ヌレエフの犬: あるいは憧れの力

  • 三修社
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  • Amazon.co.jp ・本 (55ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784384040678

感想・レビュー・書評

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  • 天才バレエダンサーのヌレエフ晩年に寄添う犬オブローモフ(怠者)。ヌレエフの死後,犬が密かにダンス練習するのを老バレリーナが信じ難い気持ちで見守る姿が楽しくも切ない,複雑な気持ち。

  • ロシアから亡命したバレエダンサ-のルドルフ・ヌレエフ(1938-1993)が、アメリカ人作家トル-マン・カポ-ティ(1924-1984)のパーティに顔を出して泥酔、置き去りにされていた見るからに怠惰そうな犬<オブロ-モフ>との出会い、ヌレエフ晩年の8年半を寄り添う「ヌレエフの犬」の哀切感あふれる物語。 エルケ・ハイデンライヒの「舞踏する犬」の虚実入り混じった語り口に、ミヒャエル・ゾーヴァの絵が面白味さを一層掻き立てる大人の絵本。

  • ヌレエフの飼い犬の話で、名前は「オブローモフ」という。何しろ名前のように怠惰で毛色も薄汚れたようで眼はしょぼしょぼ、見かけからも取り得がないようだった。

    ヌレエフとしてはこの犬を飼ったというつもりはなかったが、ニューヨークで開かれたトルーマン・カポーティのパーティで、酔いつぶれたカポーティと一枚の皿でシャンペンらしいものを飲んでいた。出会いはそういうことで、犬はヌレエフがフランス語で話しかけると反応をした。

    カポーティの犬ではないという。誰かが置いていったのだ、君だろう、とカポーティがいう。
    ヌレエフか帰ろうとしたらイヌがどこまでもついてきて、彼の犬になった。

    その後カポーティは半年でなくなり、ヌレエフは8年半、「オブローモフ」はその後15年生きた。

    ヌレエフと共にニューヨーくやパリで暮らし、彼が旅に出ると友人が世話をした。
    バレエの稽古場にもついていった。ヌレエフは病気になり次第に衰弱して、犬にあれこれと話しかけた。

    ヌレエフが亡くなった後、腫れ上がったような目をした「オブローモフ」を見つけた。

    ヌレエフはオルガ・ピロシュコヴァに遺産を贈り犬を託していた、オルガは彼をあがめ彼と犬の世話をした。その後「オブローモフ」は彼女のアパルトマンで過ごした。

    オブローモフは年取って、余り眠れなくなった。バルコニーでちょっとジャンプしてみた。練習すると少しずつ上達した。練習場で何度も見たことをやってみたかった。

    オルガ・ピロシュコヴァは偶然優雅に踊る犬を見たことはだれにも話さなかった。
    ヌレエフの誕生日にオルガ・ピロシュコヴァはお墓の前で踊って見せて欲しいといった。老犬は理解し、両足を着けて跳躍するガブリオーレでお墓を飛び越えた。

    今ヌレエフの足元に眠っている。


    ミヒャエル・ゾーヴァは、エルケ・ハイデンライヒのこの異例とも言える友情物語が持つおかしさと悲しさを、その文章にぴったりのイラストで際立たせている。


    ヌレエフは、子供の頃からバレエを踊り続けている友人の熱狂的な話で知った。バレエの知識は今でもこの友人の受け売りで、公演の前には解説を聞くこともある。
    高く軽やかに高く高く跳ぶヌレエフ、鍛えられた技でボレロを踊る映画も見た、彼の怠惰な犬と、彼に関わった人たちの余り知られないエピソードを読むのは楽しかった。
    「オブローモフ」も読み返してみたい、そのうち。

  • バレエダンサーのヌレエフの犬オブローモフの物語。
    犬がバレエを踊ってしまうファンタジー。
    挿絵が絵画のようでこの物語を色づけている。
    エルケ ハイデンライヒ(著者)とミヒャエル ゾーヴァ
    (挿絵)のタッグが素晴らしい(´艸`*)

  • 20世紀最高のバレエダンサーの一人とされるルドルフ・ヌレエフの飼い犬の話。

    オボローモフ(怠け者)と名付けられた犬は、ヌレエフの美しいバレエを愛し、彼の死後、夜な夜なバレエを練習するようになる。
    それを知るのはヌレエフからオボローモフを譲り受けた女性ダンサー・ピロシュコヴァのみ。
    オボローモフとピロシュコヴァとの絆、二人がヌレエフを想う気持ちが、まっすぐに表現される墓参りのシーンが温かい。

    目まぐるしく変わる世界情勢のなかで、芸術の力を信じた人々に対する、讃歌としての作品のように感じた。
    ゾーヴァの挿し絵もとてもいい。

  • ゾーヴァの絵がやはりすごい!
    ストーリーも虚実取り混ぜて惹かれるけれど
    挿絵の力がすごいなあ
    愛すべきブサイク犬
    ≪ 憧れの バレーダンサー ぼくだって ≫

  • ふとしたきっかけで世界的ダンサー、ヌレエフのもとで飼われることになった醜い犬、オブローモフが主人公の、不思議な、そして切ない小話。雨の日の夜にでも、ゆるゆると読むと穏やかな気分になれる。

  • 憧れへの一歩を踏み出せば何か自分も出来るかも

  • Sowaの挿絵目当てで読む。バレエダンサーと不細工な犬の話。憧れ(Sehnsucht)の力が犬にダンスを踊らせる。カポーティが這いつくばって犬と並んでミルクを啜るとか、実在の人物が(どことなく退廃的に)ところどころ登場するのが愉快。

  • 虚実入り混じったお話。高名なバレーダンサーの飼い犬だったオブローモフの話。偶然出会った年老いたバレーダンサーのそばでその素晴らしい踊りを見続けた犬は飼い主の死後に。挿絵に描かれたオブローモフの姿が愛らしい。

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