台湾女性史入門

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  • Amazon.co.jp ・本 (255ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784409510612

作品紹介・あらすじ

日本統治期以前も以後も、政治、経済、文化の多岐にわたって密接な関わりをもちつづけてきた台湾。歴史に翻弄された女性たちが、セクシュアリティやジェンダーをどのようにとらえ、様々の困難をのりこえようとしてきたか、台湾の研究者が最新の成果をふまえて解説。コラムのほか、豊富な文献案内、索引、年表付き。戒厳令解除後の民主化とフェミニズム運動の盛り上がりを経てはじめて可能となった、日本はもちろん台湾本国においても稀な女性史「発見」の試みである。

感想・レビュー・書評

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  • 国立女性教育会館 女性教育情報センターOPACへ→https://winet2.nwec.go.jp/bunken/opac_link/bibid/BB11146831

  • これもレポートのためにつまみ読み。

    台湾は女性の社会進出が著しく、GEM(国連開発計画が決めた、女性がどれだけ社会・経済に参画しているかの指数)が世界19位でアジアトップなんだということを初めて知って驚いた。(ちなみに日本は44位)

    とくに興味深かったのは労働の章。日本が統治してたときに政府が女を工場に投入しまくったり、そのためもあって纏足を禁止したのがかなり女性の環境を変えて、女が働くのがふつうになっていったらしい。このまえ全体主義ロシアの女性を労働に駆り出すためのプロパガンダについて勉強したばかりだったから、政府が意図して女性の社会進出を後押しする例をまたひとつ知ることができて面白かった。
    それにしても女性運動が成し遂げた成果がでかい。政治家の力もあるんだろうけど社会変化の勢いがとにかくすごかったという印象を受けた。

    でも、いろんな人が書いてるっぽくて文体がコロコロ変わるのはまあ仕方ないとしても、慰安婦問題のとこはさすがにモヤモヤが残った。デリケートな問題とはいえもう少し深めてほしかった。陳妹おばあちゃんの部分、いきなり感情論に流れすぎて違和感。

    しかし日本とは比べものにならないほど女性政治家がかっこいい。「まず人であれ、男や女になるのはそれからだ」とは台湾史上初めての女性副総統だった呂秀蓮の言葉。

  • 章の区切りが短くて読みやすいが物足りない気もする。
    まさに「入門」な、台湾ではこんな風ですという部分から書かれているのでとっつきやすい。

    儒教文化だとか、もちろん植民地時代の日本の影響もあるから「近い」感じがする。
    歴史は全然違うけど、保守的な部分のあり方は通じるものがある。
    しかし台湾は(アジアの中では)ジェンダーの平等指数がかなり優秀らしい。
    日本より厳しそうな部分は多々あって、でも、遅れてきて急ピッチで追い上げるみたいな、勢いがある。

    扱われる話題が幅広いのが良い。
    セクマイ関係の記述がちらほら出てきて嬉しい。

    学校教育の箇所で、トランス?の子をきっかけに、目標設定を「男女平等」から「ジェンダー平等」に変えたとあった。そこが一番感動した。
    「本当は男の子だけどおかわいそうな障害者(あるいは病人)だから特別に女子の制服を着ることを許可してやろう」という越境ではなく、男女の枠組から問い直す。これってすごい。

    書き手がたくさんいるので、書き方にぶれがあるのはやや気になるところ。
    元「慰安婦」の「おばあちゃん」があまりにも無力で可哀想な存在として扱われているのが嫌だった。
    ひとりで猫と暮らすのは「解放」にはならないのかな。
    司法の辺りで出てきた、全然権利もなく大人しく従え状態の未亡人が裁判で闘う様とはずいぶん違う描き方だ。
    ひどい扱いを受けているという事実を矮小化してはいけないけれど、受けいれるしかない弱者として描いちゃうのも違うと思う。
    立場は弱くても、社会的に無力でも、その人自身が非力なわけではないのだから。

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