カナリヤは眠れない (ノン・ポシェット こ 14-1)

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (282ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396327019

感想・レビュー・書評

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  • まるで整体を受けてるかのようなフワフワした気持ちになった。文章で身体を整えられるなんてことがあると知った!
    これから合田シリーズ、追います!

  • 関西ローカルの雑誌のライター雄大が偶然出会った「合田接骨院』。整体師の合田はかなりの変人だが腕はピカイチ。そこへ患者として現れた買い物依存症の女性。合田は彼女が問題を抱えている事を見抜き、雄大をワトソン役に謎を解く。最初は整体によって心の病を治す話かと思ったけど、途中から予想外のミステリーだった。合田の変人ぶりやワケありの接骨院の2人の受付嬢とキャラクターも揃っていて、これはなかなか面白そうなシリーズだ。

  • 合田接骨院に行きたい!

  •  新婚の墨田茜には昔、買い物依存症で借金をし実家に連れ戻された過去があった。結婚後その衝動を抑えていた彼女だったが…

     ミステリのシリーズものらしく探偵役として、整体師の合田力、ワトソン役に雑誌記者の小松崎、また合田の整骨院の受付の姉妹といずれも個性があり魅力的なキャラはいるのですが、どちらかというと彼らは添え物であくまで茜が主人公の小説という印象があります。

     優しい夫に見初められるも、どこか物足りなく言葉にできない不満を抱えていたり、昔の友人たちがお金持ちになっていて劣等感を抱えたり、
    そうした人間心理のひだというものがしっかりと書かれています。

     そしてとあるきっかけで、17歳の少年と仲良くなる茜の描写もなかなかのもの。下手すると官能小説の雰囲気になりそうなところを、とても爽やかに二人の関係性や感情を描いているところも非常に好印象です。

     文庫書下ろしでページ数も300ページ足らずながら、探偵たちのキャラの立ち具合はもちろんのこと、心理小説、恋愛小説のうまみも取り入れられていて、内容の濃い小説でした。

     その分チョット惜しいなと感じたのがミステリ部分。終盤までミステリ要素はないため、合田・小松崎コンビの活躍が急すぎるように感じました。一応伏線がないわけではなく、展開も面白かったのですが、
    ミステリでいくならもうちょっとそうした雰囲気を早めに出しても良かったかな、という気はしました。

     しかし、魅力的な作品であることには間違いありません。次回作もあるみたいなので、そちらもそのうち読んでみたいな、と思います。

     
     小説の内容と関係ないのですがちょっとびっくりしたのがこの本の出版が1999年だったこと。自分は近藤さんを『サクリファイス』で初めて知ったので、
    あまりベテランの作家さんというイメージがなかったのでちょっと意外でした。思っていた以上に息の長い作家さんなんですね。こうして読むと、昔から実力のあった人だったんだな、としみじみ思いました。

  • 『サクリファイス』が読み応えのあった近藤さん。タイトルからは想像出来ないけれど、依存症に苦しむ女性たちの話。腕はいいが変わり者の整体師が、背中と背骨からストレスを感じ取り、彼女たちが治癒する手助けをします。物事の全体の流れを語るワトソンというかヘイスティングスというかの役割には、不摂生な生活が祟って首が回らなくなってしまった若い編集者。女性たちの状況は重苦しいものの、この編集者と整体師がとぼけたというか味わいのある人物で、物語全体の雰囲気を暗くなりすぎないように調和している感じでした。巧く出来ていると思いました。

  • 整体師の合田先生シリーズ第一弾。

    このひとの物語は日常ミステリと油断していると思いがけない悪意が潜んでいて、その情緒的な部分でのやられた感が強い気がするのですが。犯人の最後の言葉が、こういうことをこの人に、ある人に向かって言わせるセンスが凄いと思いました。うーん…。

  •  主役は体だけでなく心のコリもほぐせる整体師、合田力。助手は美人姉妹、セックス依存症の姉恵と摂食障害の妹歩。患者は体のコリを治す小松崎雄大、心のコリを治す墨田茜。茜の夫が最悪。茜に可愛がられる少年和樹がいい役割を。近藤史恵「カナリヤは眠れない」、1999.7発行。

  • 会話が多くて、とても読みやすい。
    文章が綺麗で、とても読みやすい。
    近藤史恵さんの小説、やっぱり好きだな〜と実感した。

    合田力接骨院行ってみたいな〜。
    買い物依存症を軸に書かれたミステリーだった。

  • この整体院、行きたいわ〜!!
    シリーズあるのね! ぜひとも読まなくちゃ!!

  • 近藤 史恵作品。 6作品目。

    「もう少し、自分のことをいたわってあげてください。あまりにもかわいそうだ」整体師・合田力が、『カナリヤ』にかけた言葉です。それは同時に、鈍感な私にかけてくれたセリフだったかも。

    カナリヤを最後に見たのは、地下鉄サリン事件後、カナリヤを手に迷彩服の隊員がオウム真理教の強制捜査に向かう映像でした。カナリヤは、僅かな毒でも検知できる鳥だと……。
    実際には、性能が良い検知器があり、カナリヤはパフォーマンスだと、後から聞いたような気がするけど……。

    「あなたはただ迷っているだけです」歪められ、悲鳴をあげている身体を時間をかけて施術しながら、合田先生は語る。親身になっているようで、一歩控えめである。だから、カナリヤは深みに嵌ってゆく。この微妙さが、何とも言えない。
    きっと、解決できるのは、治すことができるのは、自分で気づくしかないからかもしれない。でも、もっと、背中を押してくれったって。と、歯がゆく思うのは、なぜ?
    合田ワールドに嵌っている間に、ミステリーだということを忘れる。あれ?事件は?何か起こったっけ?

    ミステリーとしては、犯人の手口とか少し「?」というところもあるけど、希望を持てるエンディングでよかった。特に、若い燕君が、犯人の一味でなくてほっとしました。

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著者プロフィール

1969年大阪府生まれ。大阪芸術大学文芸学科卒業。1993年『凍える島』で「鮎川哲也賞」を受賞し、デビュー。2008年『サクリファイス』で、「大藪春彦賞」を受賞。「ビストロ・パ・マル」シリーズをはじめ、『おはようおかえり』『たまごの旅人』『夜の向こうの蛹たち』『ときどき旅に出るカフェ』『スーツケースの半分は』『岩窟姫』『三つの名を持つ犬』『ホテル・カイザリン』等、多数発表する。

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