- Amazon.co.jp ・本 (289ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396207649
感想・レビュー・書評
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カバー&扉イラスト / 加藤 龍勇
装幀 / かとう みつひこ
初出 / 『小説NON』2001年2月号・5月号・8月号・11月号、2002年2月号・5月号・8月号・11月号、2003年3月号詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
人が死なない日常のミステリー系の話だけど、舞台が楽器店にあるピアノ教室なので、音楽が絡むところが面白かった。
わけありピアノ教師の亮子先生の過去は確かに重いものではありますが、心配してくれる周囲の人がいることもあり、やはりちょっと贅沢な悩みなのかなと思わなくもない。
最後、前向きになれていたところは良かった。 -
うわあ、面白いっ! 優しい気持ちになれるっ! 菅さんのミステリはやっぱりいいなあ。
あらすじ:
街中の小さな楽器屋の二階には、その楽器屋夫婦の経営でピアノ教室が開かれている。見た目も中身もお嬢様然とした亮子はそこでピアノの先生をしながら、子供たちが抱えるちょっとした秘密や言いにくいことをその柔らかい雰囲気でくるんで、心を開かせ打ち明けてもらう。そしてお嬢様に似合わぬ鋭い面を見せて、問題を解決してしまうのだ。柔らかい時間が流れる中、近所で変質者が出没するという。その噂を耳にした亮子は、倒れてしまうのだが――。彼女の過去に何が?
読んでいて心地いいの。お嬢様でぽやぽやしている亮子だけど、イライラせず逆に子供たちみたいに癒されてしまった。
推理小説のあの推理小説臭を感じさせない、物語として楽しいミステリだからこそ楽しい。謎はあのマイウェイの人の話みたいな、いかにもミステリの舞台装置みたいなものもあれば、子供らしい競争をどうやって解決するか、という微笑ましい物まで。大きな謎ではないけれど、子供たちが直面する問題を解き明かすのではなくていかに上手く解決して、いい方向に持ち込むか、という流れがとても読んでいて快い。
そして亮子の過去。支えてくれている友人ってなんて偉大なんだろう。
お嬢様の亮子だけれど、そう見られたくない。お嬢様だから音楽大学主席なのも当たり前。上京は違えど、誰もが抱える悩みも描かれていて、共感する部分も多い。菅さんってやっぱり鋭いんだよね。
そしてピアノ。ピアノを習ってるってやっぱりどこかお嬢様的なイメージがあるのは解る。いや、私も習ってたから実際はそうじゃない人も沢山いるし(私もその一人だよ)、でもやっぱり優雅。でも音楽家として活躍できる人って一人握りなんだよね。よくて幼稚園や学校の音楽の先生。本書のピアノの先生は稼ぎは不安定だし、生徒数も減っている。そういう面も書かれていて、リアルだった。
うーん、まるで亮子先生のピアノ部屋にいるような気分になれる、素敵な一冊だった。 -
昔ピアノを習っていた時に「歌の翼に」という曲を
発表会で弾いたなぁ・・・と思い出し、読んでみました。
舞台はピアノ教室。
習っていたと時を思い出しながら読みました。
日常の謎に対して亮子先生のトラウマがすごくて
ちょっとびっくりしてしまいました。
読了後、ピアノが弾きたくなりました。 -
何気に読んだ本ですが、主人公のホンワカ性格のわりに
妙に鋭い推理力のアンマッチが楽しい
面白い本です! -
ピアノ教師の主人公が生徒や同僚の持ち込む謎を解いてゆく、「日常の謎」的な連作短編集。結構面白くて気に入ったのだが、亮子先生の過去が重すぎないか?それがあって故の、人の心の機微を読んだり、いろんな知識があったり、てことなんだろうけど。
まあとにかく、周囲の思い遣りが伝わればいいなあ、と思わずにはいられない。 -
日常ほのぼの系。ピアノを習っていた昔が懐かしい・・。
菅さんの作品は優しくて好きです。 -
(収録作品)ラプソディ・イン・ブルー/トロイメライ/お母さま聞いてちょうだい/タランテラ/バイエルとソナチネ/英雄と皇帝/大きな古時計/マイ・ウェイ/いつか王子様が
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★あらすじ★商店街にあるピアノ教室を舞台にした連作ミステリ。音大を首席で卒業しながらも、楽器店の二階で子供達にピアノを教えている杉原亮子。おっとりした外見ながら、子供達の悩みや周辺で起きる奇妙な出来事を鋭い洞察力で解決してしまう彼女だが、過去に受けた心の傷が原因で人前でピアノが演奏出来なくなってしまったという…
★感想★一作一作が短いこともありミステリとしては物足りなさが残るものの、亮子先生のトラウマが明かされてきてからラストにかけての展開は感動的です。亮子先生の推理に救われた登場人物達が、最後には亮子先生を癒す側になっている。どこか懐かしくて優しい気持ちになりました。