齋藤孝のざっくり!世界史

著者 :
  • 祥伝社
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感想 : 46
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  • Amazon.co.jp ・本 (300ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396613167

感想・レビュー・書評

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  • 2014/9/7図書館から借りてきた。

  • 彼の文体は読みやすいから好き。
    けど、彼の歴史感には疑問が残る。
    国語科教育者で売れっ子作家の限界か?

    池上彰の文体より読みやすいので、
    本に慣れていない人にオススメ。

  • 出来事の羅列ではなく、その背後にある「人間の感情や欲求に関わる五つのパワー」を軸に世界史が語られている。領土拡大の野望について自分がちっとも理解できないのは、環境や教育のせいだけでなく、その野望が男性特有のものだからなのかしら。たしかに「覇」の文字の魅力はよく分からない。社会主義もファシズムも最初は楽園を目指していたはずなのに、大量虐殺という地獄を生んでしまった。コーヒーの話は新鮮で面白かった。眠らない、理性の飲み物。冴えた頭をフル回転させて近代化へ突き進む。参考文献の臼井氏の著書を読みたい。

  • *イスラムが西欧を嫌う根源は、神よりも人間を重視する近代文明に反発している。
    *知を独占することが、権力そのものである。
    *プロテスタントは仕事を天職ととらえ、一生懸命働くことが神への奉仕に繋がると考え、稼ぐことに没頭する一方、禁欲的に消費を抑え、お金はひたすら貯まり、投資へとそのお金を使うから、一層事業が拡大する。
    *相手が跪く快感、魅力は絶大。男は征服欲。女は独占欲。
    *合理化の終着駅が官僚制ピラミッドの巨大な迷路であり、「未来の隷属の容器」が人間の自由を抑圧し、不自由を増大せずにはいられないという悲観的な見通しである。
    *社会主義は一度はまると二度と這い上がれない「蟻地獄」のようなもの。なぜ這いあげれないかというと、それが「正論」だからです。
    *第二次世界大戦とは「「ファシズムVS資本主義陣営」の戦いというより、植民地をすでに持っていた国と持っていない国との戦いだった。持たざる者の不満が、ファシズムの温床となっていたのである。

  • 世界がどのような影響で変容していくのか、動いていくのかを考える材料になる。ただし起きたことは結果であって、その原因は一つの見方であることを忘れずに。

  • この本の前書きに書いてある通り、高校時代に世界史を勉強した人は少ないのではないでしょうか。更に受験で選択した人は更に少ないと思います、というのも私がその一人であり、私も世界史の知識が殆どありません。

    社会人となった今、世界史を改めて学びたいと思うのですがどのように手を付けてよいのかわからない状態でした。そんな私にとって、歴史を動かす「5つのパワー:モダニズム、帝国主義、欲望、モンスター、宗教」に着目して、ざっくりと世界史を解説してくれたこの本に出逢えてよかったです。

    世界史とは異なるかもしれませんが、緑茶・ウーロン茶・プーアル茶・紅茶も、もともと同じ「茶の木」から作られていて、製法が異なる(p129)というのは初めて知りました。

    また、正統な方法で100%の議席を獲得したナチ党の支持母体が、第一次世界大戦前までは良い暮らしを続けていた「中流層」であった(p219)のを知って、ナチスが急激に成長した理由を初めて知りました。

    以下は気になったポイントです。

    ・ヨーロッパの柱とは、古代エジプトを含むギリシア・ローマ、つまり地中海文明が原点である(p14)

    ・ローマが、392年にキリスト教を国教としたことから、帝国の主が皇帝から神(その代理人としての教皇)に移ってしまった、これにより分離されていた宗教と政治が深くかかわることになる(p22)

    ・宗教改革が起きた当時の欧州では、教会が神を独占していた、聖書がラテン語で書いてあり、そのままでは一般人が読めなかったから(p31)

    ・現実には「知を独占すること」が権力、民衆に知を取り戻そうとしたのがルターの宗教改革である(p35)

    ・近代的資本主義を発展させたのは、プロテスタント、それもルターの後に登場する「カルヴァン派」の強い、オランダ・イギリス・アメリカである、ドイツはルター主義が強く、プロテスタントでも遅れ、カトリック国(イタリア、スペイン)も同様、プロテスタントにおいて、世俗の職業は神が各人に与えたミッション(使命)であり、労働することが「神の栄光を増す」ことにつながる(p40)

    ・グルメブームは味覚と嗅覚、アロマテラピーは嗅覚と触覚、リフレクソロジーは触覚的なものというように、近代化が進む過程で人間がないがしろにしてしまった身体の感覚(視覚以外)を取り戻そうとしているのかも(p64)

    ・公衆の面前での表現力や演説力がリーダーを決めていくというのは、ギリシア・ローマ時代から続く西洋の伝統(p79)

    ・ピラミッドは、奴隷に強制的に作らせたものではなく、ナイルの氾濫で農業ができない時期に民衆を救済するために行われた一種の公共事業のようなもの(p85)

    ・帝国は、異民族を征服によってどんどん自国に取り入れ支配するのがポイント(p86)

    ・ローマがキリスト教に対して大規模な弾圧を行った最大の理由は、それまでのローマの多神教文化に対して、キリスト教が他の神の存在を認めない一神教であったから(p88)

    ・ローマは紀元前167年、中央の市民だけ直接税を免除した、無産市民は投票権を盾に働かずに暮らせるので退廃していった、それとは逆に属州には中央の浪費を支えるために過酷な義務が発生した(p91)

    ・ヨーロッパ諸国は植民地でのコーヒー栽培を始める、1700年にオランダがジャワで、1723年にはフランスがカリブ西インド諸島から南米にて。原住民が激減したので、アフリカに住む黒人が奴隷として西インド諸島へ運ばれた、1500万人運ばれて18世紀末には300万しか残らなかった(p127)

    ・中国茶、日本茶、紅茶も、もとはおなじ「茶の木」から作られる、違いは製法からくる、緑茶は加熱処理して未発酵、ウーロンやプーアル茶は発酵途中で茶葉を加熱、紅茶は乾燥して完全発酵(p129

    ・スペインは新大陸で金脈探しをし、労働力としてインディオを使った、過酷労働とスペイン人の持ち込んだ病原菌で人口激減、するとアフリカから黒人を奴隷として送り込んだ(p139)

    ・イギリスは自国の雑貨や銃器を西アフリカの黒人奴隷貿易業者に売りつけ、そこで得た奴隷を新大陸に連れて行って高く打った、大陸の砂糖やタバコをイギリスへ持ち帰った(p145)

    ・資本主義社会の本当の敵は、イデオロギー(社会・共産主義)ではなく、「欲望の冷え込み」である(p184)

    ・ドイツナチスの支持母体は、中間層である、中流の人達は生活は下層に落ちても「自分たちは底辺の人々とは違う」という強い階層知識を持ち続けいて、下層と団結することで社会主義革命でなく、いい暮らしをすべきと思っていた。それをうまく利用したのがヒトラー(p219)

    ・第二次世界大戦とは、植民地をすでに持っていた国と持っていない国との闘い、植民地とは、原料と市場の両方を確保しているということ(p226)

    2013年6月1日作成

  • ・ヨーロッパの柱は古代ギリシア・ローマ
    古代ギリシアのポイントは直接民主政

    投票により共同体の意思決定をしていく議会制民主主義を
    生み出したことは、当時としては驚異的
    民主主義はローマに継承される

    ローマは共和制となり繁栄するが、
    専制君主化して崩壊していく

    古代国家の多くは王国
    武力と宗教的権威を持つ王を中心とした君主政
    アジアでは最後まで民主主義は自然発生しなかった

    日本では民主主義=近代社会と思われるが、
    ルーツは古代ギリシアにあった

    ・近代化の源流
    古代ギリシアでは論理性・合理性を重視し、
    後の近代化につながる源流となる

    しかし、中世に入るとこの考えが抑圧されてしまう
    ローマがキリスト教を国教としたことから、
    帝国の主が皇帝から神(教皇)へと移ってしまう

    中世では神がすべてを創造するものであり、
    その僕である人間の創造的な活動・考えは取り締まられた。

    ・ルネサンス
    教会が重くのしかかっていた中世から脱する転換期の運動のこと
    古代ギリシア・ローマの時代をお手本として、
    人間の自由な命の輝きや生き生きとした創造力を重視

    中世の芸術は動きが少なく、のっぺりとした印象だが、
    ルネサンスを経て躍動的な人間美が描かれるようになる

    大きな意味ではこの流れは現在のイスラムとの対立につながる
    キリスト教と近代化がセットになり、神よりも人間が重視される
    神は絶対的に人間よりも上位にあるとするイスラムとは相いれない

    ・資本主義はキリスト教(プロテスタント)から生まれた
    近代化の波は古代ギリシアに端を発し、
    ルネサンス、宗教改革を経て世界中に広まっていく
    宗教改革は近代化に大きな影響を与えている

    当時の教会は神の代理人として、神を独占していた
    聖書がラテン語で書かれていて、聖職者にしか読むことができず、
    読み聞かせてくれる司祭の言葉を信じるしかなかった

    ルターは偽善的な教会支配から脱するために、聖書のドイツ語訳を試みた
    "知識を独占すること"が権力であるということ
    ルターは民衆に知を取り戻そうとした、それが宗教改革の意味である

    キリスト教は基本的には禁欲を説いているが、ゆるいきまり
    プロテスタントではゆるさが失われ、厳格な規律が求められた
    資本主義はこうしたプロテスタント世界から広がってきた

    カルヴァンの神学が強いオランダ・イギリス・アメリカなどで資本主義が発達
    ルター主義のドイツや、イタリア・スペインなどのカトリックでは出遅れた

    全能な神が善行をなす人間を救わないわけがない
    プロテスタントは厳格に、世俗の職業は神が人に与えたミッションであり、
    働くことが"神の栄光を増す"ことにつながると考え、熱心に働いた

  • 全体を通して知識のコピペ感が否めない。

  • モダニズム、帝国主義、欲望、モンスター、宗教。5つの切り口で、世界史をざっくり掴む。大きな視野で、世界史の流れを捉えると、細かい出来事の意味も見えてくる。カノッサの屈辱は、何故、屈辱だったのか?

  • テーマに沿って大ざっぱに復習が出来、読み物として楽しめた。特に第1章3節の軽視された近代の「身体」では、頭で考えることが大切な現代でも「視覚」は常に優位に立つという下りが読んでいて納得出来た。第3章でのブランドを自分に自信がないから身に付けるという一文にはドキっとした。

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著者プロフィール

1960年静岡県生まれ。東京大学法学部卒業。同大学院教育学研究科博士課程を経て、現在明治大学文学部教授。教育学、身体論、コミュニケーション論を専門とする。2001年刊行の『声に出して読みたい日本語』が、シリーズ260万部のベストセラーとなる。その他著書に、『質問力』『段取り力』『コメント力』『齋藤孝の速読塾』『齋藤孝の企画塾』『やる気も成績も必ず上がる家庭勉強法』『恥をかかないスピーチ力』『思考を鍛えるメモ力』『超速読力』『頭がよくなる! 要約力』『新聞力』『こども「学問のすすめ」』『定義』等がある。

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