- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784418102389
感想・レビュー・書評
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ためになる本だった。落語の入門書と言えば「この噺家のこのフレーズを聴け」というものが多い。しかし本書は押し付けがましく「ここを聴け」というのではなく、落語に「いかに親しむか」という観点から記されたもの。
「このフレーズを聴け」と言われるのももちろん参考になることもあるけれど、しかし自分で発見する喜びが味わえない。本書では「発見」の手段を読者に残しつつ、落語への入り口までを案内するもの。こうした観点から書かれた本は少ないと思う。
ちなみに5章の「本当の江戸言葉は」はちょっとレベルが高い。「なるほど、そうした奥深さもあるのだな」と、これも参考になる。
1. 落語の面白さに出会う
2. 落語の舞台裏
3. どの人の何を聴く
4. どの寄席で観る?
5. 本当の江戸言葉は、これだ!
6. 上方落語の世界へ、ようこそ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
「落語に興味はあるけど、イマイチ踏み出せない」というかた、お待たせしました! 春風亭小朝師匠が、“落語を聴く耳”をどうやって育てるかをお話ししてくれました。これは面白い。
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人それぞれ入り方はどうでもいいと思うんですよ。ただ、我々の世界で「量が質に変化する」という言い方をするんですが、どんなものでも、ひとつのものを繰り返しやっていくということが大事なんです。
これはどういうことかというと、お稽古をするとき、初めのうちはあんまり理屈を考えないで、ひたすら教わったものを稽古していきます。
稽古して稽古して稽古していくと、ある日ある時、それがポンと質に変化する。つまり、その稽古が報われるというんですかね、レベルアップするということが起きるわけです。
口慣れてきてから自分の工夫を入れていく。これは聴き手にも同じことが言えまして、あんまり細かいことを気にしないで、数多く噺を聴いていくと知らず知らずのうちに自分の物差しというものができて、そうすると色んなものが見えてきてまた面白くなるっていうことがあります。
(中略)
幸い落語の場合も、昔の名人上手と言われた方のCDがたくさん出てますので、例えば『富久(とみきゅう)』を古今亭志ん生(ここんてい・しんしょう)師匠、桂文楽師匠、三笑亭可楽(さんしょうてい・からく)師匠という方たちで聴き比べてみる。
それから『野ざらし』という落語は、“野ざらしの柳好(りゅうこう)”とまで言われた春風亭柳好(しゅんぷうてい・りゅうこう)師匠、春風亭柳枝(しゅんぷうてい・りゅうし)師匠、あるいは現代で言うならば柳家小三治(やなぎや・こさんじ)師匠、そういう方と比べてみるのもいいですし、中にはひとつの噺をリレーでやっているものなんかもありますんで、前半と後半の演者の違いによるタッチの違い、受ける感じの違いを楽しむのもいいでしょう。
同時に自分のベースになる会、ベースになる噺家というのを探すのもいいかなと思うんですね。まず、実力云々は別にして、あなたに合う芸人、合わない芸人というのがいるはずです。
(中略)
ですから自分との相性を知るという意味でも、とりあえずいっぱい色んな人を聴くのがいいかもしれません。その中から好きな人を探して徹底的に追いかけてみると。 -
大人のたしなみの一つに落語があると子供の頃から思っていた。飛行機の中でも落語チャンネルを聞いたりすることもある。最近はもっぱら読書をしているのでクラシックかジャズだけど。落語を演じるにも相当の努力と教養と社会経験が求められるのですね。その割りには歌舞伎や相撲会よりも安価にお付き合いが出来るとの事。お付き合いの仕方まで本書にてご教示頂けます。今度、演芸場に足を運ぼうかという気になります。