- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396116521
作品紹介・あらすじ
可視化された近未来
2030年、東京は本格的な人口減少時代を迎え、いっそうの高齢化が予想される。社会は激変し、街の風景は一変するだろう。23区内で買物難民が発生したり、手術が半年待ちになったりするかもしれない。DXの進展で職を失う人の増加も懸念される。そんな近未来を、「仕事」「家族」「街、住まい」「暮らし」「老後」に分けて可視化したのが、本書である。著者2人が提示した処方箋に耳を傾けよう。今なら間に合うのだから!
感想・レビュー・書評
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「未来の年表」を読んでいたので、話の内容は概ね予測できた。2022年現在、東京は未だに人口が増えており、街には若者が沢山いる。新たな仕事や人との出会いのチャンスはいくらでもあるように見えるし、ボーッと過ごしていると高齢化、過疎化が来るとは思えない。
近い未来、今の日常が続かず、自己変革待ったなしの状況であることは変わらない。改めて危機感を感じたが、処方箋というか、いくつか前向きな提言があった。
例えば、駅毎に都市の機能を分散させ沿線全体で1つの「都市」を構成させる考え方は面白い。大都市近郊ではどの街(駅前)も雰囲気が似ているが、2030年代は揃って高齢化するのだろう。捨てられる街にならぬよう競うのではなく(個別最適)、より広い視点でコミュニティを考える(全体最適)ことが重要だ。
また、SNSやIT機器に慣れ親しんだ世代(我々)が50代60代になる頃を妄想するのは楽しい。地方でリモートワークをしつつ、あちこちの地域の人と繋がり、何歳になっても新たな交遊関係を築くことのできる素敵なオジサンを目指したいと心から思った。
(追記)
ただでさえ日本は海外より1回り出だしが遅れているが、さらに遅れているのが私の働く業界であり、昭和のオッサン達が支配している。会社はともかく、一個人として、この種の類いの本を読むと、転職を意識するものだ。
転職せずに会社に残りつつ、社会に通用する実力をつけていくためには、周囲(上司・同僚)とは違うことをする感覚でいなければならないと日頃から思っている。
そのためには余暇の過ごし方がポイントであり、会社の飲み会・ゴルフ付き合い・余計な資格学習ではなく、資産形成や人脈形成に注力したい。
ある日突然会社が傾いた時、慌てて転職活動をするのではなく、起業するくらいの覚悟を持って、自己研鑽に臨みたい。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人口が減少していく近未来の東京を予測した一冊。高齢化が進んだ町では、買い物難民が増え、病院は運営側の人材不足、設備が不十分で、大病して手術が半年待ちになるなど、暗い未来を予測している。
全てが本書のようにはならないことを願うが、最悪の事態を想定してプランBを考えるという一助になる一冊。 -
対談形式で読みやすく、これから引越しや子の就学、親の定年退職を迎える身として勉強になった。また、仕事面でも自社の採用や新規商材を考えるうえでも参考になることが多かった。
▼以下気になったこと、勉強になったことメモ
・テレワークの課題は、人事評価システムが旧態依然としていること
・テレワークが普及しても、定期的な対面でのディスカッションの機会やオフィスでの雑談の機会が必要
・少子高齢化社会は雇用の偏在も懸念される
成長産業やリーディングカンパニーが有能な人材を囲い込むと、そうで無い企業は思うように人材確保ができなくなる
・若い優秀な人材を1社で囲い込むのではなく、他社に貸し出したりシェアしたりする発想に切り替える
若年層が少なくなるとイノベーションや新たな発想が生まれづらくなるため、雇用を流動化させる。優秀な若手人材がスキルアップを図りながら、どんどん成長分野に移っていくくらいにならないと、人口減少下における日本経済は活性化しない
・これまではいい大学に入ることはいい会社に入るためのパスポートを意味していたが、今後は「〇〇大学卒業です」が"面接"駅の入場券くらいにしかならない。
・高齢者数がとりわけ増えるのは千代田区・中央区・港区。このエリアにマンションを買っている若く成功した人やゆとりのある中高年が高齢化していくということ。ビジネス中心の街づくりから高齢者にとっても暮らしやすい街にする必要がある。
ビル内や公衆トイレ、駅のバリアフリーは整えられてきたが、そこに辿り着くまでに時間がかかる。バスの乗降も時間がかかり道路は渋滞、電車で「具合の悪いお客様の〜」で遅延が増える。
・新格差社会
働けない高齢者は倹約するしか無いので、安いものを求める。一方でマーケットに占める高齢者の比率は大きくなるので、高齢者の手が届きやすい価格帯に商品投入をせざるを得ない→コスト削減のため若い世代の賃金水準が下がる→低価格帯商品は若い世代にも歓迎される→さらに低価格帯の商品が…とマイナスのループ
・タワマン集中ならではの問題
交通の便と通勤時間の短さが売りの武蔵小杉も今後魅力が減退していくだろう
タワマンは通常マンションの3〜4倍の修繕費がかかり、築15〜20年で大規模修繕が発生する。大規模修繕後のの積立修繕費が上がることもある。収入が減り手放さざるを得なくなった住民も増えると、不動産価値はさらに低くなる。
少子化によって一つの建物、一つの街で世代交代していくことを前提とした開発モデルは成り立ち得なくなっている。タワマンはさを売る時にそこまで考えておらず、売ることが先決だったという開発担当もいるくらい
日本の不動産業界がずっと成長してきたせいで、不動産業界はマーケティングをほとんどしていない。客が永遠に存在する時代の発想、モデルで事業を進めている
大型商業施設も建てることが目的化している。細々と続けていた商店の多くが姿を消し、商店街がシャッター街になった頃に、大型商業施設の採算が取れないことに気付き閉鎖となる。高齢化による買い物難民が増え、不便になったことによって地元を離れる人が増えるという悪循環になる
・これから生き残る街は、都心への利便性や自然の有無などではなく、街にどのような機能が実装されているかである。医療の充実度、金融機能の発達など
・治安の悪化
かつて中間層が多かった日本だが、失われた30年で所得格差が広がった。さらに少子高齢化社会となり、政府が高齢者優遇政策を行い続けてきたことで世代間の不公平さも広がっている。
空き家が目立つようになると空き巣も増える。流行っていたワンルームマンション投資は、オーナーが定年を迎え所得が減ると節税効果は失われ、手放すこともできず(建築が続いており競合が多いため)、賃貸人を選べないようになり外国人や犯罪者が住むマンションになっていく可能性がある。
認知症の高齢者が増えることで、火事などの事故も増える。
・教育費と学歴のアンビバレッツ
地方では、あまり出来が良くなくても学歴をつけるために、親が過重な教育ローンを組んだり、本人が奨学金を背負って東京の大学に入ったりする。だが就職先が見つからず、あるいは低賃金での仕事しか得られず、じりじりと貧困に陥っていく。東京は旺盛な吸収力ゆえに、貧困も再生産している。
今の日本は高学歴でないと親の貧困が再生産される社会になっているため、それに対する恐怖感が親にある限り、この流れは止められない。
・老後資金が足りない場合の対処としての「スキルの交換」という考え方
昭和30年代頃までは、味噌や醤油を貸し借りしたり、雑草抜きのついでに隣の家の雑草も抜く、など、コミュニティ内でのやり取りをせざるを得なかった。庶民同士の緩やかな絆を、ある程度取り戻していかなければならない
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今年(令和4年)3月に発行された本です、現在の状況を加味した上で、今から10年も経過しない2030年の東京がどうなっているかを予測して解説した本です。仕事の仕方はこの2年間で、過去あれほど変わると言われながら動きが鈍かったものが変わってしまい、元に戻ることはないと私は予測しています。
2030年にはバブル弾けた21世紀初頭からずっと増え続けてきた東京の人口がいよいよ減少し、さらには急激に高齢化が進むと予測されています。それ以外にも様々な観点から予測がなされています。2030年といえば、私は完全に会社から離れていると予想されてます、その時に不安なく生きていけるように残り少ない期間ではありますが、悔いのない生き方を目指していきたいと思いました。
以下は気になったポイントです。
・現在の東京は過去の成功体験の余熱で飯を食っている、状態である。この余熱はあと10年ほど続くかも知れず、著者は危惧している。現在の人口規模を前提とした東京モデルを意識の中から早急に捨て去ることが必要である(p27)
・オフィス空室率は、2回目の緊急事態宣言が出た2020年夏が転換点となり、急上昇。2021年12月時点で6.33%となった、空室率は5%が分水嶺とされている(p31)
・資格取得をしても自分の仕事につながらないケースが殆ど、資格は名刺に刷られる添え物に過ぎない、それよりも自分の専門領域を広げて学んでみるべき(p56)
・東京に人を送り出してきた地方の若年層が枯渇するので、2025年に東京都の人口がピークアウトを迎えて、それ以降は東京都は萎んでいく(p65)
・東京の鉄道会社は通勤通学定期券が収入のベースになっているが、すでに少子化と団塊世代の引退で先ぼそりの状況。現在は移行期なのでテレワークを導入しても定期券を支給し続ける企業が少なくないが、今後、在宅勤務者が主流になったら経営的には相当な痛手になるだろう(p89)
・東京圏では、16号線の外側になると不動産開発の勢いは全くなくなる、千葉県なら曽我駅から先、東京都なら八王子駅、神奈川県では金沢八景、埼玉県なら大宮の先となる。(p93)
・タワマンは建物なので老朽化と向き合わなければならない、築後15−20年になると大規模修繕が発生しこの修繕費が曲者、10階建てマンションに比べて3−4倍の修繕費がかかる、安めに設定するので積立金は築15年の最初の大規模修繕で使い切ってしまい、その後修繕積立金が上がり、管理費と合わせて5万円以上位なることがある(p97)
・東京圏に集まる人の受け皿を作るために郊外を開発し、マンションや一戸建てを造れば誰かが買うという繰り返しの中で、その街がどのように成長し、家族が入れ替わるかということは考えてこなかった、このようなモデルが続かないことにようやく気づくのが2030年頃だろう、それまでは止まらない。止まるのは売れないことが嫌というほどはっきりとわかってから(p105)
・日本の住宅市場は昔から新築が多く7割で推移してきた理由、日本人は綺麗好きだから新築だけに価値を置いてきたと説明されてきたが、本当の理由は、圧倒的に供給量が足りなかったから、新しい家を立てないと家そのものが不足していたから。マンションや建売を買うか、中古住宅を自分で選ぶかそれが定着するのが2030年頃になる(p106)
・2030年に高齢者となる世代は仕事一筋ではなく、集団よりも個々人で気の合った仲間とこだわりの趣味を楽しむことに長けている、SNSに慣れ親しんできた世代でもあり、仕事を離れても繋がり続ける手段をいくつも持っている。ある程度、暮らしにゆとりのある人たちを中心に、元気なうちに若い頃にやり残した趣味や活動に打ち込み、悔いなく生きようという価値観が広がるのではないか(p171)
・2030年を東京に限らず日本の分岐点として位置付けるべきである。2030年以降も高齢者は増え続ける、東京に食料やエネルギーを供給してきた地方では人口減少が顕著になる、これまで何とかやってきた古き成功モデルがどんどん通用しなくなり小手先の改革では意味をなさなくなるのが2030年代である、高齢者の人口がピークを迎える2040年代初頭こそ、日本にとって当面最大の正念場位なる(p173)
2022年4月2日作成 -
ジョブ型雇用の浸透や年功序列の廃止やニュータウンの高齢化など、どんどん現実味を帯びてきているなあと感じた。老後のことも考えながら人生設計していくことが大事。
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地方からの若年層流入による拡大をベースとしていた東京の成功モデルが成り立たなくなる
それは、仕事・街・住まい・生活あらゆる面に及ぶ -
著書河合さんのほんが読みたくて、選んだ本。不動産屋との対談になっていてシナジーがおもしろい。もう一度読みたい本。また、昭和のおじさん達に読ませたい本。
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2030年 ちょうど延長雇用が終わる年です。
2030年の東京というよりも老後について
考えさせられる内容でした。
遅きに失した感じはあるが。ある程度いろんなことを
準備したいと思いました。 -
少子高齢化、人口減少を中心とした目下進行中の社会問題を軸に、2030年の東京に切り込む。読んでいて暗い気持ちになってくるが、決して無視してはいけない重要テーマ。
●キーワード
・定年延長
・年功序列の崩壊
・少子高齢化→若手社員の減少による新陳代謝の低下
・人口減少のなか、労働集約型の働き方を続けることの危うさ
・ジョブ型雇用促進により、社会全体で優秀な人材を共有することの大切さ
・そのための(テレワークに対応した)人事評価システムの確立
・高齢者の増加によるデフレリスク
→高齢者は所得が少なく倹約する傾向にあるが、企業がそこにターゲットを置くことで価格の安いものが量産される