蜘蛛男 (江戸川乱歩文庫)

著者 :
  • 春陽堂書店
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本棚登録 : 92
感想 : 5
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  • Amazon.co.jp ・本 (365ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784394301530

作品紹介・あらすじ

美術商・稲垣平造が女事務員募集の広告を出した。その広告にひかれて稲垣のもとを訪れた里見芳枝は、その日から消息を絶った。稲垣のために殺された芳枝の死体は腕・足とバラバラに石膏細工の中から見つかる。数日後には、芳枝の姉絹枝も死体となって発見される。不敵な挑戦状を受けて颯爽と立ちあがったのは、犯罪学者・畔柳友助博士とその助手・野崎青年であった…。読者の想像を絶する凄惨な連続美女殺人事件をえがく乱歩長編探偵小説の代表作!

感想・レビュー・書評

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  • 「殺人は芸術」と考えるサイコパスが登場。この上なく残忍なのに漫談のような語り口。「読者はお気づきだと思うが……」とか「作者が意図したのは……」という感じで、ふいに解説者もしくはナレーターが現れこちら読者に呼びかける。犯人が狙うのは好みの美女で同じような顔ばかり。それは想像すると異様であり滑稽。実際「殺人は芸術」と考えるのは乱歩自身ではないか。それはもちろん言い過ぎだが、殺人事件をひとつの芸術品として結晶化させている。


  • 本当に面白い
    江戸川乱歩ってどの作品も面白いからびっくりする
    でも、私的にこの話は悪魔の紋章に似てるような気がする

  • 中盤以降に明智小五郎が登場する。
    それ迄は犯人の独壇場だ。
    新聞記事によって事件の凄惨さが世間を賑わせる描写に時代を感じる。
    小道具が惜し気なく使われていて面白い。
    ピストルが出て来るのは予想外だった。
    助手の野崎三郎も波越警部のなかなか好人物だった。
    私には青髭=畔柳博士が遊んでいるようにしか見えない。
    芸術的ではない。
    変装したりいつも楽しそうだと感じた。
    一方、富士洋子のような顔貌の女性をコレクションする趣味には生理的な嫌悪感を抱いた。
    勇猛果敢な洋子が同情を起こし、捕えた青髭を逃がそうと気を緩めたのは気の迷いとしか言えない。

    「パノラマ島奇談」と重複する場面が非常に多い。
    屍蝋も裸女の地獄池もそうだ。
    作者自身の背徳的な理想が反映されているのだろうか。
    明智は犯人の逮捕より個人的な真相の追求を優先すると述べているが、もしかしたら自身の推理で犯人を圧倒し、絶望させて自死させる事が真の目的ではないのかと考えたくなってしまう。

  • 物語の三分の二までは探偵小説らしいスリリングな展開でワクワクさせてくれますが、明智小五郎が登場すると蜘蛛男の正体が自ずと分かってしまい残念。終盤は見せ場を盛り込みたいためか、警察の怠慢や明智の凡ミスなどありえない展開がダラダラと続きうんざりしてしまいました。
    また、蜘蛛男が似た顔の女性ばかり狙った訳とか、女体の数49の意味とか説明不足な部分もあり消化不良でした。

  • 長編推理小説。

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著者プロフィール

1894(明治27)—1965(昭和40)。三重県名張町出身。本名は平井太郎。
大正から昭和にかけて活躍。主に推理小説を得意とし、日本の探偵小説界に多大な影響を与えた。
あの有名な怪人二十面相や明智小五郎も乱歩が生みだしたキャラクターである。
主な小説に『陰獣』『押絵と旅する男』、評論に『幻影城』などがある。

「2023年 『江戸川乱歩 大活字本シリーズ 全巻セット』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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