英語は「語源×世界史」を知ると面白い (青春新書インテリジェンス PI 673)

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  • Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784413046732

作品紹介・あらすじ

英単語の語源は、できる大人の教養の宝庫です!8月(August)やオークションは初代皇帝アウグスティヌスに由来/Mars(火星)、March(3月)、march(行進)は同語源…などなど、他人に話したくなる雑学ネタ満載!英語学習にも、グローバル時代の教養にも、ヨーロッパ観光のお供にも最適な一冊!

感想・レビュー・書評

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  •  「語源学習の単調さを解消するために、ヨーロッパの歴史を楽しく学びながら英単語の語彙力を高めることを狙った」(p.7)本。古代ローマやギリシャの歴史や神話から、ルネサンスまでの話をしつつ、その内容に関連する英単語を取り上げ、語源の解説、同じ語源を持つ他の単語、といった形で紹介される。
     本のタイトルからしていかにも面白そうな本だなと思ったけど、実際読んでみると歴史というよりは文化的な話がちりばめられたり、時系列になっていたと思ったら急に神話や聖書の話になったりして、結構読みにくいし分かりにくい。特に歴史の部分は記述が平板的でほぼ理解できなかった。なんか著者もあんまりよく分かってなくて、他の本を一生懸命読んで勉強してまとめてみました、という感じ。出来の悪い学生のレポートを読んでいるみたいで、あんまり楽しいとは思えなかった。著者の老後の趣味に付き合ってしまったような感じがする。語源をもとにした英単語の解説も、結局こういう「語源本」にありがちな、その英単語どこで使うの?とか、逆に基本語で、かつ語源を言われたからといって「あ、そっか」とならないような単語をたくさん紹介されて、英語力の増強になるのかどうかはよく分からなかった。
     とは言え、おれは英語の教員だから、これは説明に使えそうだとか、あるいはおれは英語が好きなので、こういう英単語があるのか、という面白みがあることにはあったので、そういうところを忘れないようにメモしておく。まずp.27 apostle「使徒」は知ってたけど、epistle「書簡」は知らなかった。(これもapo(離れて)+stel(送る)と言われてもピンと来ないと思う。こういう解説が多すぎる。さらに「stleは印欧祖語で『置く、立つ』のstelにさかのぼる」(p.27)と言われても…、という感じじゃないだろうか。)-stleで終わる単語を集めてみる、って面白そう、って思った。p.30 insolationは「日射病」だって。heatstrokeとどっちが一般的なんだろう。p.38 aureole「後光」も、「オーラ」から来ている、と言えばおれは面白いけど、どれくらいの人が面白いと思うだろうか。さらにaureoleだけ知っても、「後光がさす」There is an aureole around his head.くらいの例文も、英語力という意味では提示して欲しい。あとdisasterは「地球が幸運の星から離れた時に災害が起こるという中世の占星術から生まれた語」(p47)らしく、今まで何かの本で読んで、「星がバラバラになって不吉な感じ」とか教えてたけど、こっちの方が納得できるかな。p.48 improviseは「前もって見ない」というのは、言われてみればそうだ。その前にprovideが「『前もって見る』が原義で、将来を見据えて『供給する』」(pp.47-8)とかは説明できるかなあ。videoの「見る」がここにあるよね、とか言いながら。うーん、どうだろう。p.51cormorantは「鵜」らしい。知らなかった。で、この単語の「語源がラテン語のcorvus marinus(海のオオガラス)なので『なるほど!』と思った」(p.51)とか、別にそのラテン語を知らないので何とも思えないなあ、と思いつつ。あとおれはハイボールはほぼ毎日飲んでいる人だけど、ハイボールの起源の話がp.60に書いてあって、興味はあるけど、内容はよく分からなかった。だいたい「highball signalの状態の時に列車は速度を緩めずに通過できることを知らせる合図であった。この通過時に、食堂車(dining car)でバーボンウイスキーのソーダ割が縦長のグラス(tall glass)に出されていたことに由来する」(p.60)らしい。って、何じゃそりゃ。もっと説明が欲しい。あとvillainについて、villageが村で、「vicinityは村に近いことから『近所』、villainは都市に住むものが村に住むものに対する差別意識から『悪人、悪役』の意味」(p.83)らしい。ということはvillagerが悪者の意味になった、ってこと??あとforestとforeignがつながっている(p.135)、というのも初めて知った。あとhuman, humble, humiliate, humidのつながりhumが「土、地面」と何となく思っていたが、「天にいる神に対して、大地という低いところにいる『人間の』がhuman」(p.127)が分かりやすいかも。あと簡単な単語だけどfastは「身体を固く引き締めること」が原義(p.132)とか。で、速い、断食、とつながる、というのも何となく分かる。英語のrightがなぜ右で、正しいか、っていうのはよく言われる話だけど、ラテン語の左がsinisterで、右がdexterっていうのは初めて知った。それから、世界史の部分では、pp.89-90の「ロシア(Russia)の語源は『オールを漕ぐ(row)人』」の部分は役に立った。あとは第一回の十字軍って本当にひどいなあという話(p.148)とか。「ちなみに、1960年代後半に音楽界で活躍した『ザ・クルセダーズ(The Folk Crusaders)』の『帰ってきたヨッパライ』を懐かしく思う方もおられるだろう。」(p.147)で、さらに著者との距離が離れる。60年代後半を懐かしむって今何歳の人が対象なんだ。それはさておき、ハーメルンの笛吹男の正体が「ロカトール」(pp.153-5)も面白かったかなあ。
     ということで、面白いところや役に立ったことはもちろんあったけど、たぶん著者とおれが全く合わないのだと思った。(24/01/16)

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著者プロフィール

1955年東京都浅草生まれ。作家・文筆業。KEN’S ENGLISH INSTITUTE代表取締役。埼玉県立越谷北高校を卒業後、上智大学文学部英文学科に進む。ガイド通訳士、進学の名門・県立浦和高校、越谷南高校、川口高校、三郷高校、草加高校、草加南高校などで教鞭を執る。高校教諭時代は、基礎から上級まで、わかりやすくユニークな教え方に定評があり、生徒たちからは「シミケン」の愛称で絶大な人気を博した。著書に、シリーズ累計90万部の「英単語の語源図鑑」(かんき出版・共著)、シリーズ累計40万部突破の「英会話1秒レッスン」(成美文庫)、「くらべてわかる英単語」(大和書房)など90冊を超える。趣味は陸マイラーとしてファーストクラスで行く海外旅行・食べ歩き・ジョギング。2017年より5年連続、朝日ウィークリーでコラムを連載。

「2021年 『語源とイラストで覚える理系英単語BOOK』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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