絵で見るある町の歴史: タイムトラベラ-と旅する12,000年
- さ・え・ら書房 (2000年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
- / ISBN・EAN: 9784378001081
感想・レビュー・書評
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迫力満点で、よくここまで細かく描けるものだと感心します。
そして時代の移り変わりがよく分かります。
絵で見るある町の歴史―タイムトラベラーと旅する12,000年
2000.10発行。字の大きさは…大。
とあるヨーロッパの川沿いの町を14の時代に分けて描いた絵本です。
◆石器時代(紀元前10,000年ごろ)
人々は、狩りをし、魚を捕り、草や木の実を探して食べました。ある部族が冬を過ごすために、川の畔のこの場所を選びました。ここが、この町の歴史の舞台です。
◆原始農耕の時代(紀元前2000年ごろ)
この時代からは、野獣から人々を守るために集落の周りを高い木の柵で囲みます。穀物を育て、動物を飼い。土器を作り、布を織り、金属を利用しだします。そしてここに定住します。
◆鉄の時代(紀元前600年ごろ)
村に鉄が伝わり、それまでより丈夫で強力な道具や武器を作ります。部族の長は、丘の上に砦を作らせました。木材で頑丈にできています。村は繁栄します。
◆ローマ人の時代(100年ごろ)
ローマ帝国が広くヨーロッパを征服し、新しい様式を持ち込みました。数百人の人々が暮らし、村は町に変わりました。川に初めて橋がかかりました。村から町になり貧富の差が広がって来ます。
◆新しい部族(600年ごろ)
ゲルマン人の部族が、東から押し寄せました。この町も全ての施設が破壊され、その後に新しい部族が川の畔に住み着きます。「鉄の時代」の川沿いの村に戻ったような風景です。
◆バイキングの来襲(900年ごろ)
ゲルマン人たちがこの地に住み着いてから、数百年が経ちました。キリスト教が伝えられ、石造りの教会が出来ます。周りは、木造の家です。川からバイキングが、財物と奴隷を求めて、この地を襲って来ます。あれ村の周りを囲んでいた柵が無くなっています。
◆中世の村(1200年代)
300年以上過ぎました。王からこの地方を与えられた領主は、人々をバイキングから守るために、城を築き。あたり一帯を支配し、村人は自由を失います。
◆中世の町(1400年代)
村は川沿いにあって交通の便に恵まれ、立派な町になりました。住民は領主から自治権を獲得し、貿易で大金を手にする商人も出てきます。
◆悪疫の流行(1500年代)
ペスト(黒死病)が東方からヨーロッパに入ったのは1347年のことです。この疫病は、その後300年にわたって流行し、罹った人はほとんどが死にました。この町にも襲ったのです。
◆戦乱の時代(1600年代)
戦争が起こりました。この町も、領主の城も大砲にはかないません。宗教と支配権力をめぐる、激しい戦いです。なお、石造りの教会は、時代ごとに立派になって行きます。
◆優雅な時代(1700年代)
平和が戻り、町は賑いをみせます。尖塔をもうけた教会は、ますます立派になります。やっと「ローマ人の時代」の町より綺麗で活気のある街並みになりました。町の真ん中に市役所が出来ています。
◆産業革命(1800年代初め)
町の郊外で石炭が発見されました。蒸気機関の時代です。川を石炭を運ぶ船がさかのぼり、活気に満ちています。
◆町から都会へ(1800年代終わり)
産業が発展し、町は大きな都市へと発展していきます。新しい鉄道が町を通り人や品物をほかの町に運びます。教会と市役所が、どんどん立派になって行きます。
◆現代の町なみ
ほとんどの重工業が近代的なビジネスに場所を譲り、地方へ移転しました。人々は環境にも配慮するようになり、生活を楽しむようになりました。
【読後】
この絵本の大きさは、B4用紙ほどの大きさを横に使って見開きで、14の時代をカラーで描いています。迫力満点で、よくここまで細かく描けるものだと感心します。そして時代の移り変わりがよく分かります。
この川沿いの町は、「ローマ人の時代(100年ごろ)」に一度ピークを迎えて、「中世の町(1400年代)」から再度発展していきます。そして「優雅な時代(1700年代)」に、1600年ぶりに「ローマ人の時代」を超える街並みになって行き。その後は、発展を加速して行ったと、私には見えました。
文は、アン・ミラード。絵は、スティーブン・ヌーン。訳は、松沢あさか、高岡メルヘンの会です。どの方も初めてです。
32ページ
2021.08.09読了
★★★☆☆詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
民族的なところと政治的なところの変遷が同時に分かるのが面白い。描き込みも細かくて、何時間でも眺めていられそう。図書館で借りたけど、購入しようと思う。
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古代から現代まで、ヨーロッパのある川沿いの町が、どのような歴史的変遷を辿ったかを、細密な絵と簡潔な文章とで綴った絵本である。
絵の周囲にあるクイズのような問いかけが、つい絵の中で見落としていた部分に気づかせてくれる構成や、すべての絵に顔を出しているタイム・トラベラー探しもおもしろい。 -
子ども二人と読んだ。小学生3年生ぐらいがちょうどいいかな。ビジュアルに時代の変遷が分かる。建物が草葺→木造→石という変遷をたどる。まるで『三匹のこぶた』のように。いや、『三匹のこぶた』こそが、文明の発達を表した物語だと言える。
「ローマ人の時代(100年ごろ)」では石の建物の時代なのに、「新しい部族(600年ごろ)」では、文明前の木造草葺の家に戻ってしまったことが分かる。再び石でできた建築が始まるのは1200年代の城と一部の裕福な商人の家から。建物の大部分が石になったのは(現在のヨーロッパの風靡な都市のイメージ)、優雅な時代(1700年代)になってから。
<目次>
石器時代(紀元前10,000年ごろ)
原始農耕の時代(紀元前2000年ごろ)
鉄の時代(紀元前600年ごろ)
ローマ人の時代(100年ごろ)
新しい部族(600年ごろ)
バイキングの来襲(900年ごろ)
中世の村(1200年代)
中世の町(1400年代)
悪疫の流行(1500年代)
戦乱の時代(1600年代)
優雅な時代(1700年代)
産業革命(1800年代初め)
町から都会へ(1800年代終わり)
現代の町なみ
2014.09.08 北澤さんのレビューで見つける。
2014.09.14 借りる -
川のほとりに部落ができ、村になり、現代の都会になる。平和で豊かな時代もあれば、戦争や病気で荒れた時もあり・・人々の暮らしぶりがどのように変わったか。いつも前よりよくなるとは限らない。同じ場所での歴史の変化がとても面白い。絵探しクイズも結構楽しい。
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イギリスのある川沿いの町の12000年を定点観察。昔ばなしを語ったあとに紹介して好評でした。 各時代の生活様式を見ているだけでも楽しい本です。 一番最初のページ、石器時代に一族の物語を子どもたちに語る「語り部」のおばあさんがいます。
次に来るローマによる支配の時代。イギリスの昔話「赤鬼エティン」にある「ローマの暴君シーザーさながら・・」という唱え文句が納得できます。いつか「エティン」を覚えて語りたい。そしてこの本を紹介できたら。 -
2歳2ヶ月 図書館
これはどちらかというと親の自分達の興味関心のために借りてきた絵本。
本自体がとても大きくて迫力があり、街のさまざまな情景が描かれているので、娘は字を追わずともページを眺めているだけで愉しそうだった。
また大きくなったら是非借りてきたい一冊。 -
「子どもを本好きにする10の秘訣」>「昔話・神話・歴史」で紹介された本。
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小学校の社会科見学で図書館に行った時、司書さんがオススメしてくれた本。
もう何年ブリだろう、やっと再開できました。楽しい -
絵もキレイ
12000年の歴史からおうちのうつりかわりもみれて、とても勉強になった