エスノグラフィー入門 <現場>を質的研究する

著者 :
  • 春秋社
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  • Amazon.co.jp ・本 (376ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784393499115

作品紹介・あらすじ

文化人類学・社会学はもちろん、教育・心理、医療・看護・福祉の臨床現場で、更にはマーケティングの最前線で欠かせない調査手法となったエスノグラフィー。調査開始からレポート・論文の書き方、発表まで、第一線の人類学者が初心者向けにきわめて実践的に解説。卒論・修論生、そして現場と関わるすべての人の総合ガイド。

感想・レビュー・書評

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  • 現場の目線で物事を理解する意義とその方法に関して理解が深まりました。

  • ・Pⅰ:エスノグラフィーをはじめよう:現場からはじめる
    エスノグラフィーとは、人々が実際に生きている現場を理解するための方法です。

    見知らぬ土地で謎と出会った時、普段の生活や仕事の現場で既存の考え方が通用しない問題に突き当たったとき、エスノグラフィーがそれを解き明かす道を開いてくれるかもしれません。

    ・Pⅲ:エスノグラフィーはどんな目的に適しているのでしょうか。ある社会的な事象をその文脈も含めて明らかにしたい時、エスノグラフィーは威力を発揮するでしょう。特に、既存の説明の枠組みが通用しない、未知の事象を理解するために適しています。なぜなら、エスノグラフィーが「異文化」や「他者」の世界を理解する方法として発達してきたからです。

    フィールドワークとエスノグラフィーとの関係についても述べておきましょう。ここではフィールドワークは(=現場調査)をエスノグラフィーの中に含まれるものとして考えます。エスノグラフィーを研究の立案から、調査の実施、分析、そして論文執筆までを包括するプロセスとして広く捉えるからです。

  • フィールドワークで最も簡単であり、かつ卒論まで考えられる本である。人類学分野が多いかもしれないが、エスノグラフィーとして他の分野でも十分に利用できる。質的研究を行なうための本として論文の作成の仕方としていい本である。これを教育分野としても十分に役立つと考えられる。

  • 6 世界の見え方を決めるもの──認識枠組と文化装置[土田映子先生] 2

    【ブックガイドのコメント】
    「文化人類学者による研究方法入門書。研究に欠かせない『概念』『理論』を平明に解説。」
    (『ともに生きるための教育学へのレッスン40』183ページ)

    【北大ではここにあります(北海道大学蔵書目録へのリンク先)】
    https://opac.lib.hokudai.ac.jp/opac/opac_link/bibid/2001479212

  • 質的研究とは人間、心、社会などについて数字ではなく、言葉や映像を用いて研究する立場の総称。現場力、概念力

    問いを立てて、調べて、分析する。研究の重要な評価基準の1つにオリジナリティがある。

  • 文化人類学を始めてから最初に読んだ指南書。あれから何年も経って、フィールドワークを重ね調査・研究に「慣れ」てきても、読み直してみると、反省点や軌道修正する方法がいくつも見えてくる。今年は第5刷が発行された。刷が新しくなるたびに小さな修正が加えられ精度が増している。改定前の版を持っていても、修正点についてはweb上の「エスノグラフィー入門・プラス」(http://www13.ocn.ne.jp/~hoda/ethnography.html)にて確認できる。このサイトでは、著者の小田博志先生によってエスノグラフィーを学ぶための文献が紹介され、随時更新されている。

  • 非常にわかりやすい方法論の集積。迷った時の道しるべとなる一冊。

  • 2013年11月~ 企画コーナーにて展示中

    越谷OPAC : http://kopac.lib.bunkyo.ac.jp/mylimedio/search/book.do?target=local&bibid=1000763264

  • フィールドワークの作法を計画段階から発表までフォローしている教科書.とても分かりやすく,であるが故に,少し物足りなさも感じた.
    物足りなさは説明の不足云々というよりも,実際に現場に参与しなければならない,もしくは現場に参与すれば何か分かるはずだという淡い期待を抱いてしまうからだろう.筆者自身も,何もこの教科書でエスノグラフィーのありようが分かる訳ではないということを前提にしながら議論を進めている.
    例えば,概念力を鍛えるという章の要旨は,自分が所与としている概念と現場で使われている概念の間には異なる体系の中に位置づけられているのだから,相対化することが必要であるし,そうすることを通じて,はじめて現場で使われている知識と実践が明らかになるというものだが,理解するだけなら簡単だろう.高校入試の問題にも散見されるような,文化の相対性という話に近い.しかし,現実にはそう考えることが難しいからこそ,教科書になっているのだろう.結局,理解は可能でも,実践ができるかというのとは話が違うということになる.
    今後は,この教科書で紹介された良質な民俗誌などを参照しつつ,現場に出てみることを経た後でもう一度,教科書では該当事項がどのように記述されているのか,確認することが求められるだろう.

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著者プロフィール

北海道大学大学院文学研究院教授
Dr.sc.hum.(ハイデルベルク大学)
著書に
『エスノグラフィー入門:〈現場〉を質的研究する』春秋社 2010(単著)
『質的研究の方法:いのちの〈現場〉を読み解く』春秋社 2010(波平恵美子と共著)
『平和の人類学』法律文化社 2014(関雄二と共編著) 他

「2023年 『生きる智慧はフィールドで学んだ』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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