CD付 いちばん親切な楽典入門

著者 :
  • 新星出版社
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本棚登録 : 94
感想 : 4
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  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784405071698

作品紹介・あらすじ

"いい演奏"には理由があります。演奏の違いをつくるのは、楽譜の読み方。この本では、楽譜がやさしく読めるようになるだけでなく、演奏・鑑賞に本当に役立つ楽譜の読み方がわかります。

感想・レビュー・書評

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  • とてもわかりやすい。楽典って難しいことを覚えるみたいなイメージあるけど、これは、音楽の演奏の仕方、楽譜の読み方を説いてる感じかな。とても共感できました

  •  文字が少なめで楽譜や絵が多い「いちばん親切な」楽典の入門。CDが付いていて、著者の先生のピアノ演奏が聞ける。と言っても楽典を理解するためのピアノ。楽典を理解することが目的なのではなく、「お気に入りの曲や好きな作曲家と、楽譜を通して、交流することができる」(p.190)ことを目指し、演奏や鑑賞に役立てようという本。最後は楽譜を見ながらアナリーゼしてみる段階で、具体的にどういうプロセスを踏むのか、という話が出てくるので、単に楽譜が読めるとかそういうレベルの目標ではなく、意外と目指すところが高い本なのかもしれない。
     「特訓!」というコーナーが4つあり、音符を速く読む、音符と休符の長さを理解、リズムをたたいてみる、といったコーナーがあって、自分の理解を確認しながら、あるいは自分の読譜力を高めるちょっとしたエクササイズが出来るのが良かった。その辺は楽しい、というかなんとなく出来るんだけど、やっぱり音程のところからだんだん怪しくなってきて、五度圏の話で、ドイツ語と対応させるとどうなるんだろう、とかこれやっぱりどうやって覚えるんだろう、とだいぶん難しくなってきて、和音の話のところで、もうこれはまずい、という感じになってくるのは他の本と変わらなかった。やっぱり鍵盤と向き合って、ここに半音がここが全音で、と数えながらやっていかないと、とても読み飛ばして分かるレベルにまったくおれが到達していないということが分かったが、少なくとも下手に詳しい教科書とか読んで挫折するよりも楽典の全体像が掴めるのは良かったけど。
     印象的だった部分のメモ。「ヘミオラとはギリシャ語で3:2の比率を表す言葉です。」(p.75)というヘミオラの話は前読んだ本でも書いてあったなあ。とか。「テンポをゆらす」という言葉を初めて聞いたが、こういうのは楽譜で表現されないことの一つだなあと思った。「自然のものにゆれないものはないのだよ!」(p.79)というおじいさんの言葉が印象的。CDで聴き比べが出来るのも良かった。終止の仕方を分析して、「同じ音が書かれていても、軽い一段落なのか、場面の移り変わりなのか、曲の締めくくりなのかを見極めることによって、減速の度合いを変化させることができます。すると、曲全体の構成感がぐっと引き立ちます。」(p167)ということで、実際の演奏でその様子を体験することができる。非和声音ってあんまり聞いたことなかったけど、経過音、刺繍音、倚音、逸音、掛留音、先取音というのがあって、これでクレッシェンドするとかディミヌエンドするとか、そういうことが自然にわかるらしい。ピアノの先生が楽譜に書き込む形で、こう弾く、というのを指示されることがあるけど、それも分析すればこういう要素のおかげで分かる内容なのかなあ、と思った。
     おれが習っているピアノの先生もアナリーゼの話はすごいしてくれるけど、楽典の知識がやっぱり必要なんだなあと思う。ちなみにCDのプロローグとエピローグで著者の先生が自分の演奏をBGMにややエコーがかかった感じで語っているのがスピリチュアルな感じでちょっと面白い。(22/09/02)

  • 轟千尋さんの編曲ものや作曲ものは何度も使っていて、セミナーなんかもされていて、マルチだなあとは思っておりましたが、楽典本も手がけていらっしゃるとは!
    とても興味深く拝読させていただきました。
    半音階、シャープ・フラットのところの階段の例えはなるほど!と手を打ちたくなりましたし、大縄跳びと拍のところも、分かりやすい(イメージしやすく、尚且つ体感しやすい)例だなと感じました。
    最後の黙読の章は、私がまだ小学生の頃に知りたかった内容でした。楽器を演奏するというと、すぐに音出しの練習のみを想像しますが、曲の難易度が上がるにつれ、こういった黙読がもたらす影響は計り知れないと思います。
    アマチュアだろうが、音大を目指してようが、聞く専だろうが初心者だろうが、どこかで大きく学べる本だと思います。私も、何度も読んで内容を咀嚼し、伝えていきたいと思います。

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著者プロフィール

東京藝術大学音楽学部作曲科卒業、同大学院音楽研究科作曲専攻修士課程修了。作曲を野田暉行、尾高惇忠、松尾祐孝、電子音楽を辻田幸徳、音楽理論を川井學の各氏に師事。多数の一流演奏家に作品を演奏され、室内楽からオーケストラと様々な編成の作編曲、曲集出版等も数多く手がける。

「2021年 『お話と音楽のバトン ある日、オリーブの丘で』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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