- Amazon.co.jp ・本 (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784413097543
作品紹介・あらすじ
見えないなにかに襲われる……。栄華を極めた国家も、トップに君臨した権力者も、あらがえない不安と恐怖に支配される「感染症」。時代をさかのぼると、今まで知らなかった“人間の本性”と“歴史の真相”が見えてくる。
「鎌倉幕府滅亡の決定打は疫病?」「ナポレオンのモスクワ遠征失敗の原因は、発疹チフス?」「医学界から敵視、子を二人亡くす、半身不随になる……それでもワクチン開発に賭けたパスツールのドラマ」「最古の伝染病患者とは」……など。
本書は、「パンデミック」が変えた歴史秘話の決定版。
1章 「民衆」を不条理に蝕んだ感染症
2章 「都市・国家」を飲み込んだ感染症
3章 「歴史的事件」に潜んでいた感染症
4章 「世界の構図」をつくり変えた感染症
5章 「日本」のその後を決めた感染症
感想・レビュー・書評
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素人が書いた堕本。
色々書いてあるようで何も書いてない。
途中から流し読み。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
歴史には昔から興味がありますが、最近では世界史、それも通史に興味があります。なぜ王朝や文明は栄枯盛衰を繰り返すのかという視点で見てきますが、切り口をパンデミックにしてみると、面白い見方ができるのかもしれないと最近思いました。
すると現在世界中にコロナが蔓延していますが、この数百年間西洋文明が栄えてきましたが、そろそろ東洋文明との抗体の時期に来ているのかもしれません。本当かどうかは不明ですが、コロナが蔓延して大変な思いをしている、米国や欧州諸国、コロナを抑え込んだとされる中国等、これから数十年後の人たちは、2020年頃を転換期だと思うのかもしれません。
この本では今までに起きた感染症を取り上げて、感染症が歴史上の出来事にどのように影響してきたかを解説しています。新しい見方ができるようになったと思いました。
以下は気になったポイントです。
・戦争とペストの二重苦に加えて、帝都での聖ソフィア聖堂の再建、イタリアの拠点であるラヴェンナでの建築事業が重なり国家財政は破綻の危機となった、その結果、ローマ市では総人口が500人にまで落ちこんだ、最古のペストが終息した6世紀末には地中海全体が疲弊し、人々が内陸部、北海沿岸へ移動し、現在の英国・フランス・ネーデルランドの成長に結びついた(P20)
・ユダヤ人に対する差別は、公職への就任禁止を最初として、居住制限、土地取得禁止、ギルドへの加入禁止に続き、1215年第4ラテラノ公会議では、永遠の隷属という罪の宣言もと、7歳以上の男女全てに、とんがり帽子と黄色い識別章の着用が義雨付けられた。中世のカトリックでは利息が禁止されていたので、高利貸しはユダヤ人の独壇場であった、ユダヤ教でも禁止であったが、相手が異教徒であれば問題なしであった(P29)
・西ヨーロパに限って言えば、1337年に始まる英仏百年戦争が終結した1453年と、宗教改革が本格始動する1517年が、中世と近世をわかつ一応の目安となる、そこに感染症が潜んでいた(P32)
・呼名のスペイン風邪は、スペイン発祥ではなく、戦時下の検閲で中立国であったスペイン出の流行ばかりが報道されたことによる(P43)
・ナイチンゲールは、化学的根拠を示ないまでも、清潔な環境維持、太陽光の取り込み、絶え間ない換気、密集・低温回避など、かなり的確な防止策を提示、実行していた(P63)
・アテナイ(アテネ)とスパルタの都市国家の戦いは、スパルタの勝利となったが感染症により衰退の道を歩むことになった。ギリシア全体の地盤沈下ともなり、中長期的にはギリシアに対するマケドニア覇権の下地を整えることになった(P78)
・264代ローマ教皇ヨハネ・パウロ2世は、西暦2000年を贖罪の年として懺悔を行った、懺悔の必要のある行為として、ユダヤ人迫害・異端審問・人種差別とならぎ、十字軍遠征を挙げた、十字軍のもたらした益は、古代ギリシアの英知であった(P94)
・スペイン人が中米大陸に持ち込んだ感染症は、天然痘・インフルエンザ・麻疹・百日咳など多岐にわたるが、最も甚大な被害を及したのは天然痘であった。数万人の兵を動員できるはずのアステカが、数百人のスペイン人によって滅ぼされた、住民の3分の一が死亡、ユカタン半島であは1648年から3年間で、天然痘と黄熱病により飢饉が重なったせいもあり、半分が死亡した(P121)
・15−17世紀に及んだ大航海時代において北米大陸に感染症が広がり、マサチューセッツ湾には全滅した集落もあった、無人となった3年後、1620年12月26日にメイフラワー号が上陸した(P123)
・イングランドがスコットランドとの同君連合から合同へと転じて、国名をグレードブリテン連合王国としたのは、1707年である(P124)
・1775年に始まるアメリカ独立戦争に際して、アメリカ軍はカナダ領内にも侵攻、カナダ全域を併合しかねない勢いを示していたが、アメリカ軍内で天然痘が大流行して撤退した(P125)
・737年からの日本国内での天然痘の流行は、総人口の25−35%を死に至らせた、他領への逃亡数も含む(P150)
・インフルエンザウイルスの流行がやまないので、869年6月に改めて御霊会を実施した、当時の国の数と同じ66本の鉾をたてて、祇園(八坂神社)の神を迎えた。これが現在まで続く祇園祭の起源である(P152)
・幕藩体制を維持したままの近代化も不可能ではなかったが、孝明天皇の崩御(天然痘による)により消えた(P169)
・20世紀はアジア発の感染症が目立っていたが、2014年からのエボラ出血熱に見られるように、今後はアフリカ発の感染症が増えると推測される、急激な環境破壊により、人口爆発と都市化、森林の野生動物の減少が同時進行していることで、人間と野生動物の住み分けが破壊されつつあるのがアジア、アフリカの共通点である(P184)
2020年10月3日作成 -
#読了 過去人類を襲った感染症、パンデミックの歴史が一通りふんわりとわかる本という感じ。感染症がいかに人間に御し難いものであるかを改めて感じられた。
それから、パンデミックが歴史にどう関わり、どう変化をもたらしたのか。そういう観点から歴史をあまり見たことがなかったので、この視点を得られたのはよかった。