NHKクローズアップ現代 糖尿病の治療革命

著者 :
  • 主婦と生活社
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  • Amazon.co.jp ・本 (239ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784391142655

作品紹介・あらすじ

本書は、2012年8月30日放送「NHKクローズアップ現代――糖尿病の“常識”が変わる」の内容を基にした、医学ドキュメンタリーです。担当ディレクターである市川衛氏が、同番組内では紹介しきれなかった情報や、放送後に明らかとなったさまざまなデータ等を駆使しながら、糖尿病治療の最前線では何が始まっているのかをレポートいたします。医療者側からの情報だけではなく、実際の患者の声も数多く丁寧に拾い上げており、医学の専門家ではない一般の読者にも分かりやすい、患者目線の内容になっています。
 
 かつては“不治の病”の代表でもあった糖尿病ですが、今や専門医たちが「糖尿病の完治」をどう定義するかという議論を始めなければならないほど、革新的な治療法が次々と登場しています。日本にいる糖尿病患者とその予備群2,200万人にとって本書は、今後、治療法を“選択”する上での貴重な情報源となるはずです。

 第1章では、現在、世界的な大論争が起こっている「糖質制限食」を取り上げます。「つらくない食事療法」としてテレビや新聞、雑誌等で盛んに紹介され、積極的に推進する医師がいる一方で、長期的にはリスクがあると導入に反対、あるいは慎重な意見を表明する医師も相次いでいます。著者は、中立的な立場から、「糖質制限食」とは何か、期待される効果と注意すべきリスクには何があるかなど、科学的、論理的な検証を行っていきます。

 第2章では、「早期のインスリン療法」を紹介します。従来は、最後の治療手段に用いられていたインスリンを、もっと早い段階から強力に投与することで、疲弊していたすい臓の能力を甦らせる治療法です。これによって、より弱い薬で血糖値をコントロールできるようになったり、人によっては全く薬が不要になったりすることが、治療の現場からは報告されています。

 第3章では、肥満手術(メタボリック・サージェリー)が登場します。近年、胃と小腸の一部を切除する肥満手術によって、糖尿病が“完治したとしかいえない”状態になる人が続出(手術法にもよるが、平均85%の患者の血糖値が正常化)し、医学界でも最も権威のある専門誌のひとつでも取り上げられ、注目されています。その驚きの効果と、手術にともなうリスクを明らかにします。

《目次情報》
序章:糖尿病が治る!? 覆されつつある“常識”
第1章:「糖質制限食」の真実に迫る
第2章:糖尿病の食事療法の「今後」を探る議論が始まった
第3章:「インスリン注射」の早期導入で、すい臓が甦る!
第4章:糖尿病を「手術」で治せ! メタボリック・サージェリーの衝撃
第5章:手術のメリット・デメリットを見極める!

感想・レビュー・書評

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  • インクレチン関連薬がいろいろな種類があることを知る。その薬で糖尿病が治るかもしれないというところに希望をを見出す。昨今本屋では「糖質制限」に関する本はなりをひそめている。要するに長いスパンでの調査ができていないこと、一人一人がどの程度糖質を制限しているのか、母集団の条件が統一できないため、糖質制限の良し悪しが分からない、という現状。その辺のところが誠実に書かれている。

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著者プロフィール

いちかわ・まもる 医療の翻訳家。医療ジャーナリスト。メディカルジャーナリズム勉強会代表。京都大学医学部非常勤講師。00年東京大学医学部卒業後、NHK入局。医療・福祉・健康分野をメインに世界各地で取材を行う。16年スタンフォード大学客員研究員。【主な作品】「テレビ」NHKスペシャル「腰痛 治療革命」「医療ビッグデータ」ためしてガッテン「認知症! 介護の新技」など。(書籍)「脳がよみがえる・脳卒中リハビリ革命」(主婦と生活社)「誤解だらけの認知症」(技術評論社)など

「2019年 『教養としての健康情報 「それ」本当に信じていいですか?』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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