アラマタ美術誌

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  • 新書館
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  • Amazon.co.jp ・本 (294ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784403120220

作品紹介・あらすじ

本書が教えてくれるのはまずヒトはどうして絵を描くようになったのか?なんと絵が描けたために滅亡をまぬがれたというのです。美の思想は東西で違うにもかかわらず、騙される快楽、イリュージョンの快楽は共通しているわけを豊富な図版で説明。さらに、太古から現代までの装飾芸術の秘密を解き明かして、肥満とダイエットの美術史!を展開。ついにヒトはなぜ悪趣味を求めるのかを論じて大ドイツ芸術もバッドテイストだったことを証明して美醜の起源とその消滅にまで説き至る、わあ、さすがはアラマタ美術誌だ。

感想・レビュー・書評

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  • NHK週間ブックレビューで宮田珠己さんがお薦めの一冊で紹介していた本です。

    挿絵がはいっていて、大変わかりやすく、
    ものすごく面白い本でした。

    ただ「美術」と名のつく本としては
    『バッドテイスト』かも?!

    私にとって関心ない話がやまほど登場して
    でもそこが面白く新しい世界に興味をもってしまいました。

    荒俣宏さんの本、また読みたいです。

  • そのところどころは面白いんだけども、なかなか閉じた輪にはできず。
    やはり講義録にするにはもったいない内容で、ちゃんと書いて欲しいなー。
    思ったほど魔法的ではなかった。
    でも、こういう考え方できるくらいの知識量が欲しい。

  • さすが荒俣先生、話があちこちに広がり過ぎてついていけない…。その場その場では面白いんだが。第2章装飾芸術論が印象に残る。

  • 影から美術を語る、という点にまず惹かれました。視点を絞ったり変えたりすることで、今まで見えていなかった部分が見えてくる。そういう事象を分かりやすく大胆に書いていて、スピード感を持って読めました。
    p147の写真に何気なく写っているのは…水木しげるさん!? 遊び心を忘れない仲良しのお二方なので、おそらく本当に水木さんだと思います。

  • (欲しい!)

  • 2011年5月10日読み始め 2011年5月17日読了
    荒俣宏が講演した内容をまとめた本のようです。なので話が多少重複したり、話し言葉になっております。
    図版も豊富で読みやすいです。美術の本質について荒俣流に語る、という感じでしょうか?
    第一章「人はなぜ絵を書くようになったのか」では、三次元をどのように二次元にしていったのか、影の存在が東洋と西洋ではどう違うのかを論じます。
    第二章「装飾芸術論」は「うわべの芸術」装飾と「なかみの芸術」構造との対立を論じてます。
    第三章で「差別する美学」は主に女性の美醜が歴史上どう変わっていったのか、から良い芸術、悪い芸術の変遷を語ってます。
    どの章も興味深く、美術品の見方が変わると思います。

  • 博物学者である著者の、美術に関する講義論集。
    全編を通じて著者の博学ぶりには圧倒されますが、中でも装飾芸術論は自分が詳しくなかったところでもあり、とてもおもしろかったです。

    単なる美しさの表現歴史という形ではなく、悪趣味の系譜的なことも教えてくれる彼。さすがはマニアックですね。
    「おかげさま」というのが、半陰影の影響力化にあるという意味だと初めて知りました。
    「景気」は、万物を動かす気が順調かよく眺める、という意味だそうです。
    とにかく多方面に深い知識を持っているため、ともすれば話が脇道にそれて脱線することもあり、ついて行くのが大変ですが、興味深い話ばかりでした。

    話に上がった作品が一つ一つ掲載されているのも、わかりやすいものです。
    かなりの量に上っています。
    「影」論は、それだけで一冊の本になるのではないかという詳しさでしたし、「鏝絵(こてえ)」へのこだわりも圧倒されるほどに綿々と書き連ねてありました。

    「安珍清姫」の話は、安珍が大鐘の中に入って姫から逃れる、というストーリーですが、これは仏教なら助けられるというお寺の宣伝なんだそうです。

    また、西洋でライオンのシンボルをよく見かけるのは、ライオンは夜目を開けて寝ることから、守り神として用いられているとのこと。

    日本画のスリムさが西洋画に影響を与え、逆に岸田劉生の「麗子」像に代表される、西洋画風の豊満な肉体描写を日本絵に用いた際のバッドテイストぶりも紹介されていました。

    また、反骨のファッションリーダーとして、バサラが上げられ、ソフトなバサラとしてカブキが挙げられていました。
    二つは違いがあったのですね。

    世を退廃させる芸術を糾弾したヒトラーが推薦した「大ドイツ芸術」についても、説明されていました。
    今見ると、特に魅力を感じない、凡庸とした作品のように思えます。
    とにかく人を刺激せず、精神を高揚させないものが、よしとされた時期だったとあらためてわかりました。

    全篇を読み終え、タイトルを見返して、(これは荒俣流の美術史という意味だったんだ)と腑に落ちました。
    かなり偏った、特定の事象に言及して語られていたからです。
    ただ、正史ではなかなか採り上げられることのない、アンダーグラウンド的な面に焦点を当てているため、面白く読めました。

  • 読みたい本。
    アラマタさんは買ってみると案外ボクに合いそうで合わないんだよなあといつも思いつつああそれなのにテーマに惹かれてまた手に入れてしまうというなかなか困った本なのです。

  • 「単に生きるのではなく、よりよく生きること」・・・

    という言葉を聞いて何を当たり前なことを。と思ってたのですが、だいぶ勘違いしてたなってことに気づかされる本でした。

    一つのことに対して1の知識と100の知識のある人ではその物事に対する感じ方が違うもので、同じ物事を同じように経験しても100の知識があれば100倍、それ以上深く生きられるってことなんだろうなって思ったんだけど、違うかな???

    だって荒俣さんの知識が思わぬ視点から繰り出されるから目から鱗がポロポロ落ちてくるんですもの。これだけ知識があれば何でも楽しめそうじゃないですか!よりよく生きるねぇ。なるほどね~って感じですよ本当に。

    ちなみに余談ですけど荒俣さんの語り口調そのままの文章なので側で講義を聞いているかのような錯覚に陥るし。なんだか楽しいんですよ。最近やっと始めた哲学で、先日覚えたイデアだかイドラだかの概念もこの本のおかげでほんの少~し理解できたような気がしてうれしくなりました。

    よりよく生きるために。ねぇ。とりあえずこの本熟読したいと思います。

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著者プロフィール

作家・翻訳家・博物学者。京都国際マンガミュージアム館長。
平井呈一に師事、平井から紹介された紀田順一郎とともに、怪奇幻想文学の日本での翻訳紹介に尽力。のち活動の幅を広げ、博物学をはじめとして多ジャンルにわたって活躍。
主な著書に『妖怪少年の日々』、『帝都物語』シリーズ(ともにKADOKAWA)、『世界大博物図鑑』(平凡社)、『サイエンス異人伝』(講談社)、『江戸の幽明』(朝日新書)など。『怪奇文学大山脈』Ⅰ~Ⅲ(東京創元社)を編纂。

「2021年 『平井呈一 生涯とその作品』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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