こうすれば伸ばせる!人間の賞味期限

著者 :
  • 祥伝社
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本棚登録 : 19
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・本 (216ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396611958

感想・レビュー・書評

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  • 平成15年(今から8年前)に書かれた、木村政雄さんのビジネス書。横山やすし・西川きよしのマネージャーを務め、吉本の東京進出の土台を作り、吉本新喜劇の再生に尽力された方だ。吉本興業を退社後も、フリープロデューサーとして、【元気な大人】の育成に力を注がれておられる。

    「なるほどなぁ」と、得心した記述をいくつか紹介させていただきたい。

    ●「正解を探す」のではない。自分の選んだ答えを「正解にする」のだ。
    仕事では、その都度、自分自身で正解を見つけなければならない。そもそも「正解」がどこかに存在する、用意されているという発想自体がおかしい。
    どこかにある「正解」を見つけるのではなく、自分で選んだ答えや決断が正解になるように努力することが大切なのである。
    だからこそ、答えを選ぶとき、決断を下すときには、しっかりと自分を持たなければならない。「これは自分の仕事なのだ」と名前をクレジット(=署名)すると、失敗したときに逃げ隠れができない。その責任に耐えられるように、自分自身を、磨かなければならない。

    ●比べられないものを比べても意味がない。
    これは例を出せば分かりやすい。「ダルビッシュと江川卓とではどちらが凄いのか?」「ダウンタウンとコント55号とではどちらが面白いのか?」あるいは、「AKB48とモーニング娘。とでは、どちらのブームのほうの勢いが上なのか?」など。
    こんな話をよく耳にしたり、あるいは自分で喋っていることもあったりする。でも、これほど意味のないことはない。何故なら、生きた時代、活躍した時代が違うからだ。
    評価の基準は、「現在のマーケットで売れるかどうか」だけである。
    よく、中年サラリーマンなんかが飲み屋で、「俺の若いころはなぁ…」などとぼやいている。けれども、現在と中年親父が若かった頃とは環境も何もかも違うのだから、これもぼやくだけで、何の生産性もないのである。

    ●大胆な行動を起こすときに、他人に相談をしても、これまた意味がない。
    大きな相談を持ちかけられた人は、失敗したときに責任を被りたくないから、たいてい「もう少し考えた方がいい」などといった慎重論を口にする。
    「どんどん行け」と背中を押してくれる人は滅多にいない。



    ビジネス書らしいことが多く書かれているのだが(当たり前だけど)、この本で少しく異彩を放っているのが、日本の賞味期限に対する懸念を木村さんが記していることだろう。
    今の日本に対して、先行きの不安を感じる人、活気に欠けているなあと感じる人はたくさんおられることだろう。木村さんは、世の中に元気がなくなると、どんな分野でも「分かりやすい」ものがウケるようになると感じておられる。それは、お笑いでも、映画でも、小説でも。
    もちろん、「分かりやすい」=「低レベル」と決めつけるのは暴論だが、やはり受け手が歯ごたえを感じられるようなものの台頭がなければ、社会全体のレベルは上がってこない。
    文化レベルの後退は、社会の活力を奪ってしまう。社会が元気を失えば、「分かりやすい」文化がはびこり、それがますます社会から元気を奪うという悪循環に陥ってしまう。
    分かりやすくて生ぬるい文化がはびこる元気のない時代では、大人たちがおしなべて小粒になってしまう。とりわけ問題なのは、さまざまな分野を引っ張っていくリーダーが小粒になってしまうことである。
    小粒になった大人は、果たしてかっこいいだろうか?若い世代が将来の目標を持ちにくくなっているのは、周りに「かっこいい大人」がいなくなり、どんな大人を目指せばいいのか分からなくなっているからではないだろうか。
    このような状況では、そもそも「大人になりたい」と思わなくなってしまうのではないか。大人になっても「かっこ悪い生き方」しかできないのなら、子供のままでいたほうがいいやと、こうなってしまう。そして、世の中には、「お子様向けのオモチャ」が溢れているから、大人にならなくても退屈しなくなった。そう、断じている。



    なんというか、心の奥をぐさりと突き刺された。
    若者が大人になるために努力をし、そのパワーによって元気な社会を作り上げていくためには、多くの人が憧れるような「かっこいい大人」が必要なのだ。それも、「はい、これがかっこいい大人です」などと周囲がむりやりに作り上げたお仕着せのかっこいい大人なんかじゃなくて、当人のたゆまぬ努力とめげない精神力とによって、自ずと形作られた「かっこいい大人」でなくてはならないのだ。
    だから、木村さんは【元気な大人】を育成し続けておられる。元気な大人とは、輝くオーラを放つ大人、つまり「かっこいい大人」に外ならない。
    ああ、自分も頑張らんければならんなぁと、つくづく感じた。どうせ同じ大人なら、かっこいい大人でありたいもの。

  • 【目的】:自分の価値を高め、維持する方法を教えて。<BR>
    ・場(市場、会社等)が必要とするスキルを意識し、磨き続ける。<BR>
    ・プロ意識をもって自分独自の個性を発揮する。<BR>
    ・常に次の戦略を描く。<BR>
    ・「守・破・離」のステップを大切にする。<BR>
    ・「守」は基本を忠実に守り、場の価値観を身につける段階。<BR>
    ・「破」は基本に独自の工夫をこらす段階。<BR>
    ・「離」は自分自身の道を歩んでいく段階。<BR>
    ・しっかりと自己管理、時に客観視するゆとりをもつ。<BR>
    ・元の気を忘れない。<BR>
    ・お客の評価を直に感じる。<BR>
    <BR>
    #吉本興業出身の著者ということで、人気商売の芸人さんのエピソード、それをマネージメントする立場でのエピソードが楽しく読めた。<BR>
    #お客が求めるものを提供し続けようとするプロ意識は大切にしたいと思った。<BR>

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