神に愛されていた

著者 :
  • 実業之日本社
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本棚登録 : 1919
感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538402

感想・レビュー・書評

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  • 区切りが少し多めなのが気になるが読みやすい文体であり、要所要所のフレーズが良く刺さるものがあった。言葉選びが素敵な作家さんだと思う。
    ただストーリーとしては意外性はなかったかなぁ。タイトル回収は好きだからそこは好みだけど。
    たまには知らない作家読むのもいいよね。

  • どうなるんだろうと思いながらスラスラ読めてしまって、あっという間でした。
    才能があると大変なんだな、、というのがいちばんの感想でした。
    一度上にあがると中々下に降りるのが怖くなるというか。
    本当は憧れていたのに相手からしたら憎き相手だったとか、人生のままならなさってこれですよねぇと。
    どれだけ才能があっても完璧でいれる人なんていないんだなぁ。

  • 冴理に対する憧れ、命を救ってくれた小説
    天音という光がなければ書けなかった小説
    光があるからこそ闇がある
    ページをめくる手がとまらなかった。

  • 文字が、こんなにも色鮮やかだなんて、私は知らなかった
    黒いだけなんて思い違いも甚だしかった

    この下りを読んだだけで心が震えました
    本好きにはアート好きが多い理由が分かった気がします

    もっと世に知れ渡って欲しい作品です

  • 話の展開が常に予想できてしまうものの、作家(東山)と若き作家(白川)が見事にすれ違っていく歯痒さを覚え、一気に読了。

    自分より若く才能もあり、本も売れているとなれば、こいつさえ居なくなれば…と考えるのは当然だと思う。しかし、東山は、白川に全てを奪われて憎しみを覚えながらも彼女の本を買い続け、その才能にひれ伏していた。単純に凄いと思う。私だったら嫌いな奴とはなるべく関わるまいとして避けて生きていくだろう。

    白川の思考回路に、どうしてそうなるのかとツッコミたくなるところもあったが、実際、かねてからの憧れの人にやっと会えたときに平常心を保てるかと問われれば自信はない。
    東山に小説を書いて欲しい、ただそれだけのために生きていたのに、逆に自分が原因で東山が書けなくなったと知った白川が哀れでしょうがない。
    東山と小説を遠ざける者は何人たりとも葬り去るというスタンスを最期まで貫いた点に感服する。
    白川のように生涯をかけて追いかけたい作家がいるというのは、羨ましい限りだ。

  • 装丁とタイトルが気になり、何となく手に取って面白そうだから読み始めました。

    詩的な流れるような文体がそうさせるのか、手を止めることなく一気に読み終えました。

    帯に「女にだけわかる狂気」とあるように、二人の女性作家の嫉妬や狂気が描かれますが、女性向けの小説ということでもなく、物を創り出す仕事をしている人であれば、創作における心の闇の部分に対して、性別に関わらず共感できるでしょう。

    後半は驚くべき罪の告白もあり、闇はさらに広がりますが、最後には二人の作家の心のすれ違いがや誤解が融けていき、闇の中に一筋の光が差し込むような、かすかな美しさを残して終わります。

    神に愛されたかったあの人に向けて、冴理どんな物語を描いていくのでしょうか。

    いい作品でした。

  • すんごかった。最後の一文が目に入った瞬間にトリハダが立って「うわぁ、すごい。」と言葉に出た。
    漫画にも映画にもできない、この面白さは読書ならではだと思う。

    全てが計算し尽くされていたし、読み進めながら何度も振り返りに戻った。戻るたびに、自分が何気なく読み進めた文章が際立って、遠い稲妻のように光った。
    終盤に差し掛かって【誰が誰に愛されたのだろう】【誰の神だろう】【タイトルは天使に愛されていたではないのか】と疑問が湧いたが、そんな自分の考えが浅すぎて震えた。

    間違いなく、神に愛された一冊だった。

  • 読み始めて数ページで、その世界観に惹き込まれ、一気に読んだ。
    途中、「もしかして…?」と伏線と『雨』の正体に気付いたけれど、気付きながらも夢中でページをめくった。

    あ、あの時のあれはそういうことか、ああ、これも…と切なくなる。捉え方次第でこうも変わってしまうのか。
    全て読み終わった後で、それぞれの視点からまた読み返したくなった。
    全て分かった上で改めてタイトルを見ると切なくて堪らない。

  • 大きく二部構成になっているが、一部目のストーリー内に張られた伏線がすべて非常にわかりやすい。
    そのため、答え合わせパートとなる二部目に新鮮味はなく、失速したままストーリーが終わる印象。
    帯文負けしている。
    普段全くミステリーを読まない人なら、それなりに楽しめるかもしれない。

  • 初めましての作家さんでしたが一気読みでした。

    相手の思っていることと、自分の思っていることとがかけ離れてしまって悲しいことになってしまったな、と感じました。

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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