ヒポクラテスの悲嘆

著者 :
  • 祥伝社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784396636609

感想・レビュー・書評

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  • 浦和医大法医学教室シリーズ。
    光崎が主役なのだろうが、今作は真琴と古手川のバディもの。
    引きこもりを抱えた5つの家族の物語。
    浦和医大法医学教室には、立て続けにミイラ化した遺体が運ばれてきた。
    一見餓死のように見えるが、光崎の手にかかれば、そこには別の真実が見えて来る・・・
    30代、40代と年を重ねる引きこもりの子供に60代、70代と老い先短い親は何を思うのか?
    光の見えない明日に何を願うのか?
    絶望しかない時、人は愛する家族を殺めてしまうのか?
    すごく考えさせられる内容だったが、テーマが重すぎて、いつもの面白さは半減。
    ただ高齢化する引きこもりや、老々介護など他人事ではないので、きちんと向き合う必要がある。
    連作短編集と見せかけて、一つの事件であることは、やはり結構手前で気づいてしまう。
    最近は「どんでん返し」効果が薄いのと、光崎やキャシーの出番が少なかったので、星は少な目で。

  • 法医学シリーズ5の一冊。

    先日読んだ作品に通ずるものがあった。「8050」はもちろん、想像さえしていなった「9060」まで…他人が容易に関与できない家庭という密室での苦しみはまさに家族の地獄。

    それをまざまざと見せられるたびに他人事ではない怖さを感じずにはいられなかった。

    ミイラ化した遺体の声なき声とは…。

    光崎教授のメス捌きはどんな真実を、何を見るのか。

    彼の閉腹の合図は遺体の声を掬いあげた合図のよう。
    白日の元に晒された深い真実。
    なのに毎回薄っすらと残る違和感。
    裏の真実に言葉が出ない。

    真の罪を問われるべき人は誰?

  • 好きなシリーズの新刊だったので、あっという間に読了。相変わらずすごい技術の光崎と全く進展しない真琴の恋愛。
    黒幕が計画を全部たててた訳じゃないからあの終わり方しかなかったんだよなあ。でも後味が悪い。

  • 引きこもりや老々介護など切ない題材が多かったな。古手川刑事と真琴の掛け合いが夫婦のようでなんだか微笑ましい。

  • 【目次】プロローグ/7040/8050/8070/9060/6030/エピローグ

  • 『死体は嘘を吐かない』でお馴染みのヒポクラテスシリーズ第五弾。

    今回は引き籠りや老老介護に焦点を当てた社会派ミステリー。

    プロローグ一行目の吸引力、すぐ傍にある未来に嫌な予感しかしない。

    40歳の一人娘の引き籠りに悩む夫婦や、50歳の息子の家庭内暴力に苦しむ夫婦、10歳年上の妻を介護する夫など5話に渡って現実に起こりそうな家族の悲劇が描かれる。

    些細な躓きで堕ちていく人間の弱さ、それに伴い崩れ行く家族関係にやるせなさが募った。

    死者の声に耳を傾け嘘を見破る光崎教授は健在。

    エピローグで明かされるキーマンの企みに愕然。

  • 今回のテーマは引きこもりの餓死。
    真琴もどんどん古手川の扱いに慣れて来て良いペアですね。古手川の鈍さが玉にきずですが。

    流石に9060はキツかったです。
    60で引きこもりとか、やるせないです…

    そして、エピローグまで読むとなぜそこへ導かれたのか驚愕でした。

  • シリーズ第五弾
    シリーズ史上一番、現実世界との隔たりが少ない作品かなと思う。老老介護、成人の引き籠もり。すぐ隣で起きているかもしれない問題の、些細とは呼べない、だけど見逃してしまいそうな真相。
    光崎教授が孤高の天才であるのは努力と経験だけでは埋めることができない法医学者としての資質を持ち合わせているからというなら、古手川は刑事としての資質があるんだろうな。まぁ、だから麻生さんも傍において置くんだろう。

    前作は真琴先生と古手川刑事、今作は古手川刑事の回でした。

  • 大好きなこのシリーズの第5弾目は「悲嘆」
    誓い、憂鬱、試練、悔根、ときて、悲嘆。連作短編として一章ごとにこの言葉の重みを増していって、最後に最大の悲嘆が訪れる。誰のか、とは言わないでおきましょう。
    今回のテーマは「引きこもり」と「餓死」。なぜ令和の世の、この現代社会において家族と一緒に暮らしているオトナが餓死するのか。
    親子の、夫婦の、外からは見えない複雑な関係と思惑が悲しい事件を生んでいく。
    古手川と真琴が持ち込み、光崎教授が開いていくのは死者の身体ではない。死を通して語られる真実そのものだ。

  • 怖い。あまりにも現実的のお話しで怖かった。

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著者プロフィール

1961年岐阜県生まれ。『さよならドビュッシー』で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、2010年にデビュー。2011年刊行の『贖罪の奏鳴曲(ルビ:ソナタ)』が各誌紙で話題になる。本作は『贖罪の奏鳴曲(ソナタ)』『追憶の夜想曲(ノクターン)』『恩讐の鎮魂曲(レクイエム)』『悪徳の輪舞曲(ロンド)』から続く「御子柴弁護士」シリーズの第5作目。本シリーズは「悪魔の弁護人・御子柴礼司~贖罪の奏鳴曲~(ソナタ)」としてドラマ化。他著に『銀齢探偵社 静おばあちゃんと要介護探偵2』『能面検事の奮迅』『鑑定人 氏家京太郎』『人面島』『棘の家』『ヒポクラテスの悔恨』『嗤う淑女二人』『作家刑事毒島の嘲笑』『護られなかった者たちへ』など多数ある。


「2023年 『復讐の協奏曲』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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