- Amazon.co.jp ・本 (488ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396344740
感想・レビュー・書評
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豊臣秀吉の命により湿地ばかり広がる関東へ国替された徳川家康
ピンチをチャンスに変えた究極の天下人の日本史上最大のプロジェクト!
「治水工事」、「貨幣鋳造」、「飲料水の確保」、「江戸城の石積み」、「天守の建設」の5つの側面から描く
↑Amazonをパクり、まとめました(笑)
「治水工事」
湿地帯であった土地の安定のため、利根川の流れを変える
何度も失敗し、挫折を繰り返しながら、初代の伊奈忠治から三代四名による利根川東遷工事という大事業
言葉にすると随分簡素になるが、壮大なプロジェクトである
この時代に川の流れを変えるとは、実に興味深いので別途他の本で詳細を知りたくなった
「貨幣鋳造」
橋本(後藤)庄三郎による小判鋳造
日本史上はじめて貨幣の面で天下統一
慶長小判の発行で、家康は秀吉との貨幣戦争に勝利
以前のような金銀の重さを量る秤量貨幣ではなく、現代と同じく枚数を数えるだけの計数貨幣
そう我々が当たり前としている現代の経済生活の習慣のベースとなる
天下統一した秀吉、だがもはや褒美にする土地がない→土地の時代の終焉→「お金」の時代へ
「サイエンス全史」でも「貨幣」がもたらしたことによる世界統一への発展とあった
貨幣統一により他の地域とも信頼関係の元、協力しあった経済発展や、世の中の統一へ向かうのである
貨幣で天下統一することがいかに大切か
こういう時代の流れを敏感に察知することは大切だ
現代でも同じだ「モノ」「インフラ」などに関しては飽和時代の今後、トレンドの転換期が何度も訪れるであろう
その時、次の時代に何が必要か
見極めが個人単位でも大切な世の中になっていくであろう
「飲料水の確保」
江戸と言うのは水を排し、同時に水を給しなければ使い物にならない土地
ここで、民が飲める水をどう確保するか
水路の開削から始まった上水工事
江戸の地に水路を張り巡らせ、人工の分流装置(洗堰)を、造り上げ、いかに水量調整を行うか…
こちらも興味深く、治水工事同様、小説としてではない好奇心のが強いため、別途確認してみたい
「江戸城の石積み」
採石場の石切という職人の話し
まずは石の切り出し方
割りたいラインに沿ってノミで穴(矢穴)を切り取り線のように直線状にいくつも掘る
石というのは特定の平面にそって割れる性質をもつため、鉄製の矢を差し込み上から叩くと左右に割れる!
その劈開面を成す線(節理)を読むのが職人技だ
この読みが正しいと、作業効率、時間が少なく、また断面の美しい(鏡のごとく平らな)石を切り出せる
話の内容より石切という職業に興味を持った
城壁の積み石の美しさはもちろんだが、それ以前の石切という職人技も聞くだけで惚れ惚れしてしまう
しかしながら美しく大きくて立派な素晴らしい石を見つけ、うまく切り出せたとしても、運ぶすべがなく、泣く泣く諦めなくてはならないことも出てくる
遠方の場合は水運を利用するのだが、当然相当な重さから不安定となり、高波や暴風で沈没した船はこの時代300隻はあるとのこと
こちらの話しでは、職人の悔しさや、お役人どもの見栄により何人もが悔しい思いや命を落とした内容があった
確かに採石場での作業や、先ほどの運搬、石垣を積む作業全てにおいて命がけである
名もなき先人の大変なご苦労の上に、出来上がった基礎や基盤の上に成り立っている今の日本社会を思うと頭が下がる思いだ
「天守の建設」
こちらは家康と秀忠の人間ドラマに焦点を充てたようなストーリー展開
二人の親子の個性の違いや、世代交代の家康の思いや、秀忠の新時代に向かう心境などにスポットが当たっている
真実はともかく、家康の変わっていく江戸への思いと、自分の跡継ぎへの潔い思い
なかなかのドラマ感
以上の5つから構成されている
今の東京からは想像もつかない湿地のインフラ整備
時代の流れを察知し、いち早く今後何が必要なのか…時代を読んだ勝者である
「待つことの天才」である家康
江戸こそ待つことで成長する、そして耐えることで日本一になったのである
臆病ともいえるほどの自制心で陰謀をこらし、戦争をおこない、天下を制した家康
忍耐強い家康の性格、これが家臣たちや江戸そのものの時代に浸透したのか
そのおかげか争うより知恵を使った戦略が多く、忍耐力の足りない自分には良い教訓となった
力でなくどうすれば人を動かすことができるか
野心を隠し持ち、駆け引きや、知恵、頭脳を使うことが長けていた時代なのだろう
若いころって江戸時代にぜんぜん興味が持てなかったが、年を重ねるごとに江戸時代の魅力や面白さ、この時代個性がわかってくるようになった
家康が脇役であるという設定もベストセラーを後押ししたのだろう
試行錯誤していた貨幣統一への流れ、川の成り立ちや、水の運び方、石の採掘から城壁を作るなど普段私たちの生活では当たり前になっていることの土台を知ることができ、テーマと内容に関してはなかなか興味深かった
無知な自分は何かを知るたびに世の中の凄さにいちいち感動してしまう
「ボーっと生きてんじゃねーよ!」そのうちチコちゃんに叱られそうである
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まことさん
こんにちは。
いいね!有難うございます。
ビックリしています、まことさんがこのような本を読まれるとは。
この本(単行本)...まことさん
こんにちは。
いいね!有難うございます。
ビックリしています、まことさんがこのような本を読まれるとは。
この本(単行本)は、読みたかったのですが字が小さくて諦めた本です。
文庫本の字の大きさは、どうですか。
やま2019/11/20 -
やまさん♪こんばんは(*^^*)
こちらこそ、いいね!ありがとうございます。
この本は、最近、門井慶喜さんの本を続けて読んだので、実は時...やまさん♪こんばんは(*^^*)
こちらこそ、いいね!ありがとうございます。
この本は、最近、門井慶喜さんの本を続けて読んだので、実は時代小説は苦手(^^♪なんですが、頑張って読んでみました♪
それで、お問い合わせの件なのですが、ごめんなさい。文庫本の方に、登録したのですが、読んだのは図書館の単行本なんです~!!すいません。まぎらわしいことをしてしまって。(__)2019/11/20
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家康、江戸を建てる
1.購読動機
銀河鉄道の父の著書で魅了されました。
フィクション、ノンフィクションという括りではなく、物語を通じて、新しい宮沢賢治を知ることができたからです。
家康も同じです。
門井さんが描く家康を知り、新しい徳川像の世界を知りたいため、購読しました。
2.読みおえて
江戸幕府の物語です。
現在の地名、街道を織り交ぜながら展開してくれるため、現在と過去を同時に楽しめる小説となっています。
物語では、武将の働きではなく、江戸をつくるにあたり活躍した庶民、職人にスポットライトを当てています。
①利根川の治水工事
②金貨造幣
③飲料水道整備
④江戸城石垣
⑤江戸城天守閣
歴史好きな人も、そうでない人にも是非読んでほしい一冊です。
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現在では世界一の都市として発展し、そして今も発展し続ける東京!
豊臣秀吉の小田原征伐の後に関八州に移封された徳川家康!?
当時の関八州は沼地と荒地で荒廃した土地であったが、徳川家康の手によって開発され、江戸を開き260年の平和の後、明治維新政府が置かれ、震災や空襲を経て高度成長期の後に現在の東京となる!
現在の東京があるのは徳川家康と名もなき文官達の苦労の裔の賜物だと,思える小説です!
因みに本作では本多忠勝や服部半蔵達は活躍しません!
川を曲げた一族、小判を作って本家以上となった男、江戸の民の喉を潤す水道を引いた男達、天下一の石を切り出した男、江戸城の外壁を白とした親子の話です!
歴史小説兼仕事小説! -
1.利根川の流れをかえる
2.貨幣を流通させる
3.飲み水を引く
4.石垣を積む
5.天守閣をつくる
5つの章で、家康が江戸を作るまでを書き上げている。
ある意味簡潔にまとめ上げていて、凄く良い作品だと思う。
利根川、北桔橋門など興味を掻き立てるキーワードが沢山出て来て知的好奇心を揺さぶられた。
この作品はお勧めです。 -
家康が主役ではない。
家康の指示で江戸の基礎を作り上げる下僚や職人の物語だった。
すごく興味深く楽しい小説だった。
利根川の川筋を変え、貨幣を鋳造し、飲み水を引き、城の石垣を築き、天守を造る。
細かいようでとても壮大な、街づくりの仕事師たちの物語。
家康は要所要所で締めてくれる感じ。 -
『銀河鉄道の父』の作者かー。
と思い、単行本版のレビューを読むと、むむむ、面白そう!と一気にテンションが上がる(笑)
何より、タイトルが良くないですか?
『フリーター、家を買う』ならぬ『家康、江戸を建てる』ですよ。
中身は連作短編集で、江戸を舞台に、治水や上水機能の配備、石切りから石垣、天守閣、貨幣といった都市整備の話がどれもものすごく面白い。
昔の人はどうやってそれを思い付いたんだろう、と思わされることの多い「技」の数々は、人の手や目と深く関わっているんだな、と思わされる。
それらを束ねる家康公は、すごい人!という描き方はあまりされず、弱気な姿も見せれば焦りもある。
ただ、江戸という「不毛な土地」を請け負ったことには勝機があったのだろうか。
先見の明と強運の持ち主としか言いようがない。
個人的には貨幣の鋳造の話が一番好きで、小判を作ることで豊臣との経済戦争を勝ち抜こうとする計略に、なるほどと思わされた。
治水の話は、失敗が一村丸ごと流してしまうような多大な人的事故に繋がる。まさに命がけ……。
水が通るか、溜まって川が溢れて崩壊するか。
小説の中のことなのに、ハラハラさせられた!
これ、ドラマ化したら確かに良いと思う。 -
沼地だった江戸を世界的な一大都市に築き上げていく過程での有名な逸話からなる連作小編。史実に基づいるので、なかなか面白い。
自分は神田川の近くに住んでいるので、井の頭から水を引き水道橋を通した江戸の水にまつわる苦労話は特に興味深かった。 -
歴史好きだけど、歴史物は苦手。こんな私が感動のうちに読了できたのはオドロキ。史実と物語の狭間を絶妙に気持ちよく泳いでるような筆力には驚嘆した。この作者は今後要チェックだな。
手付かずだった江戸をどのように発展させ、未来につながるような大都市にするのか、これからの世をいかに平和な世の中にしていくのか、歴史の細部を見ていくことがこれだけドラマ性を持つのは発見だった。それにしてもすべてに精通している天才政治家家康、、、今の日本に降臨してくれないかしら(笑)