知性とは何か(祥伝社新書) (祥伝社新書 420)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (272ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396114206

感想・レビュー・書評

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  • スコットランド独立運動を沖縄独立とを重ねた視点で書かれた琉球新報の記事が興味深かった。僕は沖縄は日本の一つの県だと普通に思っていたけど、沖縄の人たちの中には日本から独立(自己決定権の確立)したいと思ってる人もいるそうです。なので、スコットランド独立運動に対する見方が、そういう沖縄の人とそれ以外の人(例えば僕)で全然違うみたい。そういう自分の予想もしてないような視点を意図的に得るのは難しい。けど、大事なことだと思った。

  • レビュー省略

  • だいぶ前にかじっていたものを読み通した。
    本書を購入するきっかけとなったのは、田坂広志氏の「知性とは正解のないものを問う力」という言葉に出会い、「知性とは何か」を探求したかったからだ。
    本書は2015年に書かれている。
    斎藤環氏の『ヤンキー化する日本』が引用されていたり、柄谷行人について言及していたりと、偶然にも私自身が最近または直近で気になっていたことと合致して嬉しかった。
    佐藤氏の書物は難解に感じるものが多かったが、本書は理解できるところが多かった。
    また、参考になる文献の紹介もあった。
    しかし、それは佐藤氏が内容のレベルを下げているからだと推測する。
    「知の怪物」佐藤氏にしては、ずいぶんと噛み砕いて書かれていた。
    反知性主義に傾きそうな読者に知性を与えたいと考えて噛み砕いているとすれば、複雑な心境になる。
    とはいえ、佐藤氏の「目に見えないもの」まで分析するインテリジェンスの力に触れることができた一冊であった。

  • 反知性主義という存在は何となく理解できるが、その後の論調はやや散漫。あれもこれもといった印象。

  • 著者は確かに博識で様々な社会・国際問題に対する示唆に富んだ意見も納得できるし、反知性主義に対する警告もその通りだと思う。 ただ逆説的だが、世の中が知性で動いていない以上、その中で生き抜いていくためには知性主義一辺倒では頭でっかちではないか。その差を埋めていく具体的な手を差し伸べ方が必要な気がする。 そういう意味で紹介している書籍や引用文はやや難解で、インテリ界の持ち物のような印象。架け橋となる池上彰さんのようなアプローチも大事。 ただ著者の言う通り、客観性と実証性を伴った勉強はするべき。

  • 前半はいけるが、後半がむずい。とにかく知性を磨きたい

  • 久しぶりに私がまたもや尊敬する、佐藤優さんの本を図書館でゲットできたので、今日も書評ブログを書こうと思う。

    ズバリ題名は「知性とは何か」という曖昧かつ直観的なタイトルである。著者の佐藤さんが言うには、いま日本には「反知性主義」が蔓延している。反知性主義とは「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解する態度」だといいう。

    私も先日、入院していたとき、友人でかつ霊能者の方から「反知性攻撃」を受けた。攻撃の対象となったのは、私が以前所属していた、宗教団体についてである。

    彼は私の実証的な経験談を全く無視し、「新興宗教は~」と一方的に彼の論理をまくしたてた。

    当該宗教団体は、霊能力を基盤にし霊能者を要請する宗教団体であり、自分の事が霊能者と悟られないように、常日頃行動している彼にとって、何としても全否定をしたいという風な意図が満載であった。

    私が精神分裂病(当時の病名、現在は統合失調症と呼ばれる)を発症し家族入信であることを知った彼は、中小企業の経営者だった私の父が下請けの会社の経営者を入信させた、という事実を告げると、なんと父が会社の金銭を当該下請け会社の経営者と共謀し、横領して所属していた宗教団体にお布施していたのに違いない、と自説を頑強に主張し始めた。

    私が「私の入信していた宗教団体は、そのような黒い意図の金銭を求めません。例えば昼食を外出で賄っていった人が、早起きしてお弁当を作り、浮いたお金をお布施する。そのような善意のあるお金等を喜んで受け取るのですよ」と諭しても、ますます舌鋒は鋭くなり、彼は霊能力を行使して、父と交信したのか「お父さんは統失(統合失調症)じゃないですかね~?」とまで言われた。

    私は呆れてものが言えなかったので、彼に「あのね、他人の両親を否定することは一番みんなの嫌うことですよ。また他人の信仰なんかそのように全否定すると、みんなカンカンになって怒ります。」と諭してやった。

    彼は仲間内でも毒舌で有名で、読書量も半端なく、東洋大学出身だが関学生の私を捕まえて、「僕は法政大学を受けた時、ノロウイルスにかかっていた。病気さえなければ、法政に通っていた。絶対あなたより僕の方が頭いいですし、裁判を起こしてもらっても結構。絶対訴訟をしたら、僕が勝ちます。」とまで言い切った。

    何故、彼が頑なまでに私を否定したかったかというと、私は霊能者の霊能力で統合失調症になったので、霊能者をいつも全否定しているのが、彼にカチンと来たようだ。ましてや自分も霊能者であり、その上自分が霊能者であることをバラされたくない、とそのような動機があったと思われる。

    彼の行ったことは、本書で言う「反知性主義(実証性や客観性を無視し自分が欲するように世界を理解すること)そのものであった」

    この著書にはそのような反知性主義者の行動にどう立ち向かえばいいか、つぶさに書いてある。

    スマン。今日も××で自転車の鍵を盗られたので、感情的になりました。いい本です。

  • 外国語の勉強の仕方は勉強になった。

  • 誰にでも「自分が欲するように世界を理解しようとする態度」という一面は在る。それは否定出来ないが、と言って「実証性や客観性を軽視もしくは無視」というのも困る…「実証性や客観性を軽視もしくは無視」に対して、「実証性や客観性を少々重視」ということにして、「どうでしょうか?」と考えるというようなこと…大切にしたいように思う。或る意味、本書を読んで“スッキリ”したような気もしている。

    或いは…「実証性や客観性を軽視もしくは無視して、自分が欲するように世界を理解しようとする態度」と本書の著者が定義する「反知性主義」とでも呼ぶべき傾向を、「自身も強めに帯びているのかもしれない」ことを“自覚”しているが故に、それに類するものが気になるのかもしれない。そして「実証性や客観性を軽視もしくは無視」に対して、「実証性や客観性を少々重視」ということにして、「どうでしょうか?」と考えるというようなことに意を向けたいと思うのかもしれない…

  • 新しい知識や見識、論理性、他者との関係性などを等身大に見つめる努力をしながら世界を理解していくという作業を拒み、自分に都合が良い物語の殻に籠るところに反知性主義者の特徴があり、合理的、客観的、実証的な討論を反知性主義者は拒否するという。
    これを可能にするのが人間のもつ「自己欺瞞」の能力だという。動物行動学を援用したこのくだりは面白い。(p116)
    では、反知性主義を封じ込めるには、深い自己省察と謙虚さを持った人間性に価値を置くこと。やはり、基本的な人間修養が最も大切だという基本に戻ると思う。
    また、著者は読書の大切さを繰り返し説いているが、これは言わずもがなである。

    本の構成としては、話題が飛ぶし、議論の深まり具合に一貫性がないので読みにくい。しかし、ところどころ考えさせられる部分があり良。

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著者プロフィール

1960年1月18日、東京都生まれ。1985年同志社大学大学院神学研究科修了 (神学修士)。1985年に外務省入省。英国、ロシアなどに勤務。2002年5月に鈴木宗男事件に連座し、2009年6月に執行猶予付き有罪確定。2013年6月に執行猶予期間を満了し、刑の言い渡しが効力を失った。『国家の罠―外務省のラスプーチンと呼ばれて―』(新潮社)、『自壊する帝国』(新潮社)、『交渉術』(文藝春秋)などの作品がある。

「2023年 『三人の女 二〇世紀の春 』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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