ワルツ (祥伝社文庫 ゆ 5-7)

著者 :
制作 : 結城 信孝 
  • 祥伝社
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本棚登録 : 12
感想 : 2
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  • Amazon.co.jp ・本 (311ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396331740

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  • 田辺聖子、石田衣良、姫野カオルコ、小泉喜美子、連城三紀彦、横森理香、田中小実昌、森奈津子、

    有吉玉青、吉行淳之介の10名の作家によるアンソロジー作品。

    テーマは「シニカルな笑いとペーソスを隠し味にした大人のためのショート・ストーリー集」だという。

    編者の結城氏の言葉を借りるなら「爆笑や大笑いといったスラップスティックではなく、微笑、苦笑、

    失笑、嘲笑、哄笑。あるいは忍び笑い、照れ笑い、薄ら笑い、作り笑いをさせられるシニカルな作品。

    すぐれたユーモア感覚を有する同好の読者に進呈したい。」そんな本なのだそうだ。

    すぐれたユーモア感覚を有する読者へ、と言われるとなんだか試されているようで、はたまた挑発されて

    いるようでムムッと思うのだが、全10作を読み終えてみると、その言葉の意味がわからないでもない。

    いや、むしろそうなのかもしれない。一見、笑いの要素などないように見える物語でも、行間を読み込む

    と「ああ、なるほど」、「そういうことねぇ」と思わずニヤリとしてしまったり、鼻で嗤うごとく本当に「フッ」

    と小馬鹿にするわけでもないけど、鼻で嗤ってしまうような登場人物がいたりと、飽きることはない。

    石田衣良と姫野カオルコ以外の8名は初見の作家であり作品であったが、どれも読みやすく、

    すんなりとそれぞれが作り出した作品の世界観に入っていくことができた。

    石田衣良の「フリフリ」は短編集『スローグッバイ』に収められている作品で一読済みであったが、

    改めて読んでみてもいい作品だなと素直に思うし、姫野カオルコの「ゴルフ死ね死ね団」なんかは

    ドタバタコメディそのもので深く考えることなく笑える。

    他で印象に残ったのは、田辺聖子の「紐」、小泉喜美子の「コメディアン」あたり。両作とも「笑い」と

    いう意味では違う笑いを醸し出しているが、これで思わずニヤリとしてしまうのは、自分に優れた

    ユーモア感覚があると自負していいということなのだろうか。

    十人十色が楽しめるこのアンソロジー作品は、「大人感覚」があるかないかを調べるリトマス試験紙の

    ようなものかも知れない。

  • シュールなアンソロジーです。

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著者プロフィール

1928年3月27日生まれ、大阪府大阪市出身。樟蔭女子専門学校(現・大阪樟蔭女子大)卒業。1957年、雑誌の懸賞に佳作入選した『花狩』で、デビュー。64年『感傷旅行』で「芥川賞」を受賞。以後、『花衣ぬぐやまつわる……わが愛の杉田久女』『ひねくれ一茶』『道頓堀の雨に別れて以来なり 川柳作家・岸本水府とその時代』『新源氏物語』等が受賞作となる。95年「紫綬褒章」、2000年「文化功労者」、08年「文化勲章」を受章する。19年、総胆管結石による胆管炎のため死去。91歳没。

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