家族のゆくえは金しだい

著者 :
  • 春秋社
3.39
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本棚登録 : 184
感想 : 16
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  • Amazon.co.jp ・本 (248ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393366417

感想・レビュー・書評

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  • 現代の日本の家族関係をカウンセラーとして日頃より関わっている著者の経験に基づいて論じている。
    家族関係は時代と共に変化していくものである。それは社会の変化と呼応しているだろう。しかしここ20年ほどの間での変化はあまりにも急激なものだ。バブル時代が終わり、日本の経済事情が変化し、低成長時代になった。それに伴い家族関係も急激に変わっていった。
    子供は社会人になれば将来的には親の収入を追い抜いていく、子供は親を追い越していくという「常識」は消滅した。そしていつまでも親に頼らなければ生きていけない子どもたちが多く発生した。
    ここ20年ほどの短期間でこれほどまでに「家族」という概念が変化してしまい、日本人はそれに追いついていけない、受け入れられないのではないだろうか。
    「金しだい」という衝撃的な題名であるが、実際お金に関する問題解決なくして現代の家族関係は成立しないということはこの著を読めば明白である。冷静に家族間の問題(お金の問題)を受け止めなければ、新たなる一歩を踏み出せないことがよくわかる。

  • 367.3

  • 注目している著者のもの。

  • P135
    家族を巡るキーワードは、なんだろう。絆や愛情ではない。「お金」「権力」である。愛情が無意味だといいたいのではない。

  • 読み応えがある、1度目はさっと2度目はじっくり読む。そういう読書に浸れるちょっとした時間的余裕があることに感謝したいと思う。
    心理カウンセリングとは尊い仕事だと感じる。並みの人にできる仕事ではないし、困難な場面も多くあるだろうし、魂の仕事のようにも感じる。AIが発展しても、消え去ることはなさそう。

    アルコール依存症や子どものひきこもりやドメスティックバイオレンスなどが生じるのは、多種多様な背景で家族の信頼関係が失われたことによるのだとは思う。その背景をもっと詳しく知りたいとは思うものの、育児を始めて間もない新米の親としては、子どもにとっての幸せは、自分の力で生きることができるようになること、究極的には自分の力で稼ぎ、経済的に自分で意思決定ができるようにすること、そんなことを強く意識して子育てをしようと思った。

    何が起こるか分からない不透明な時代だからこそ、愛情に満ちた家庭で信頼関係や絆は決して崩れることはないと信じていたとしても、いざというときに崩壊するリスクが全くない、というわけではない。「家族観」として、「お金」や「権力」だということを一面として理解しておく。よりよく生きる教養を得たと思える境遇に感謝。

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著者プロフィール

公認心理師・臨床心理士、原宿カウンセリングセンター顧問、公益社団法人日本公認心理師協会会長。1946年生まれ。お茶の水女子大学大学院修士課程修了。駒木野病院勤務、嗜癖問題臨床研究所付属原宿相談室室長を経て、1995年原宿カウンセリングセンターを設立。アルコール依存症、摂食障害、ひきこもりに悩む人やその家族、ドメスティック・バイオレンス、児童虐待、性暴力、各種ハラスメントの加害者・被害者へのカウンセリングを行ってきた。著書に、『母が重くてたまらない』『さよなら、お母さん』『家族のゆくえは金しだい』(いずれも春秋社)、『カウンセラーは何を見ているか』(医学書院)、『アダルト・チルドレン』(学芸みらい社)、『家族と国家は共謀する』(角川新書)、『タフラブ 絆を手放す生き方』(dZERO)、『共依存』(朝日文庫)などがある。

「2023年 『家族と厄災』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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