すべてのドアは、入り口である。現代アートに親しむための6つのアクセス

  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (277ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396634551

感想・レビュー・書評

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  • 元キュレーターの小説家原田マハと水戸芸術館現代美術センター主任学芸員の高橋瑞木の二人が語る現代美術への案内。①現代アートってなに?②現代アートの楽しみかた③二人が選ぶ、今知っておきたいアーティスト④美術館に行こう⑤瀬戸内海のアートと旅⑥日本的風土と現代アート
    二人がとても楽しそうに、興味深げに話すので現代アートって面白そうと思うこと必然。写真がもっとたくさんあったらなあと思うが、まあ論より証拠でまずは見に行けということだね。印象に残ったことばー
    「何を描くかだけでなく、自分は何をどう見たか、どう描いたかっていうこと、つまり、画家の主体性や個性が重要性を帯びる時代になったのが、19世紀以降で、それが、印象派、ピカソ、デュシャンを経て、いまのアートにもつながっている」
    「みんなが知っているんだけれど気がつかなかったり、近くにあるんだけど見過ごしてしまうもの、言語化できなかったり、可視化できなかったものに、現代アーティストは焦点を合わせている。稀有な力だ」
    「人間は、きれいなものを見たいという強い欲望もある一方で、すごくおぞましいものを見たいという逆の欲望もある」
    「作品だけがすべてを語っているわけではない、とくに現代アートは、背後の思想や活動をも同時に見るべきだ。20世紀のアートは、アーティストの結論として、モノとしての作品という考え方に抗ってきた歴史だった」

  • 現役キュレーターの高橋瑞希さんと元キュレーターで現在は作家の原田マハさんの対談集のような共著。

    現代アートの魅力についてわかりやすく、熱を持って記されている。

    入門書で色々な解説やその魅力について書かれているものはたくさんある。その中で、対談形式だからなのだろうか、好きなものを熱を持って話合う様子がなんとも読んでいておもしろく、そうそうそうだよねと仲間に入りたいようなそんな気持ちになる1冊。
    理屈抜きに「おもしろい!」「すごい!」「きれい!」といった感情が全面に出ていて親しみやすさを感じる。

    個人的に心に響いたのは、
    現代アートの魅力はアーティストと「同じ時代」に生きているということ。
    今、ここ、の作品をより多くナマで見たいなと改めて実感。

    平成26年12月10日 祥伝社

  • 現代アートの鑑賞の仕方について、
    アート小説家の原田マハさんとそのお友達の方(よく知らない…)の対談をまとめたもの。

    素人でもアートの鑑賞の仕方が楽しめるように分かりやすく話し合われているし、
    プロのお二人の目線が知れるのは、
    なるほどそういう見方もあるのかと参考にもなる。

    アートの鑑賞の仕方を分かりやすく説いた本には、
    元祖「現代アート、超入門!」や
    少し前に結構話題になった「13歳からのアート思考」があるが、
    原田マハさんの小説が好きならば、
    こっちから読んでみても良いかもしれない。

    ※現代アート、超入門!
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4087204847#comment

    ※13歳からのアート思考
    https://booklog.jp/users/noguri/archives/1/4478109184#comment

    この本の特徴としては、プロとは言えども、
    微妙に視点の違う二人の見方を学べるところだろうか。
    アートの鑑賞方法って、答えがある訳ではないし、
    その人オリジナルの解釈があってもよいと思う。
    「そんなこと言われても困る」ってのが一般市民の悩みでもあると思うので、
    お二人の考えの共通項や微妙な違いなどを鑑賞するにはうってつけの本で、
    この本を読めば「自分なりの方法で、自分なりの解釈でいいんだ」と思えるかもしれない。

    【メモ】
    「(自分も高橋さんも)好奇心旺盛というのはるよね。やっぱり、「ドア」があったら、中を覗いてみたいし、できれば中に入りたい(笑)。だから、いろんなところに行ってみようとか、アーティストに話しかけてみようとか思うんですよね。自分のほうからアプローチしようと思ったのが、世界を広げたのかもしれないよね。読者の方にいいたいのは、現代アートは自分からアプローチしていくとものすごく近い存在になるということです。これって、かなり幸福なことだと思うんですよね。」(原田マハ)

    「私は、そういったアーティストの背景(ウィリアム・ケントリッジは南アフリカ出身で、彼が活躍した時代は、ネルソン・マンデラが大統領になって、アパルトヘイトが撤廃された激動の時代であった)は、往々にして作品に反映されるものだと思うんです。池があったとして、私たちから見える水面はごく一部にしかすぎず、その水面が作品だとすると、その下にある底までの深さはどのぐらいなんだろうという感じ。その深さは、アーティストの経験、体験、あとはそれをどれだけ掘り下げて考えることができるかで決まるんじゃないでしょうか。」(高橋瑞木)
    「その深さは、やっぱり出てきますよね。だから、評価の高い作品には、表層の部分だけじゃなくて、深層の部分がきちんと滲み出ているということは確実。」(原田マハ)

  • 対談ものは良くあるが、難しいテーマであるほど他人の意見は面白く感じる。二人の対談は、現代アートという解釈が難しいものを噛み砕いて分かりやすく伝えられている。美術館での見方が変わる一冊。

  • 著者お二人の対談を軸に、それぞれが向かったアートスポットへのレポートが織り交ぜられ、現代アートをテーマにした本ではあるが、とても読みやすかった。
    20年来の友人でもあるので、対談といっても堅苦しい感じがなく、カフェでコーヒーでも飲みながら会話をしているような雰囲気がしました。
    出版されたのが平成26年12月20日であるので、内容的には少し前の頃の話ですが。
    お二人が現代アート作品のどの部分で会話が盛り上がっているかを読むと、現代アートへの向き合い方のヒントが見えてきます。
    [二人が選ぶ、今知っておきたいアーティスト」の章では15名(ユニット含む)が紹介されています。
    そのなかには、2020年度に展覧会が開催されるアンディ・ウォーホルとオラファー・エリアソンの名前もあります。
    そして、[瀬戸内のアートと旅]、[日本的風土と現代アート]の章では美術館を飛び出したアートの楽しみ方が書かれています。
    日本各地で〇〇トリエンナーレと言われるような郊外型の芸術祭がひろく開催されるようになりました。
    今や芸術も参加型や体験型のイベントとなり、その際のキーワードは【地方】と【美術館ではない場所】かと思います。
    現代アートをめぐる多様性や多面性は年々タテにヨコに広がっています。
    著者のお二人はアートの世界で長く働いているので、次から次への現代アーティストの名前や過去の展覧会の話題が出てきます。
    そのあたりのことは自分で調べないとついていけない感がありますが、まずはサラッと一読するだけで現代アートへの入口のドアは昨日までより入りやすくなりました。

  • 美術館に行きたくなった〜。
    思うツボ(^^)

  • 現代アートって確かにちょっと敬遠しがちだけど、なんかこう許されてる感じがしてわたしは結構すき。
    美術館はひとりでいくのが好きなのだけど、現代アート展だけは誰かと一緒に見たい。だって会話を必要とする作品だから。

    現代アートに苦手意識のある人にはぜひ本書を読んでいただき、美術館にいってほしいなぁと思う。

    ちなみに本書に出てきたシンディシャーマンのことが気になったので、まずは図書館で作品集を検索してしてみようと思います。

  • 2019年は現代アート展にも行こうと思った。

  • 『現代アートをたのしむ 人生を豊かに変える5つの扉 (祥伝社新書)』 を読んだ後にすぐ読んだら内容9割同じだった。でも読み返したいと思ってたからちょうど良かった。
    ないのは太宰府天満宮の話だけかな?でもあそこ好きだな。神道と芸術ってかなり親和性高くて面白い。

  • 現代アートについて知りたく手に取りました。
    とてもわかりやすく読みやすかったです。マハさんと高橋さんのオススメアーティストをネットで調べながら読みましたが、どの作家さんも気になりました。
    私のような初心者の入門書としてはとても良書と感じました。美術館に、足を運びたくなる一冊です。

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著者プロフィール

1962年東京都生まれ。関西学院大学文学部、早稲田大学第二文学部卒業。森美術館設立準備室勤務、MoMAへの派遣を経て独立。フリーのキュレーター、カルチャーライターとして活躍する。2005年『カフーを待ちわびて』で、「日本ラブストーリー大賞」を受賞し、小説家デビュー。12年『楽園のカンヴァス』で、「山本周五郎賞」を受賞。17年『リーチ先生』で、「新田次郎文学賞」を受賞する。その他著書に、『本日は、お日柄もよく』『キネマの神様』『常設展示室』『リボルバー』『黒い絵』等がある。

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