からくり探偵・百栗柿三郎 櫻の中の記憶 (実業之日本社文庫)

著者 :
  • 実業之日本社
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感想 : 8
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  • Amazon.co.jp ・本 (320ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784408552743

感想・レビュー・書評

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  • 『からくり探偵・百栗柿三郎』続編。

    発明家兼探偵の柿三郎先生が様々な謎を解いていく四話と、序章、幕間、終章からなる構成です。
    通いだった女中の千代さんが住み込みになり、前作の事件に関わっていた玉緒ちゃんも同居して“表”に出ております(その先の“若紫”的展開には触れられていませんでしたが・・)。さらに、犬のハチも加わって、何だか楽しそうな「百栗庵」です。
    前作でのご活躍のお陰(?)で、本書ではすっかり“名探偵”扱いの柿三郎先生。今回も安定の名推理を見せてくれます。
    そして、女中兼助手の千代さんも第三話「さる誘拐の話」では、なかなかの謎解きを披露してくれます(勿論、柿三郎先生の補足は必須ですが)。
    それにしても、この第三話の“オチ”にはやられました。読み終わった後タイトル見ると“あー、そういうことね!”と、思わず苦笑した次第です。
    序章、幕間が布石となっている、第四話「櫻の中の記憶」は、切ないお話でしたね。
    話中に登場した製糸工場の、とんでもハラスメント上役が本当にクズで酷い奴でしたが、実際当時の製糸工場のイメージも“超ブラック職場”だったっぽいな・・という印象です。働いていた女工(工女)さん達は激務だったでしょうね。
    こういった女性事情や、第二話でネタになった少女小説など、大正の雰囲気も味わえる当シリーズ。さらなる続編を期待します。

  • 気になったことなど

    ・エス: sisterの頭文字からきた隠語。1910年代より現れ、「お目」「おでや」などの他の隠語を抑えて一般化した。
    ・ たれ、だれ: 近世中期あたり(江戸時代)から変化し始めた。
    ・ 現在の原稿用紙が一般化し始めたのは明治時代中期くらいから

    探偵なんてものは実につまらない行為で、不遜なことであり、真実を炙りだすことが常に正しいとは限らない。それで果たして人が幸せになるのかどうか、僕には判断がつかない。

    悪、人を殺すということは許されないことだが、否定できない自分がいること。

    以前読んでなかなか面白かった本に続きがあったので読んでみた。

    あらすじは前作の続きで、時期としては大正3年末から4年4月頃。

    富豪が自分の館で行われた祝賀会後に殺された話、人気小説家が自身の連れを殺され、自身に嫌疑をかけられる話、誘拐の話、そして柿三郎の助手、千代の友人が白骨化した死体で見つかる話。

    各話モチーフ(解説では本家取りと記載)になったものがある。私が分かったのは3話と4話。

    今回の幕間は四話で殺される友人ふみと千代の話。

    最後にふみが夢の中?で、

    「あたしの思いを引き継ぐとか、そんな面倒なことは云わないでよ。お千代は、お千代の道を、歩めばいいんだから」

    といって千代に万年筆を託していたが、千代はその後、文学の世界に身を投じることになった(前作より)。

    万年筆の話がどこかにないかなと前作を軽く読み返してみたが、残念ながら見つからなかった。

  • 発明家兼探偵、百栗柿三郎シリーズ続編。
    短編集で面白かった。
    どの話も一ひねりしてあり、面白かった。

  • 他のかたも書かれていますが、からくりの謎解きはもうしないんですね…第一弾がとても面白いと思ったので残念です。 ストーリーとしてはまぁまぁかな。

  • 「からくり」感がなくなって普通の探偵になった。解説を読むまで某作品のネタバレタイトルのお遊びに気付かなかった。

  • 起きている事件は悲惨だが、
    カラリとした明るい文体でどんどん読める(^ ^
    ドキドキハラハラもバランス良く配合され、
    万人にお勧めできる佳作(^ ^

    犬、GJ(^ ^

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著者プロフィール

1972年大阪府生まれ。公務員退職後、『パチプロ・コード』で第八回『このミステリーがすごい!』大賞優秀賞を受賞し2010年にデビュー。

「2017年 『散り行く花』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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