- Amazon.co.jp ・マンガ (194ページ)
- / ISBN・EAN: 9784396783303
感想・レビュー・書評
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武家の三男という低い身分から、権力者達と次々に関係を持ち成り上がってゆく”高前”という男の半生が描かれています。
とても美しく賢い男ですが、裏切りを重ね周りから疎まれながらも上を目指します。ですが、やはり人間悪いことはできませんね、哀しい最期をむかえます。<h>詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
平安末期、武家の三男だった美貌の高前(たかさき)は
有力貴族の閨を渡り歩きながらついに上皇の寵を得るが―。
院政期時代のBLは史実がいっぱい残っているにもかかわらず、
なかなか漫画などでは読めないものです。
権力者に体を与えるばかりでなく、邪魔者を手籠めにしちゃうシーンなどもあって頼長様の『台記』のエピソード等を思わせるのがすてき。
まあ、それをぜんぶ日記に書いちゃう頼長様は本当にお育ちがよかったんだなあと思うけど・・・。
折角の機会なので(?)もっとドロドロしたのが読みたいと地団駄。
でもこの爽やかで可愛い絵なのであまり抵抗なく読めるともいえるのかも。
この物語の高前もとりたてられる"北面武士"というのは白河法皇がつくった院直属の武官で、有名人には佐藤義清(西行)とか平清盛などいますね。時代が下るにつれだんだん大規模になりますが、初期には近習や寵童など院に近しいひとびとで成り立っていたとか。
端的に言うと、まだまだいろいろよみたい世界なのでもっと書いてほしいです。
おためし読みできます(onBLUE編集部のブログ)
http://ameblo.jp/onblue/entry-11512636166.html
※期間限定とのこと。 -
平安BL。
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ありそでなかった平安BL!
源氏物語が好きなので、色んな細かい設定もおもしろかった♥︎
ラストはやるせなく悲痛で泣けました。悲劇BL珍しい。でも後味はいい一作! -
商業誌ではめずらしい平安もの。
カバー下におまけマンガ(あとがき)あり。 -
作者さんの初コミックスは平安末期を舞台にした時代物でした。
平安時代のBLは希少で、この作品もツカミはOKだったんですが、個人的にハピエン好きで萌え重視な体質なもので…
美貌と身体で権力者たちを篭絡し、武家の三男でありながら上皇の寵愛を受けるまでに成り上がった高前が主人公。
ストーリーはすごく面白かったです。高前がかなりあざとい手段でのし上がっていくのは見どころでした。
でも、欲を言えばもう少し高前の心理描写が欲しかったような。汚い手口で、色んな人達を傷付けてそこまでして彼が欲しかったものに対する執着が理解しにくかったのです…そこまでひっ迫するような思いが想像力不足で最後までわかりませんでした。
「なぜすがらぬ」と言われていましたけどね。私もまったく同感な凡人です。
ただ、高前があらゆるものを差し出し、踏み台にしてのし上がっていった中で、ひとつだけ「矜持」だけは死守したのは間違いないですね。高前を欲しがる男たちは、生まれながらにして身分や地位を持っていますが、彼にはそれがありません。出発点からしてまったく違う立場でプライドだけが拠り所だったのだろうな、とそこまでは察することができました。
私のような読者のために、高前の人格形成の過程とか、そのひととなりとか心境とかを掘り下げて描いてもらっていたら、もっと理解できて好感度も上がったかなと思います。
それに比べて、攻の智実は貴族の息子らしく、鷹揚で多少のことではブレない魅力的な人柄に感じられました。感情も素直に出るので受け入れやすいキャラでしたw
ハッピーエンドじゃない話でも好きな作品いっぱいあるんですが、攻受のHシーンに救いがなくて萌えもないというのはキツかったです。 -
★3.5
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ハッピーエンドとは言えないけれど、読後感は爽やかな作品。
ラスト近くの見開きを初めて見たとき、涙がこぼれました。
愛であれ憎しみであれ、他人の人生にここまで深く関わることはそう多くない。流刑になり都を離れても、唯一素直に心惹かれた人間に生涯自分を想っていろと言われたことは、高前にとって恨みつつも幸せなことだったんじゃないだろうか。
確かにそれが恋だったとしても、すがることは決してしない。どうしようもない禍根があるから、たとえ再会しても恋人になることはない。けじめというかハッキリとしたプライドがあって、それがとても美しいと思った。
装丁がものすごく綺麗。他の作品のときもそう思ってたので、ここのレーベルすごいな!と感動してます。 -
雅〜。
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平安が舞台のBL漫画。西つるみさんの初コミックス。
武家の三男に生まれた高前は、その美貌でもって貴族たちの寵愛を受けのしあがっていく。その中で自分を蔑みも恐れもせずまっすぐな好意を寄せてくる智実に高前は惹かれつつも冷たくあしらう。
貴族社会の中での嫉妬や謀略も絡み合い、二人の関係も変化していく。
全体はとてもせつなく好きな感じの話でした。
けっこうえげつないエピソードもあってなんというか高前…自業自得やろ…という気もしなくはないのだが。
1冊で話はつながっているんだけど読み切り連作の形だからか、少しわかりにくく盛り上がりに欠ける部分があってもったいない。
高前が誰を思っているのかとか行動の動機についてもう少し説明があるとよかったのかなあ…(読んでいれば一応わかるんだけど…)