- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418096008
感想・レビュー・書評
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書物は人間を形成する。読んだ本により自分が定義されてしまう。悪書により人格が破壊される。しかし良書は自分というものを映し出してくれる鏡。
なりたい自分になるには本棚に入れる本を意識して読む。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
本棚というよりスピーチの翻訳的解釈要素が強く、本の紹介は王道的なものばかり。オバマのスピーチを取り上げる大学の授業のような印象。TOEIC850くらいのレベルで著者の修辞的解釈も問題なく腹落ちさせることができる
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オバマ氏は、なんとなく良い人そうな印象があり、好きなアメリカの政治家です。アメリカは弁護士出身の政治家が多いみたいですね。日本もそうゆう傾向がありますね!?
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2009年1月20日にバラク・オバマ氏が第44代アメリカ合衆国大統領
に就任した。直後から日本の新刊書店ではオバマ大統領関連の
作品が雨後の筍のように並んだ。
多くが便乗本だったのだと思う。本書もそんな便乗本の1冊だった。
読書好きだったら気になるタイトルだよね。「本棚」だもの。でも、
かなり期待外れだった。
まずメインになっているのが読書家と言われるオバマ氏の愛読書
の紹介ではなく、彼のスピーチを取り上げ、英語講師の著者が
言葉の言い回しだとか使われている単語の分析をして、オバマ氏
が好きだと公表している書籍に結び付けているだけ。
スピーチの一部抜粋を英語と日本語訳で対比させているのだが、
これは英語の知識ゼロの私には理解不能である。
多分、本書で取り上げられている書籍はオバマ氏のスピーチに
影響を与えているであろうが、その一部に過ぎないと思う。
著者が正直に書いているように、紹介されている書籍についても
著者は斜め読みしているだけだし、それで「本棚」と名付けては
いけない気がする。
本文のレイアウトは美しいのに内容は非常に残念。まぁ、英語を
理解しない私の頭がいけないんですけどね。
もっと「本棚」を見せて欲しかったな。無理か。アメリカへ行っている
訳でもなく。ホワイトハウスに取材協力をお願いしたのでもなく、
著者が日本のホテルに缶詰めになって書いた作品だものね。
教訓・便乗本には気をつけろ -
ピンチの時こそチャンスであるというのがオバマの信条。
リンカーンがオバマにとってヒーローだった。
憧れのリンカーンの言葉を公の場で引用することは、ある種の責任を持つことである。
アメリカの政治はキリスト教と深く結びついているため必ず神への宣誓がある。
アメリカの大統領の演説は現状分析から始まる。オバマは特に分析能力に長けている。空気を読むのが巧い。アメリカは空気で動く国。 -
本当にオバマの本棚がじっくりと撮影されていたら、もっとよかったな。
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同時通訳者やNHKテレビ英語で有名な松本さんによる、『オバマの本棚(世界文化社)』はタイトルに惹かれ思わず買ってしまいあっという間に読んでしまいました。オバマに影響を与えた本がどんなものかがわかり大変興味深い本です。ちなみにオバマの愛読書の選定は、フェイスブックとか、ニューズウィークによるものらしいです。
オバマの本棚というタイトルだけれども、実際にはオバマの選挙勝利演説とか大統領就任演説からの英文スキットの引用と解説みたいのが半分以上で、彼の愛読書に関する話だけではありません。でもさすがに松本さんだけあって、その解説とか彼のオバマに対する洞察とかも非常に面白いし参考になります。
日本語の翻訳があって彼の愛読書リストにあるのは一例としてはこんな感じです。
・ガンジー自伝 (中公文庫BIBLIO20世紀)
・リンカーン演説集 (岩波文庫 白 12-1)
・アメリカ後の世界
・ソロモンの歌 (ハヤカワepi文庫)
・見えない人間 (1)
・Phlosophy and literature: truth, beauty, boodess, commitment(翻訳なし)
ガンジーやリンカーンは彼にとっては政治家としてのお手本ともいえる人達で尊敬の対象ですね。彼のスピーチを聞いていてもリンカーンは特に引用が多いですね。建国に父達(founding fathers)達も尊敬の対象だとは思いますし、演説でも引用されますが、奴隷を動産として使っていた彼らに比べて、奴隷解放を進めたリンカーンの方が彼のアイデンティティを考えてもより尊敬に値する大統領なのだと思います。オバマがリンカーンのように、自分のライバル達(特にヒラリー)を自分の政権に入れた話は日本のメディアでも有名になりましたね。
見えない人間とかソロモンの歌は主人公が黒人の話らしくて、彼のアイデンティティに大いに影響を与えたのだと思われます。特に、見えない人間では、黒人の主人公が自分のルーツに誇りを持つことを述べる箇所があり、これはきっとオバマ青年にも影響を与えたんではないかと。松本さんによると、彼は昔はよく自分の母親が白人だということをしきりに言っていたようですが、ある時を境にそういうことを言わなくなったそうです。もしかしたらこういう本が彼のルーツに対する自信の源泉になったのかもしれませんね。
Philosophy--というのは古今東西の名著を抜粋したもので、アメリカの高校とか大学でよく使われる本だそうです。高校とか大学であまりというかほとんど哲学などを勉強しない日本人にとっては意外な感じですね。でも外資系で成功した日本人経営者が昔欧米人のトップクラスと付き合う上では哲学の理解が欠かせないと言っていました。いくらお金儲けがうまくてもそういう洗練さがない人はだめなんだそうです。なるほどなと思いました。むこうの一流層はそういう教育を受けてきているんですよね。日本人でもやっぱり帝王学とかちゃんと勉強している人達はそういう勉強もしているのでしょう。
あとは非常に興味深いのが、オセロと、マクベスとかリア王などシェイクスピアの悲劇系の本が多いこと。オバマ自体昔に詩を書いていたり、副業でフィクション執筆を考えていたという位なので、文学的な見地から何か得ようというものがあったのだとは思いますが、その中でも特に悲劇系の本というのが興味深いですね。結構そういうのって深層心理が映し出されていたりすると思うんですよね。政治の世界、特にワシントンの海千山千の世界や権力闘争などに通じるところがあるのかもしれません。
あとは小説系というところでは、『白鯨』や『誰が為に鐘は鳴る』、などが入っています。この辺はまあ有名作品ということで特段インプリケーションはないですね。
全体を通して思ったのは、やはり世界の流れとかアメリカの人、欧州人の発想、各地での文明の衝突を理解するには、宗教の理解が欠かせないということです。当たり前のことなのですが改めて思いました。日本だと政教分離などと昔から言われますが、アメリカとか欧州、中東などは政教分離どころか政治とは宗教そのものという感じがします。それって紀元後の2000年を考えてもずっとそうなんですよね。オバマを理解する鍵もキリスト教とイスラム教。オバマが良く引用して尊敬するリンカーンも聖書の言葉を良く引用したそうです。『アメリカ後の世界』のキーワードも宗教だそうです。
ちなみにオバマは相当な多読家だそうです。松本さんも古今東西のリーダーで多読家じゃなかった人はいないと言います。確かに雑誌の読書に関する記事などを読んでいても、経営者とか成功した企業家とかも驚くほど読者家の人が多いことに驚かされます。元マイクロソフト社長の成毛さんも、本は10冊同時に読め!―本を読まない人はサルである!生き方に差がつく「超並列」読書術 (知的生きかた文庫)
というほど読書家で有名ですが、他にも非常に多くのトップ層の人が読者家です。しかもその量が半端ではない。私も結構本は好きで良く読みますが、全く彼らの足元にも及ばないです。あれだけ忙しい人達がいつどういう読み方をいているのか、気になるところです。
ところで、ブッシュ元大統領は本を読まないことで有名だったそうです。だから容易に周囲に操られてしまったという話があるそうです。本を読まないというのはダメなリーダーに共通する要素なのかも?どっかの国の元総理も漫画は大好きだったそうですが、知性を磨くような本はどうだったんでしょうか?本棚を覗いてみたい気がします。笑