- Amazon.co.jp ・本 (264ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396633240
作品紹介・あらすじ
板前だった父は錦糸町のパブで出会ったコロンビア人女性と出奔、彼女の子どもが待つ本国へと旅立った。そして母と祖母、私の三人がひとつ屋根の下に残された。祖母は血は繋がっていなくても、これからもこの家で女三人で暮していこうと提案した。それから七年。旅に観劇にと趣味に忙しい悠々自適の祖母、フットマッサージ店のやり手経営者となった母、そして商社をやめ児童館の指導員として毎日を送る私。私には、IT系広告会社の社長ユウジというフィアンセがいる。安達千夏が描く、女三人家族の日常。
感想・レビュー・書評
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淡々としているのに、あたたかくて、やさしくて、一話一話味わって読めました。とても良い一冊でした。
ごはんやお酒がとてもおいしそうだし、おばあちゃんの着物の描写もすてき。女系家族の、すてきなお話。
2016.08.31 -
モルヒネよりずっと良かった。淡々と進むのに会話が奥深い。納得の一冊。
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全然期待していなかったのに、読んでよかったと思わせてくれる一冊。
「ちりかんすずらん」はちりちりなるかんざしのこと、
収録一作目に表題作がある。
女三代の暮らしは実は複雑。
7年前に離婚した母と娘、父の母である祖母……
時折、母の腹違いの妹が訪ねてくる一家だ。
物語は
30を過ぎわたしと、三年付き合ったユウジとの恋物語を軸に
女三人の家の下町暮らしが描かれる。
さりげない暖かさとしなやかさで色づけされた暮らしは
おいしいものも欠かせない。
こんな風な素敵なおばあちゃんになりたいな~
しゃんと生きよう、私も。
次の作品も読んでみよう。 -
伸ばした手が、相手のからだに届くということ、肩を叩き、じかに目を見て話せることは、格別の価値を持つ。地球の裏側とだって、通信が可能になっているからこそ、逆に、<会える>ことの尊さが分かるのだ、と。
肌に触れたら、体温を感じる。
機械を通さない声は、じかに鼓膜を震わす。
涙のしずくをぬぐってあげることも、おなじ食卓につくこともできる。
(P.192) -
のほほんとしたお話。
祖母、母、娘を中心とし、母の腹違いの妹、鈴や、主人公の恋人と少し不思議な謎のおこる日常が描かれている。 -
安達千夏もこういう作品を書けるようになったのか、という感想が一つ。
それから、もう一つ。私は今まで、命は続いていかないほうがいいと思ってきて、それは多分これからもそうではないかと思うけれど、この作品を読んで、命は続いていくんだ、ということがすとんと胸におちた。そして、一般的に幸福だと思われているようなことは置いておくとしても、こういう人生もありなのかな、と不覚にも思ってしまった。続いていく、こういう幸せに納得させられたのは、この作品が初めてではないかと思う。それくらい、穏やかで、優しくて、幸せな話だった。
そして何より、安達千夏には幸せになってもらいたいと思う。 -
児童館で働き、超多忙な恋人のいる「わたし」と、やり手経営者の「母」、離婚した父の母「祖母」の女3人所帯での出来事を綴った物語。
日常的ではあるけどなかなかシリアスな出来事をとおして、やさしくしなやかで強い3人の女性の姿と絆をみることができます。
この3人(すずちゃん入れると4人)、明るくて穏やかだけど相当強い。特に「祖母」は憧れてしまう程素敵です。
女所帯らしく随所に美味しそうなお料理がでてくるのもいいです。
男性はどんな感想をもたれるか想像できませんが、女性にはお薦めの本だと思います。 -
読みやすい。
祖母、母、わたし の3人のお話。 -
久々に‘買い’と思った一冊。
好きだ。