教史』(宝島社)『新宗教 戦後政争史』(朝日新書)等多数あり。

「2023年 『大還暦 人生に年齢の「壁」はない』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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