神に愛されていた

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 96
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  • Amazon.co.jp ・本 (296ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408538402

感想・レビュー・書評

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  • 面白かった。
    最近思うけど、面白くて、一気に読んでしまうが、
    読んだ〜っ‼︎という感じになる本がほんとに少ないと思う。
    私が年齢を重ねたせいかもしれないが。
    世阿弥最後の華のように、読み終わったあとの読みごたえを感じる作品ではない。
    キャッチーで、エンタメ。映画化とかされやすそう。この方の他の本を読んだことがないので、こういう時書き方なのか、わざとこうしているのかわからない。

    最近、2つの視点から物語を書く手法が流行っているけど、創造力の低下が招いたことなのか、小説として本当に必要なのか?私にはわからない。

    ダークサイドならダークサイドで良いと思う。

  • 同じ高校の文芸部出身のふたりの作家。

    冴理は心の壊れた母に追い詰められながら暮らしていたが、火事で母が亡くなり自由になる。新人賞をとって作家デビューし前途洋々だったものの、数年後に容姿端麗で抜きんでた才能をもつ天音が現れ、その圧倒的なきらびやかさに自分がくすんでいることを感じる。天音は冴理が卒業した後に文芸部に入り活躍した母校の後輩だった。出版社から共作を持ちかけられ、冴理も久々に自信作を仕上げたが、ベストセラーとなったのは天音の作品だけだった。「共作の意味がない」と陰で吐き捨てる天音の姿をみて冴理は絶望する。
    自信喪失した冴理は以前から好意をもっていた先輩作家シャープとの不倫に逃避する。
    しかし数年後シャープは妻と離婚し天音と結婚すると冴理に告げる。
    天音は娘を産むが体調を崩し数年後に自死した。

    ここまでが冴理が語った物語。

    最終章「神に愛されたかった」は天音の視点で物語が語りなおされる。
    高校生の時からずっと天音の絶対的な神は冴理だった。
    冴理のために火事を起こし、共作で冴理の作品が売れなかったことに憤り、執筆の邪魔となるシャープを誘惑して排除し、最後には冴理の最大の敵である自分を抹殺したのだ。
    天音は神である冴理に愛されたかった。
    冴理は神である天音に愛されていた。

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著者プロフィール

チレン(きな・ちれん)
京都府出身。大学在学中に応募した短編小説「溶けたらしぼんだ。」で、新潮社「第9回女による女のためのR-18文学賞」優秀賞を受賞。美しい少女の失恋と成長を描いた『静電気と、未夜子の無意識。』(幻冬舎)でデビュー。その後、少女の心の機微を大切に、多岐にわたるジャンルで執筆し、作品表現の幅を広げる。近著に、引きこもりの少女の部屋と京都が舞台の恋愛ミステリ『これは花子による花子の為の花物語』(宝島社)がある。黒歴史と少女の淀みを描いたミステリ小説『みんな蛍を殺したかった』に続くのが、本作『私はだんだん氷になった』である。

「2022年 『私はだんだん氷になった』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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