- Amazon.co.jp ・本 (288ページ)
- / ISBN・EAN: 9784393135914
作品紹介・あらすじ
IT産業など現在のインドの繁栄を導いた思想の源流を、いにしえより聖典として重視されているヴェーダと、そこから派生し近代西洋哲学にも影響を与えたウパニシャッドにみる。インド思想の根幹を明快に提示した入門書。
感想・レビュー・書評
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難解なヴェーダ、ウパニシャッドを分かりやすく説明している。前半のヴェーダについては今までに読んだ本の中で1番分かりやすかった。ただし後半のウパニシャッドは、やはり難解。
日本の文化にバラモン教、ヒンドゥー教の思いが息づいていると理解できた。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
インド思想の中心、「ヴェーダ」と「ウパニシャッド」を紐解き、思想の源流と発展を辿る。仏教の思想からさかのぼって深く知るために読んだけど、奥が深い……。
いい発見だったのは、インド思想は、アーリア人の侵入によって誕生した思想だという事で、源流は中東にある。そしてまさか、ゾロアスター教の発展とはね。
ゾロアスターがバラモン教になり、仏教とジャイナ教に分かれ、土着宗教と混交してヒンドゥー教になる。というか、ヒンドゥー教は神道と由来が似てて、土着宗教に宗教が取り込まれた、地域独特の宗教になってる。
思想面からも、インド思想の歴史を追う事になる為、かなり頭がつかれた。
もうちょっと他の思想も含めて追ってみるつもり。これはこれで、ジャンルとしては興味があるけれど、今は概要まででとどめる。 -
借りたもの。
タイトル通り。インド思想において重要なヴェーダ(と、その奥義書であるウパニシャッド)について、その内容、思想の変容を時系列と共にまとめた本。
また、大陸からもたらされた仏教を通して日本の文化にも影響を与えているものを示唆。
細かいことは抜きにして、大筋や有名な単語の語源、意味、解釈を端的にまとめているので読みやすく、わかりやすい。
宇宙の成り立ちを探求する自然哲学から、神秘的聖音オーム、人間哲学、死生観
個人的には、インドの自然哲学的、自然神の多神教な発想が次第に唯一の絶対的な超越者の擬人像(当初は概念的なものだったらしい。)ををとる理由が、想像力を突き詰めた結果という解釈が腑に落ちなかった。
著者が指摘するように、アーリア人の流入がヴェーダに変容をもたらした、という解釈に納得している。ならば、アーリア人による中央集権化、ヒエラルキーの成立、支配/被支配の関係がその思想に拍車をかけたのではあるまいか?
儀式・魔術的なもの(俗信も含めて)もあったヴェーダが、次第に「業(カルマ)」に基づく「輪廻」からの「解脱」を目指すようになってゆく……
それは、やはりヒエラルキーによる無情と、世の無常故か?