21世紀世界の民族紛争: 新聞・TVのニュースが面白いほどよくわかる (主婦と生活生活シリーズ)
- 主婦と生活社 (2001年9月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (221ページ)
- / ISBN・EAN: 9784391613162
感想・レビュー・書評
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宗教と様々な戦争を対応させて書いてくれているので、非常に読み易い一冊。
世界の国々の関係が見えてきたり、今まで以上にニュース・新聞がわかるようになるよ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
前半に、宗教そのものへの批判のような記述があるけど、はっきりいって書かないほうがよかった。不毛である。タイトルからしても、ホットな国際問題への解説書的なポジションをねらった作品であるのだから、極力そういう話は避けてもらいたかった。そういう部分は読者に委ねるべきだと思う。たしかに宗教は攻撃的で残酷で排他的な部分を持っているかもしれないが、人にとってそれは生きる価値であり意味である。だから宗教対立を考える上で、その暗黒面は大前提として捉えなければならない。捉えるということは、認めるということである。
世界の宗教対立を総覧じ、日本の宗教性について考えてみた。神社にお寺、お墓にお盆、いろいろあるが、それをあえて庶民意識レベルでのカテゴリ化をするとすれば『伝統』という箱の中に入るだろう。そしてその伝統に含まれる信仰性はかなり低い。低い、というよりかは「意識的な信仰がされていない」と言ったほうがいいか。ジャパンアイディンティティを考える上でこのことは目の敵にされることであるが、僕はそこに世界規模においての強みを感じるのだ。つまり、どの宗教にたいしてもフラットに構えることができるということ。そして、宗教的な後ろ盾がないということは、宗教的パワーゲームの外から外交を行うことが可能であるということだ。
例えば大戦中、世界的に悪名高い明治政府であるが、ドイツと軍事同盟を結んだにもかかわらず、ユダヤ人の移民をすべて受け入れていたという事実がある。アジア侵攻に関しても、占領後土着の宗教をそのまま認めていた。
だがこの姿勢はその政府の方針によって、コウモリ化することは周知のとおり。宗教がない分、勝ってるほうの味方になるのも簡単なのだ。今のところはアメリカ教。(皮肉なことに我が国の主食は『米』である。)対立する宗教に一石を投じられるようになれば、日本の国際的な役割は、非常に期待できるものになるのだが。経済だけでの信頼関係には限りがある。金の切れ目が縁の切れ目。今後のことも考えて、違う方向での信頼関係を気付いてほしい。NGOレベルでは、いろいろと支援をやって評価を受けているが、ぜひ政府レベルで。