希望の学校: 新・生きのびるために

  • さ・え・ら書房
4.20
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本棚登録 : 26
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (253ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784378014982

作品紹介・あらすじ

米軍からテロリストとうたがわれたアフガンの少女は…身の危険、女性差別、折れそうになる心…。さまざまな困難とたたかいながら、なお希望を捨てない人びと。胸ゆさぶる物語。戦乱のアフガンを生きぬく少女を描いた連作の最終巻。

感想・レビュー・書評

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  • デボラ・エリスによるアフガニスタン内戦に生きる少女たちの物語。

    前作「泥かべの町」が2004年だったので、それから9年を経て最終章にたどりついた。

    これまでの3作では、タリバンの勢力拡大による内戦状態に国内外に避難する人々があふれる中、子どもたちだけで生き延びていく姿が痛ましくも逞しかった。


    「さすらいの旅」の最後で、主人公パヴァーナが再会した母は、外国の支援を受けキャンプの外に女子教育のための学校を設立している。
    しかし、タリバンの女子教育に対する圧力と脅しにより教員も生徒も日に日に減っていく。
    そして母はおびき出され、殺害されてしまう。ほぼ無人となった学校は、米軍により誤爆を受け跡形もなくなってしまうが、母の行方を案じて連絡していたウィーラ夫人(国会議員になっていた)の使いが、間一髪で助け出してくれた。
    なんとその使いは、あのショーツィアだった。
    その後、父のカバンを取り戻しに廃墟と化した学校へ戻ったパヴァーナは、米軍に囚われテロリストの疑いを掛けれてしまう…。

    フィクションとはいえ、これも事実に基づいて書かれている。
    助けとなるはずの米軍は、アフガニスタンの人々にとってタリバンと変わらない存在に描かれていることが、何よりもこの国の内戦のリアルなのだと思う。
    2020.7.23

  • 母と姉と再会し、母が設立した学校で再び学び始めたパヴァーナ。
    平和になっていはいないけれど、今までよりは格段に生活が安定した…はずだった。
    女子が学ぶことを受け入れられない住人、自国民からではない爆撃。
    アメリカに捕らえられ、誤解から受ける拷問。
    自分が生き延びることが必死なのはわかるが、お姉さんがなぁ…。
    不満を持ちつつ、姉が生き延びたことを喜ぶパヴァーナはすごいと思ってしまった。
    彼女は果たして生き延びられるのか。
    カブールで共に少年として働いたショーツィアの再登場が格好良かった。
    彼女たちがいつか夢見た場所へ行けることを願う。

  • 『さすらいの旅』では『生きのびるために』で感動の再会を果たした父の葬儀から始まった。『さすらいの旅』で新しく作った家族、再会した家族の誰かが死んでいたらどうしようと思いながら本を開いたら、パヴァーナがテロリストとして捕まっていて、意味がわからなかった。

    戦時下のアフガニスタンでは誰がいつ死ぬかわからないし、パヴァーナやアシフが死なないかとても心配だった。
    タリバンが出てこなくても、アフガニスタンには女性蔑視に染まりきっている普通の人達がわんさかいて、女性の権利を求めて行動を起こすアクティビストを拉致して、集団で拷問の末に殺害するということは、たぶん珍しいことでもないんだろうな…

  • アフガニスタン4部作の最後の巻。私は前2巻が好きだなあ。これはアフガニスタンの状況が少しわかりにくい気がする。

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著者プロフィール

デボラ・エリス/作
カナダ・オンタリオ州在住。作家、平和活動家として世界中を旅行し、戦争、貧困、病気、差別などによって困難を強いられている子供たちを取材している。戦乱のアフガニスタンを生きぬく少女を描いた『生きのびるために』『さすらいの旅』『希望の学校』(いずれもさ・え・ら書房)は、世界17か国で出版されている。その他の作品に『きみ、ひとりじゃない』(さ・え・ら書房)など。

「2017年 『九時の月』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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