- Amazon.co.jp ・本 (245ページ)
- / ISBN・EAN: 9784389411794
感想・レビュー・書評
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シャンカラの思想を解説した第Ⅱ部より、その思想を理解するためのインド思想史の見取り図を示した第Ⅰ部の方が興味深かった。またオウム真理教事件などをふまえ、現代社会においてインド思想がどのように生かされていくべきかを論じたあとがきも、著者の思いが感じられるものだった。
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決して読みやすい本ではないです。著者のせいではなくて、テーマが難解だから。
ある種のテーマは図式的にわかりやすくしてしまうと、内実が失われてしまいますからね。
シャンカラの思想を知りたい人にはもってこいだと思います。
それ以外にも、
1.ラマナ・マハリシやヴィヴェカーナンダなどの教説は近現代インドの聖者として参照されることが多いですが、多くは会話形式による断片的なものとなりがちで、それがいかなる伝統の上になりたっているのかということが理解されにくい。この本を読むと彼らが依って立つアドヴェイダ・ヴェーダンタ不二一元論がいかなる思想かということがわかり、その確立者まで遡って考えることに役立ちます。
2.シャンカラは論戦によって多くの仏教者をヒンドゥー教に改宗させたとされ、また「仮面の仏教徒」と呼ばれるほど仏教に近い面をもっていたといわれます。
よく仏教僧の方の本を読んでいると、「ヒンドゥー教はブラフマンのように絶対者を立てる点が仏教とことなる」という議論をされることがあるのですが、やや表層的に過ぎる理解かと思います。どのような面で仏教と共通項をもち、どのような点で決定的に異なるのかということを整理するために、あるいは仏教をインド哲学のなかに位置づけることができるために重要な本かもしれません。