作品紹介・あらすじ
過去の伝染病のはずがなぜ?獣医師である元気の父さんのところへ犬の安楽死を求める飼い主が殺到。元気と一哉は問題の解決を目指して「少年NPO WanPeace」を立ち上げる-。人と犬との共存を考える、著者初のフィクション作品。
感想・レビュー・書評
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万が一はゼロじゃない。狂犬病が根絶されたと言われているが、万が一日本に上陸したら日本はどうなるか。どんなルートで侵入するのか。動物と共に生活することの責任とは。
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僕・元気(もとき)のお父さんは獣医師。お父さんは、犬を飼う人には義務づけされている狂犬病の注射を打たない人が多い事と気にしていた。狂犬病は、現代の日本では過去の伝染病。
けれど、安全なはずの日本でも狂犬病がふたたび、人知れず外国から入ってきてしまった。
狂犬病にかかるのは犬だけでなく、猫やハムスター、猿、コウモリ、そして人間も。過去の病気だと思われているからこそ原因がつかめず、急性脳炎と診断され数日で亡くなってしまう。
致死率100%。
元気の父の友達の獣医師も亡くなってしまう。
元気は友達の一哉と一緒に、自由研究のテーマとして狂犬病を調べていて、今回の事について、子どもだけでは、調べられること出来ることへの限界を感じ、NPO法人をたちあげる。
動物を飼う事の責任。
動物も人も幸せに暮らせる社会にするにはどうすればいいのか。
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家族の一員である犬に起きる「万が一」のために、ぼくたち人間ができることは?元気の父は獣医。元気は、親友の一哉と自由研究で狂犬病のことを調べはじめる。万が一、狂犬病が日本に再上陸したとしたら・・・!?
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ぼくのお父さんは動物病院のお医者さん。最近は狂犬病の予防注射をしない飼い主が増えているんだって。でも万が一はゼロじゃない。予防注射をしないと大事なペットが死んじゃうことだってあるんだ…。
日本では根絶されている狂犬病が、海外から思いがけず入って来てしまったらどうなるのか…。人にも感染し、致死率100パーセントのこの病気は、人々の意識で防ぐことができる。ノンフィクションのようなリアルさが最後まで物語をひっぱります。
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★★★★☆
ペットショップでは決して教えてくれないであろう飼い主の責任について書かれている。
狂犬病の注射は義務だと思っていたが、受けさせない飼い主が増えているんですね。
日本では数十年発症例がないが、100%なんてものはこの世にはないって、日本人はよく知っているはずなのになあ。
表紙イラストのワクワクさわやかさだけで読んではいけない、重たいテーマを扱っています。
作中のいくつもの「もし」が、読者にもつきつけられてきます。
(まっきー)
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もし日本に狂犬病が上陸したら、という「万が一」をテーマにした児童書。
主人公は獣医の息子の小学生。舞台設定は口蹄疫が流行っていたころ。
もしこれがペットでおこったら?という疑問から、主人公たちが自由研究で狂犬病を調べ始めるのとほぼ同時に狂犬病が日本に入ってきて社会がパニックになる。
現実ではない。でも現実に起こりうること。
検疫の不備もさることながら、平時の予防接種を怠って、緊急時には調べもせずに逃げようとする(ペットを捨てたり安楽死させたり)飼い主たちがいかにもありそうだ。
私はあんまり犬猫に興味がないから、これを見て人間のことを考えていた。
アメリカのワクチン接種のドキュメンタリーで「もうこの国にはない病気だから関係ない」「副作用で死ぬ子だっているんでしょう」「いつまでやればいいのか」などと反対派が言っていた。
日本でも子供の予防接種を感覚だけで忌避する動きが強まっているから他人事じゃない。
「万が一」を考えておけ、という思考の種として良い本。
でも話がリアルなだけに登場人物がいかにも児童書の中の登場人物っぽいのが浮いてる。
「じゃあ死んでもいいのかよ!」みたいな極論と単純思考でつっぱしるあたりは小学生らしいけど。
とりあえず一哉は人気者に見えない。いいやつと人気者は違うからなあ。
あと小学生に「わんぴーす」っていったらまず思い浮かべるのは海賊だと思う。
主人公たちにとっては優先順位がひくい存在だろうけどダンナたちの扱いが軽い。
未亡人たちはこのあと付き合えるの?
悪意じゃないにしても怠慢で夫が死んでるけど平気なの?
制度なり個人なりにアクションを起こしたり憤ったりしないの?
人の薄っぺらさが気になる。
悪くないけどこの人はノンフィクションのほうがよさそう。
絵は漫画系でかわいいけど全部表情が同じ。
貝塚夫妻老けてんな…パパより三歳年下なのに。
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わりと重いところのある物語だった。いろいろ勉強になった。
著者プロフィール
児童文学作家。(公財)日本動物愛護協会常任理事。著書『ドッグ・シェルター』(金の星社)で、第36回日本児童文学者協会新人賞を受賞。執筆の傍ら、動物愛護センターから引き取った愛犬・未来をテーマに、全国の小中学校を中心に「命の授業」(講演会)を展開。主な著書に、『犬たちをおくる日』(金の星社)をはじめ、累計45万部突破のロングセラー「捨て犬・未来」シリーズ『捨て犬・未来 命のメッセージ』『捨て犬・未来、しあわせの足あと』ほか(岩崎書店)、『捨て犬未来に教わった27の大切なこと』『いつかきっと笑顔になれる 捨て犬・未来15歳』(小社刊)など多数。
「2023年 『うちの犬(コ)が認知症になりまして』 で使われていた紹介文から引用しています。」
今西乃子の作品