「発達障害」と間違われる子どもたち (青春新書インテリジェンス PI 665)
- 青春出版社 (2023年3月2日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413046657
作品紹介・あらすじ
近年、発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えています。文科省が出している数字を見ると発達障害が疑われる子は、この13年で約10倍に。ただ、35年にわたって子どもの脳・育ちに向き合ってきた著者は、増えているのは発達障害の子ではなく「発達障害もどき」ではないかと話します。発達障害もどきとは一体何か、発達障害もどきから抜け出すにはどうすればいいのか――。臨床経験35年以上の小児科医が、増え続ける発達障害児の中にいる「発達障害もどき」について初めてまとめた一冊です。
感想・レビュー・書評
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「発達障害」の内実は日進月歩であり、まさに最先端をいく分野です。「発達障害」の診断が下りる子供は右肩上がりです。
そのような中、今まで読んできた本にはない新しい要素が一杯でした。
例えば「発達障碍」と書いて一生本人の特性として残ると言う専門家がいます。本書ではそうではなく脳は可塑性に富み、一生発達し続けると言います。
また、「発達障害もどき」が多く見られることも主張しています。明らかに発達障害の特性を示しているのに生活改善によってADHDやASDの傾向がかげを潜めた事例が盛んに出てきます。岡田尊司氏「ADHDの正体」でもADHDは様々な要因が存在し、将来的にこの概念がバラバラになるということを示しています。
その核は早起きとあります。朝、日光を浴びたら体内時計がリセットされる。すると自然と夜も早寝できる。こうして脳の根幹の発達が促され数々の問題行動がなくなると言います。
また、5才までに脳の根幹が発達するのですが、スマホが発達を遅らせるとあります。本来実体験すべきことをスマホなどバーチャルなもので置き換えてしまっている。これらが種々の問題に繋がることは川島隆太氏「スマホが脳を破壊する」にも示されています。
「早起き」ということ。「スマホ」を与えるのをなるべく遅らせること。実体験をたくさん積んでいくことが人間としての土台を確かなものにすることがわかりました。
まず人間の根幹としての脳を育てるためにしっかり睡眠をとる。そのために何より「早起き」することで、短期間で劇的に変わった子どもたち。ここは世の中全体で広く論議していく必要があると感じました。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
作者の経験やいくつもの研究結果から子どもたちをみていった本作。生活習慣や睡眠時間が能力や社会性に影響を与えるということ。それが大切っていう話し。
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これまで受け持った子どもたちや保護者の方を思い浮かべながら読んだ。
主観でしかないが、確かにメンタルが安定している子どもの家庭は生活リズムが整っていて 保護者の方の意識も高い感じがする。
落ち着きのない子どもの家庭は、片親だったり 夜遅くまでクラブや勉強させられていたり 家で頭ごなしに怒られていたり 放任されていたりと 家庭環境に課題を抱えているところが多かった。本書でいう「発達障害もどき」と思われる子どもと関わるのは本当に難しかった。
わたしの自治体でも「早寝早起き朝ごはんが大事」と生活リズムを整える取組を定期的に行っている。この本に書かれていることは、既に学校側から家庭に啓発•発信しているものばかりだったので、改めて生活リズムを整える大切さは実感できた。
結局、家庭が本気で危機感を持って生活を変えようとしないと子どもも変わらない。親が変わらないのに、学校で子どもを変えようと奮闘しても限界がある。 -
発達障害と診断されたら、「‥だから、できないんだ、仕方ないんだ」と思いがち。他とうまく関係が築けない子、乱暴な子、立ち歩く子、コミュニケーションがうまくいかない子、すべて発達障害?と頭をよぎっていた。家庭の生活サイクル改善でもっと子どもは生きやすくなる。まずは食事、睡眠。
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兎にも角にも、まずは規則正しい生活をすること。
両親共働き家庭が増え、それに伴い、子どもの生活リズムも自然と両親に合わせたものになっていると考えたら、子どもの睡眠時間が減っているのも頷ける。
ただ、その生活リズムの改善を学校が保護者にお願いできるか。と言われると昨今の中では難しいだろう。だから、ぜひ保護者にこの本を手に取ってもらって、生活リズムの見直しをするきっかけにしてもらいたい。 -
発達障害に近い行動を見せる子どもたちをどのように支援したらよいか、本書は1つの手法として「規則正しい生活を送りよく眠ること」を紹介しています。非常にシンプルですがこの方法で子どもたちが普通の生活を送れるようになるという事が分かります。専門的な言葉はほとんどなく誰にでも分かる表現で構成されているため短時間で読み終える事ができます。
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元小学校教員の立場、また子を持つ親として「もっと早く出会いたかった!」と思える本でした。
小学校で年々見られる「グレーゾーン」の子の増加がとても気になっていました。その理由は何か、脳科学からの視点、そして35年精神科医として児童・生徒とそのご家庭と接してきた著者の経験を踏まえて知ることができました。
特に脳の三段階の成長の話は大変勉強になりました。
子どもの脳の成長、あるべき段階については子どもに携わる方全てに読んでいただきたい内容でした。
大変おすすめです。