怪物 (アルケミスト双書 闇の西洋絵画史〈3〉)

著者 :
  • 創元社
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感想 : 18
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  • Amazon.co.jp ・本 (64ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784422701332

作品紹介・あらすじ

大好評シリーズ「アルケミスト双書」から
『闇の西洋絵画史』篇が登場!
西洋美術の「闇」の側面を浮かび上がらせる、
妖しくも美しい西洋絵画史シリーズ(フルカラー)。

著者は編集者で評論家の〈山田五郎〉。


■著者・山田五郎より
西洋絵画には、
教科書には載せられない「影の名画」もあれば、
逆によく見る名画に「影の意味」が
隠されていることもあります。けれども、
今日の感覚では不健全と思える表現や寓意も、
描かれた背景を知れば納得でき、
見え方が変わってくるはずです。
西洋絵画の本質は、
その最大の特徴である陰影法と同様に、
光のあたる表面だけではなく
闇の側面も見ることで、はじめて立体的に
浮かび上がってくるのではないでしょうか。


■本シリーズの特徴
・1冊1テーマを詳説
・類をみないユニークな切り口
・1冊あたり約70作品を掲載
・コンパクトで瀟洒な造本
・本物の美術の教養に
・ゲームや漫画他、創作のための資料としても


■シリーズ
*第1期:【黒の闇】篇
〈1〉悪魔
〈2〉魔性
〈3〉怪物
〈4〉髑髏
〈5〉横死

*第2期:【白の闇】篇
〈6〉天使
〈7〉美童
〈8〉聖獣
〈9〉楼閣
〈10〉殉教


■まえがき(〈3〉怪物)
怪という漢字は、何かの兆しとなる怪現象
というニュアンスを含みます。
ラテン語で怪物を意味する
「monstrum(モンストルム)」も、
本来は予兆の意。
人は天変地異への恐怖や期待を、
この世に存在しない怪物の姿で
表してきたのかもしれません。
予兆に凶兆と吉兆があるように、
怪物も害だけではなく益をもたらすことも。
ギリシャやゲルマンの神話には、
友好的な怪物も登場します。
キリスト教では異端視されて悪魔の範疇とされ、
地獄で亡者を苦しめたり
現世で聖者を誘惑したりする役を課される怪物が、
どこかユーモラスに描かれるのはそのせいでしょう。

感想・レビュー・書評

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  • 日本画の怪物とだいぶ異なるなぁと思いました。おぞましい感じがヒシヒシと伝わってきます。

    主に宗教画と神話がメインです。

  • 西洋絵画で描かれた「怪物」の姿をその成り立ちを含めて紹介。
    I キリスト教の怪物  II ギリシャ神話の怪物
    III 画家が幻視した怪物
    小さいサイズながらオールカラー画像で、
    制作年、絵の大きさや画材等、データもきちんと掲載。
    天変地異への畏れ、怪異、不吉・・・その恐怖を視覚で表現した、
    西洋絵画の「怪物」について、分かり易い文章で説明している。
    キリスト教の「聖書」やギリシャ神話の文章から、
    いかに「怪物」を想像し、創造したか、画家の発想の奇抜さが
    顕著に表れた作品ばかり。地獄の口やヨハネの黙示録に
    登場する怪物なぞ、画家によって異なる解釈なのが面白い。
    だが、当時は怪物凄い&怖ろしい~だったかもしれないけど、
    様々な魑魅魍魎が溢れる現代では、なんか可愛く見えてしまう。
    岐阜県美術館へ行って鑑賞したルドンの作品が掲載されていて、
    嬉しい。あの美術館のルドンのコレクションは秀逸です。

  • 闇の西洋絵画史シリーズ3作目のテーマは怪物。

    怪物は、水木しげるの妖怪の世界に通じるものがあり、どこかユーモラスで微笑ましい。

    勉強になったのは、キリスト教と古代ギリシャ文化を融合させたイタリア・ルネッサンスとは違い、怪物はヨーロッパ北方が本場らしく、そこにはキリスト教とゲルマン民族の自然崇拝の融合が見られるらしい。自然崇拝は日本の八百万の神の世界観と似ているとも言えそうだ。

  • 闇の西洋絵画史 : daily-sumus2
    https://sumus2013.exblog.jp/32205282/

    商品詳細 - 怪物 - 創元社
    https://www.sogensha.co.jp/productlist/detail?id=4220

  • 想像力がほとばしる!

  • 怪という漢字は、何かの兆しとなる怪現象というニュアンスを含みます。ラテン語で怪物を意味する「monstrum(モンストルム)」も、本来は予兆の意。人は天変地異への恐怖や期待を、この世に存在しない怪物の姿で表してきたのかもしれません。予兆に凶兆と吉兆があるように、怪物も害だけではなく益をもたらすことも。ギリシャやゲルマンの神話には、友好的な怪物も登場します。キリスト教では異端視されて悪魔の範疇とされ、地獄で亡者を苦しめたり現世で聖者を誘惑したりする役を課される怪物が、どこかユーモラスに描かれるのはそのせいでしょう。

  •  「怪物」をテーマに編まれた絵画史なら、表紙はこの人ボスになる。その百鬼夜行は、角川アニメ『幻魔大戦』、幻魔のモブシーンにも影響を与えた気がする。
     山田五郎の解説はカジュアルで読みやすい。
     ドミニク・アングル『アンジェリカを救うルッジェーロ』、何度観ても惚れ惚れする。姫君が縛められた石柱がファリック(男根)シンボルだと初めて気づいた。

  • 五郎氏の書く文章は読みやすく理解しやすい

    これは紙の本より電子書籍で見る方が図の拡大などできてより良いんじゃないかしら 知らんけど

  • キリスト教的な怪物は別冊の『悪魔』に譲って、こっちはギリシャ神話他でくくった方が良かったんじゃないかなぁ。序章のボスやブリューゲルは明らかに前者の画なんだし。
    ブレイクに頁が割かれていて嬉しい。そろそろ個人の伝記や画集を探してみようかと思う。

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著者プロフィール

山田五郎(やまだ・ごろう)
1958年、東京都生まれ。編集者・評論家。東京国立博物館評議員。AHS(英国古時計協会)会員。上智大学文学部在学中にオーストリア・ザルツブルク大学に1年間遊学し、西洋美術史を学ぶ。卒業後、講談社に入社。『Hot-Dog PRESS』編集長、総合編纂局担当部長等を経てフリーに。現在は時計、西洋美術、街づくりなど幅広い分野で講演、執筆活動を続けている。『ぶらぶら美術・博物館』(BS日テレ)、『出没! アド街ック天国』(テレビ東京)など、テレビ・ラジオの出演も多い。主な著書に『知識ゼロからの西洋絵画入門』『知識ゼロからの西洋絵画史入門』『知識ゼロからの西洋絵画 困った巨匠対決』『知識ゼロからの近代絵画入門』(以上、幻冬舎)、『ヘンタイ美術館』(共著・ダイヤモンド社)、『へんな西洋絵画』(講談社)など。

「2022年 『第2期:5巻セット 〈白の闇〉篇』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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