ヒポクラテスの憂鬱

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (299ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396635046

感想・レビュー・書評

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  • 「全ての死に解剖が行われないのは、私にとって好都合である。埼玉県警は今後県下で発生する自然死・事故死において、そこに企みが潜んでいないかどうか、見極めるがいい。わたしの名前は、コレクター(corrector)修正者である」
    埼玉県警ホームページの掲示板に書き込みがあった。

    アイドルがコンサート中に転落死した件。
    熱中症絡みで、自宅近くで遊んでいる最中に、意識を失い、病院搬送中に死亡した3歳女児。
    「福音の世紀」教会で、焼死体で見つかった、創立者且つ教祖の焼死体。
    住宅街の真ん中で行き倒れになり心不全で死亡した、老人。

    関係者でなければ知り得ない事実を知っている、コレクターの書き込みにより、ただの事故案件を無理に捜査させられたり、解剖に回されたり、捜査員は、右往左往させられた。当然のことながら、解剖に回す予算は枯渇し、解剖に携わるチームにも、疲労の色が濃くなってきた。

    ようやく、コレクターを特定することができたが、
    153件の書き込みの内、2件しか関係していないと言う。
    残りの151件は、誰が書き込みをしたのか?
    第二のコレクターの意図は?

    解剖シーンの、臭いまでも漂ってきそうな、臨場感。

    栂野真琴が、浦和医大法医学教室に来て一年。
    助教になり、光崎教授の薫陶宜しく、だんだん、たくましくなり、埼玉県警刑事部捜査一課、古手川刑事との仲も、面白くなってきた。


  • 埼玉県の浦和医大病院の助教・栂野真琴(つがのまこと)が、法医学教室の光崎藤次郎教授にもまれて成長して行く物語です。
    此度は、埼玉県警のホームページの掲示板に『全ての死に解剖が行われないのは、わたしにとって好都合である。埼玉県警は今後県下で発生する自然死・事故死において、そこに企みが潜んでいないかどうか見極めるがいい。わたしの名前はコレクター(CORRECTOR)、修正者である』の書き込みがされた事が発端でした。そして次々に起こる解剖と事件に古手川、真琴を始めとする法医学教室の面々が係わって行きます。
    そして今回も主要登場人物は、真琴助教、光崎教授、女性のアメリカ人のキャシー・ペンドルトン准教授と埼玉県警刑事部捜査一課刑事・古手川和也巡査長です。
    中山七里(しちり)さんの本を読むのは、「ヒポクラテスの誓い」に続いて2冊目です。

    【読後】
    真琴が、前作の法医学教室の解剖研修医師からいっきに大学職員として教授、准教授、講師の次の職階に位置する助教に出世したのは意外でした。助教は、助手の中から選ばれます。
    真琴の成長、光崎教授の傍若無人さと、キャシー准教授のクルーさが前作は面白かったが。前第1作目と違い、3人に明るさが無く解剖する遺体の表現の記述が悲惨で、むごたらしく、気分が悪くなり……半分も読まないうちから読むのを中止しょうと思った。その上に字が小さく読むのが大変ですが。読みだした限りは読み終えなければと思い読み終える。
    そして読みながら第3作目は、手元に有るが読むかどうしようか……と思っていまいましたが。読み終ったいまは、もうこれ以上は中山七里さんの本は読まないと決心しました。手元に有る本は、読まずに返却し、予約はすべて削除します。山中七里さんの本は、2冊で終わりです。

    ヒポクラテスの憂鬱(ゆううつ) ー ヒポクラテスの誓いシリーズの2作目
    2016.09発行。字の大きさは…字が小さくて読めない大きさ。2021.11.16~18読了。★★☆☆☆
    堕(お)ちる、熱中(のぼ)せる、焼ける、停まる、吊(つ)るす、暴(あば)く、の6話の連載短編集です。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    【バックナンバー】
    ヒポクラテスの誓いシリーズのバックナンバーは、私の本棚より「タグ」→「タグの一覧を絞り込む」に「中山七里」と入力。または、その中から中山七里を探してください。そうすると著者中山七里さんの本が一覧表示されます。
    私は、本を登録するときには、著者名と登録した年(2021)で登録しています。たまにシリーズ名でも登録もします。例えば「風烈廻り与力・青柳剣一郎」などです。
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    【ヒポクラテスの誓い】
    ヒポクラテスの誓いは、医師の倫理・任務などについての、ギリシア神への宣誓文。現代の医療倫理の根幹を成す患者の生命・健康保護の思想、患者のプライバシー保護のほか、専門家としての尊厳の保持、徒弟制度の維持や職能の閉鎖性維持なども謳われている。

    ヒポクラテスの誓い(日本語訳)
    現実に医学部で使用されているものではなく直訳したものを記す。

    医の神アポロン、アスクレーピオス、ヒギエイア、パナケイア、及び全ての神々よ。私自身の能力と判断に従って、この誓約を守ることを誓う。
    ・ この医術を教えてくれた師を実の親のように敬い、自らの財産を分け与えて、必要ある時には助ける。
    ・ 師の子孫を自身の兄弟のように見て、彼らが学ばんとすれば報酬なしにこの術を教える。
    ・ 著作や講義その他あらゆる方法で、医術の知識を師や自らの息子、また、医の規則に則って誓約で結ばれている弟子達に分かち与え、それ以外の誰にも与えない。
    ・ 自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない。
    ・ 依頼されても人を殺す薬を与えない。
    ・ 同様に婦人を流産させる道具を与えない。
    ・ 生涯を純粋と神聖を貫き、医術を行う。
    ・ どんな家を訪れる時もそこの自由人と奴隷の相違を問わず、不正を犯すことなく、医術を行う。
    ・ 医に関するか否かに関わらず、他人の生活についての秘密を遵守する。
    この誓いを守り続ける限り、私は人生と医術とを享受し、全ての人から尊敬されるであろう!
    しかし、万が一、この誓いを破る時、私はその反対の運命を賜るだろう。
    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

  • 大学の法医学教室を舞台とした警察もの。コレクターと名乗るネットへの書き込みから、自殺、事故と判断された死体が解剖されることになり、そこから真実が暴露される。法医学教室の光崎教授、キャシー准教授、真琴助教(女性主人公)、古手川刑事、渡瀬班長など、主要人物の個性がそれぞれ際立っていて、彼らのやり取りだけでも大変面白い。各事件も工夫が凝らされているし、コレクターは誰かということで全体を上手く結び付けている。司法解剖場面の臨場感もあるし、死体献体の実情などにも触れていて興味深い。しかし、実際に解剖に臨場するなんてとんでもないが。医学部の人は凄い。

  • 読んでから時間が経過してしまい他の本を読んでて感想飛んでしまいましたが、面白かったです!

    • アールグレイさん
      あかぴさん♪こんにちは(^_^)/

      次の本を読み出してしまう、そういうことありますよね!
      でも、レビューを書かなきゃ、と思い出す。
      せっか...
      あかぴさん♪こんにちは(^_^)/

      次の本を読み出してしまう、そういうことありますよね!
      でも、レビューを書かなきゃ、と思い出す。
      せっかく読んだ本のレビュー、残しておきたいものデスよね!
      o-_-)=☆
      2022/07/23
  • 法医学の視点から各事件の真相に迫る物語。
    解決済と思われた事件が死体を再確認する事により、別の真実を見つけていく。
    各短編形式で綴られているから、部分的にも読みやすい作品でした。
    これを読んだら「死人に口なし」とは言えなくなりそうですね。
    死体解剖がこの本のメインだから詳細な描写あり。少しエグイ面も。
    全体的に面白い作品でした。
    シリーズもののようだったので、他の作品も読んでみます。

  • シリーズ2作目。【ヒポクラテスの誓い】の続編。
    古手川刑事と真琴との絡みが楽しいです。2人の行く末も気になるところ。
    あの人が怪しいと思っていた人がコレクターだったけどこういう展開になるとは想像つかずさすが!と思いました。
    3作目【ヒポクラテスの試練】も読みます!

  • 解剖学的に解いていく殺人ミステリー。
    第2弾から手つけたのを後悔しちゃうくらい面白かった。
    次は1弾のをまじまじとがん読みしようと思います。

  • 前作よりは軽めの印象。サクッと読めて面白い。二人のその後も気になる。

  • シリーズ2作目。
    真琴が法医学教室の助教になったところからスタート。そんな時に、ネットの書き込みで修正者(コレクター)を名乗る人物が司法解剖に関しての書き込みが見つかる。果たしてとは一体…

    連作短編で最後は全て繋がるというのが1作目に引き続きいいですね。また、光崎教授やキャシー先生、小手川刑事も相変わらずいいキャラで、また真琴と小手川刑事がお互い意識してる様にニヤニヤです。次回も楽しみです!

  • 「ヒポクラテスの誓い」の続編。埼玉県警のホームページに「コレクター(修正者)」と名乗る人物からの書き込みを受けて、一見事件性のない遺体の解剖が始まる…1つ1つの章は1話完結な感じの長編と言うより、連作短編集な感じ。前作より、主人公の真琴が法医学に前向きになっており、光崎教授やキャシーのキャラクターもより強烈になっている。中山七里の作品としては、最後にどんでん返しがなかったり、それほど残虐でもなかったり、比較的読みやすい。古手川がどうしても御子柴シリーズに出てくる人と同一人物に思えないのは、私だけだろうか…

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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