- Amazon.co.jp ・本 (349ページ)
- / ISBN・EAN: 9784394902676
作品紹介・あらすじ
童話は、感情の「原型」を描く。いま、読み直す新美南吉。
感想・レビュー・書評
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「名作童話 新美南吉30選」、宮川健郎 編、2009.2発行です。新美南吉さん、1913.7~1943.3、享年29、「ごん狐」は18歳の時、「手袋を買いに」は20歳、「でんでんむしのかなしみ」は21歳のときの作品です。私が「ご飯は一粒たりとて残してはいけない」という「つぶやき」(日記)を書いたとき、新美南吉さんの「百姓の足、坊さんの足」という物語が浮かんだと読書友達の方に教えていただきました。「百姓の足、坊さんの足」いい物語でした。お百姓さんのご苦労に感謝ですね!この作品は、著者28歳の作品です。
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絵本の原作か、と読み始めたら!昭和初期の世相と子供達の心情が丁寧に書かれていました。
時代に生きた人々の逞しさと、倹しいけど風流な暮らしに感銘を受けました。
「おじいさんのランプ」が一番かな。 -
「ごんぎつね」「てぶくろを買いに」が広く知られる新美南吉。
童話というより大人の短編集でした。でも、最初の感想―「面白くない」・・・。
というのも、昭和のお年寄りが幼いころの思い出を書き記したような調子で、たとえば、何もない田舎の村に横浜から転校生がやってきて、「君」という呼びかたですらハイカラに思えた。といった具合です。
でも、半分くらい読むと、ようやく良さが分かってきます。
描かれるのは、貧しくシンプルな暮らし。
ごはんを一粒残しても親に怒られ、
誰かを「死ねばいい」と言っただけ、思っただけで親にぶん殴られ、
何か悪いことをすると罰が当たると人々が信じている倫理観。
「バチがあたる」なんて
最近聞かないですよね。
倫理観とは別に、「おじいさんのランプ」という話がよかったです。
まだ家々にランプがなかった時代に、ランプ屋を開業した男の話です。
ランプ屋が軌道にのり、結婚し、家を建て、順調に過ごせたと思いきや、
電気の時代がやってきます。
電気を引くことを決めた村の役員や、電気そのものを恨むのですが、
人のせいではなく、ランプの時代は終わったのだ、ということに気づいてすっぱりとランプ屋をやめて新しい商売を始めます。
辞め方の潔さを描いた短編です。ランプを選択した自分を責めたりしないところがいいです。
それから鐘を作る話や、井戸を掘る話もよかった・・・
このシンプルさに触れると、
普段私たちが手に入れることができる娯楽作品情報がいかに豊かで成熟しているかを知ることになりました。 -
2010/6/8
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■花のき村と盗人たち■
すかんぽやうまごやしの生えた緑の野原で、子供や牛が遊んでおりました。これだけを見ても、この村が平和な村であることが、盗人たちにはわかりました。
■おじいさんのランプ■
まことに子供というものは、黙って遊ばせておけば何を持出すやらわけのわからん、油断もすきもない、ぬすっと猫のようなものだ。こらこら、それはここへ持って来て、お前たちは外へ行って遊んで来い。外に行けば、電信柱でも何でも遊ぶものはいくらでもあるに」 「うん、馬鹿しちゃった。しかしね、東坊――」 23:02
■花を埋める■
どこかはるかなくにの、おとぎばなしか夢のような情趣を持った小さな別天地があった。小さな小さな別天地。ところがみているとただ小さいだけではなかった。無辺際に大きな世界がそこに凝縮されている小ささであった。そのゆえにその指さきの世界は私たちをひきつけてやまなかったのである。 8/9 22:24
正坊とクロ
張紅倫 8/21 19:19