「発達障害」と間違われる子どもたち (青春新書インテリジェンス PI 665)

著者 :
  • 青春出版社
3.55
  • (21)
  • (31)
  • (45)
  • (8)
  • (3)
本棚登録 : 1146
感想 : 52
本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413046657

作品紹介・あらすじ

近年、発達障害と呼ばれる子どもが劇的に増えています。文科省が出している数字を見ると発達障害が疑われる子は、この13年で約10倍に。ただ、35年にわたって子どもの脳・育ちに向き合ってきた著者は、増えているのは発達障害の子ではなく「発達障害もどき」ではないかと話します。発達障害もどきとは一体何か、発達障害もどきから抜け出すにはどうすればいいのか――。臨床経験35年以上の小児科医が、増え続ける発達障害児の中にいる「発達障害もどき」について初めてまとめた一冊です。

感想・レビュー・書評

並び替え
表示形式
表示件数
絞り込み
  • 「発達障害」の内実は日進月歩であり、まさに最先端をいく分野です。「発達障害」の診断が下りる子供は右肩上がりです。
    そのような中、今まで読んできた本にはない新しい要素が一杯でした。
    例えば「発達障碍」と書いて一生本人の特性として残ると言う専門家がいます。本書ではそうではなく脳は可塑性に富み、一生発達し続けると言います。
    また、「発達障害もどき」が多く見られることも主張しています。明らかに発達障害の特性を示しているのに生活改善によってADHDやASDの傾向がかげを潜めた事例が盛んに出てきます。岡田尊司氏「ADHDの正体」でもADHDは様々な要因が存在し、将来的にこの概念がバラバラになるということを示しています。
    その核は早起きとあります。朝、日光を浴びたら体内時計がリセットされる。すると自然と夜も早寝できる。こうして脳の根幹の発達が促され数々の問題行動がなくなると言います。
    また、5才までに脳の根幹が発達するのですが、スマホが発達を遅らせるとあります。本来実体験すべきことをスマホなどバーチャルなもので置き換えてしまっている。これらが種々の問題に繋がることは川島隆太氏「スマホが脳を破壊する」にも示されています。
    「早起き」ということ。「スマホ」を与えるのをなるべく遅らせること。実体験をたくさん積んでいくことが人間としての土台を確かなものにすることがわかりました。
    まず人間の根幹としての脳を育てるためにしっかり睡眠をとる。そのために何より「早起き」することで、短期間で劇的に変わった子どもたち。ここは世の中全体で広く論議していく必要があると感じました。

  • 今、臨床の現場で「発達障害もどき」が増えている…!? 『「発達障害」と間違われる子どもたち』発売|株式会社 青春出版社のプレスリリース
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000185.000075284.html

    発達障害というレッテルに苦しむママ・パパたちが急増!でも、それって本当に発達障害!?【小児脳科学者】|たまひよ(2023/05/07)
    https://st.benesse.ne.jp/ikuji/content/?id=156819

    「お子さんは発達障害の可能性があります」学校からそう告げられたとき親が気をつけるべき"4つの鉄則" 先生の言葉に反発してはいけない | PRESIDENT Online(2023/03/15)
    https://president.jp/articles/-/67314?page=1

    なんとこの13年間で10倍に! "発達障害児"が急増した理由と、最も効果的な改善策とは? - 社会 - ニュース|週プレNEWS(2023年05月16日)
    https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2023/05/16/119404/

    「発達障害」と間違われる子どもたち|青春出版社
    https://www.seishun.co.jp/book/23692/

  • 作者の経験やいくつもの研究結果から子どもたちをみていった本作。生活習慣や睡眠時間が能力や社会性に影響を与えるということ。それが大切っていう話し。

  • 「ペアレンティングトレーニング」に続いて2冊目の成田さんの本。
    元々はこちらを先に図書館予約したのですが、予約数が多すぎて私の考えていた読む順番が逆になりました。

    海外生まれ、多言語環境で育った我が子は発語が遅い上に3才を過ぎても3ヶ国語が混ざった状態でした。本帰国後の検診で案の定引っ掛かり、発達相談を受けた前後から私の不安感が一気に高まると同時に、「大人の予想外のことをする扱いにくい子どもを全て発達障害の枠に押し込もうとしてやいないか」という思いもあり、あれこれ調べるなかで成田さんの本を知りました。
    あまりの人気(?)で図書館予約の順番を待つ間に我が子に関する発達障害の心配はなくなったものの、育児の悩みは尽きないし、成田さんが何をどのように書いているのか知りたい気持ちは褪せなかったので興味深く読みました。

    ペアレンティングと内容が被る部分はあるものの、こちらも容赦なく私に刺さり、刺さりすぎて打ちのめされるほどでした。

    ペアレンティングと重なる部分としては、まずは子どもの生活リズムを見直すこと。
    現代にしては少数派とされるくらいの早寝早起きが子どもにもたらす効果たるやいかに。我が家は比較的実行できているけれど、振り返ってみると確かに攻撃性が増したりするのはリズムが乱れた時に多く、それは大人である私も然り


    それ以外では
    ・「子どもは叱られると不安と攻撃性が増します。(中略)不安と攻撃性から出た行動から(中略)『発達障害』と間違われることがあります」

    ・「子どもに与えるべきは『寝る・食べる・逃げる』というスキル」
     ⇒心身を犠牲にしてまで何かをする必要はないということ⇒不当な労働環境から脱することができる

    ・「親が頑張ることで、子どもが自分で感じて考えて、行動する機会を奪っているのです」

    ・子どもに役割を与えて、その子がいないと生活が回らないような環境を作る→親が子に「ありがとう」と言う機会が増える→子どもの自己肯定感を押し上げる

    ・「親が子の失敗を(感情的に)叱らないと子どもは失敗した人のことを許せるようになる」
    が強く心に残りました。


    この本に向かって「あぁもう本当に申し訳ありませんでした」と土下座したくなる内容が多く、それ以外にもなるほどと思える学びの多い一冊でした。
    我が子を優秀に育てることには固執しないけれど、心身ともに健やかに育てたい。そんな私の思いにも優しく、時に厳しく寄り添ってくれるなと思いました。


    成田さんが仰る通り、昨今「発達障害」という言葉が一人歩きしている感があると思います。確かに原因や病名がハッキリした方が方向性が見えて良いというのは痛いほどよく分かるのですが、曖昧で謎だらけなのが子ども。
    ペアレンティングに書いてあった通り、大人はいつも一枚上手で笑顔を保つことが何より大切で、大人にとって都合の良い「いい子」である必要はないということを我々大人や社会全体が学び直さないと、この日本における子育ては辛く苦しいものであり続けるように思いました。


    子育てしてると、子以上に自分を育ててる感が強まります。


  • これまで受け持った子どもたちや保護者の方を思い浮かべながら読んだ。

    主観でしかないが、確かにメンタルが安定している子どもの家庭は生活リズムが整っていて 保護者の方の意識も高い感じがする。
    落ち着きのない子どもの家庭は、片親だったり 夜遅くまでクラブや勉強させられていたり 家で頭ごなしに怒られていたり 放任されていたりと 家庭環境に課題を抱えているところが多かった。本書でいう「発達障害もどき」と思われる子どもと関わるのは本当に難しかった。

    わたしの自治体でも「早寝早起き朝ごはんが大事」と生活リズムを整える取組を定期的に行っている。この本に書かれていることは、既に学校側から家庭に啓発•発信しているものばかりだったので、改めて生活リズムを整える大切さは実感できた。
    結局、家庭が本気で危機感を持って生活を変えようとしないと子どもも変わらない。親が変わらないのに、学校で子どもを変えようと奮闘しても限界がある。

  • 発達障害と診断されたら、「‥だから、できないんだ、仕方ないんだ」と思いがち。他とうまく関係が築けない子、乱暴な子、立ち歩く子、コミュニケーションがうまくいかない子、すべて発達障害?と頭をよぎっていた。家庭の生活サイクル改善でもっと子どもは生きやすくなる。まずは食事、睡眠。

  • 発達障害が疑われたら、まずは生活習慣の見直しを。特に睡眠は超大事。とにかく早寝早起き。シンプルでよかった。

    あとはしっかり食べてしっかり寝る。困った時は誰かに相談し、危険が迫ればそこから逃げる。「ありがとう」「ごめんなさい」をしかるべき時に言う。

  • 兎にも角にも、まずは規則正しい生活をすること。
    両親共働き家庭が増え、それに伴い、子どもの生活リズムも自然と両親に合わせたものになっていると考えたら、子どもの睡眠時間が減っているのも頷ける。
    ただ、その生活リズムの改善を学校が保護者にお願いできるか。と言われると昨今の中では難しいだろう。だから、ぜひ保護者にこの本を手に取ってもらって、生活リズムの見直しをするきっかけにしてもらいたい。

  • 発達障害に近い行動を見せる子どもたちをどのように支援したらよいか、本書は1つの手法として「規則正しい生活を送りよく眠ること」を紹介しています。非常にシンプルですがこの方法で子どもたちが普通の生活を送れるようになるという事が分かります。専門的な言葉はほとんどなく誰にでも分かる表現で構成されているため短時間で読み終える事ができます。

  • 元小学校教員の立場、また子を持つ親として「もっと早く出会いたかった!」と思える本でした。

    小学校で年々見られる「グレーゾーン」の子の増加がとても気になっていました。その理由は何か、脳科学からの視点、そして35年精神科医として児童・生徒とそのご家庭と接してきた著者の経験を踏まえて知ることができました。

    特に脳の三段階の成長の話は大変勉強になりました。

    子どもの脳の成長、あるべき段階については子どもに携わる方全てに読んでいただきたい内容でした。

    大変おすすめです。

全52件中 1 - 10件を表示

著者プロフィール

成田奈緒子(なりた・なおこ)

発達脳科学者。小児科医・医学博士。公認心理師。子育て科学アクシス代表・文教大学教育学部教授。
1987年神戸大学卒業後、米国セントルイスワシントン大学医学部や筑波大学基礎医学系で分子生物学・発生学・解剖学・脳科学の研究を行う。2005年より現職。臨床医、研究者としての活動も続けながら、医療、心理、教育、福祉を融合した新しい子育て理論を展開している。著書に『「発達障害」と間違われる子どもたち』(青春出版社)、『高学歴親という病』(講談社)、『山中教授、同級生の小児脳科学者と子育てを語る』(共著、講談社)、『子どもにいいこと大全』(主婦の友社)など多数。

「2023年 『改訂新装版 子どもの脳を発達させるペアレンティング・トレーニング』 で使われていた紹介文から引用しています。」

成田奈緒子の作品

  • 話題の本に出会えて、蔵書管理を手軽にできる!ブクログのアプリ AppStoreからダウンロード GooglePlayで手に入れよう
ツイートする
×