比較文化のおもしろさ: 匂いの意味から異文化間交渉術まで

著者 :
  • 大修館書店
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  • Amazon.co.jp ・本 (266ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784469242799

作品紹介・あらすじ

サンマを焼く匂いは日本の秋の風物詩だが、アメリカ人は人間を焼く匂いを連想する。中東の乞食は施を受けても礼を言わない。日本の野球はバレーボール的農耕野球、アメリカのはアメフト的遊牧野球だ。日本の「見合型」交渉とアメリカの「ポーカー型」交渉に、接点はあるか。など多彩な材料をもとに実りある異文化関係を探る。

感想・レビュー・書評

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  • 匂いに関して調べていたので該当の章だけ読。
    匂いの文化的な違いについても本書を通して色々考えたが、それ以上に匂い研究の難しさも改めて確認することとなった。実態があるわけではなく、無意識に処理されやすく、しかし人間の社会生活や動物的生活に重大な影響を与えている匂い。それでも調査はあまり進んでいない。

  •  交渉の仕方にも文化が色濃く反映される。 著者曰く、日本人は「見合い型」で、アメリカ人は「ポーカー型」としている。

     著者は、日本人の「見合い型」を相手となる人を理解して、相手の心を理解しようとする点で「お見合い」と相通じるものがあるとしている。その一方でアメリカ人の「ポーカー型」は、自分の手の内を見せない、見られないようにしてわざと恫喝したりして自分に有利になるようにすることを指している。英単語にbluff「はったり」なんて言う単語がある。bluffには注意ということか。

     交渉と言えば、TPP(環太平洋経済連携協定)でアメリカをはじめとする国と交渉する必要がある。この本は、1989年に発行されたものだが、著者曰く最初はシタテに出るのが定石の日本人」とあるように、交渉に際して相手の感情を傷つけてはいけないという国内でなら通用するやりかたで交渉に入る。しかも、与えられる資料は大量の英文の資料。果たしてきちんと読んで要点をつかんで、交渉して最終的には日本に有利になっておしまいおしまいというハッピーエンドで終わる可能性にははてなマークがつく。都合が悪くなって「シャラップ」と言っても通用しないからなあ。
     
     日本人の練習ラブ(萌え)がそう簡単には変わらない理由がこの本を読んで改めて分かった。それは、「スポーツは原初の人類にとって、宗教的な意味をもち、神の怒りをやわらげるためにおこない、勝敗は神によって決せられるという儀礼であった」という一文を見てそうかと思った。スポーツに限らず、入学式、体育祭、文化祭、卒業式と当日やってはいおしまいにすればいいものを、当日に備えて練習をするという生真面目というのか潔癖とでも言いたくなる。モクモク羊自身は、「何で、練習しなければいけないのか」と思いながらやっていた。「規律、団体行動を重んじる」日本の学校教育を受けるものとしては落第生だったのかもしれない。

     この他にも今読んでも面白いことが書かれていた。21世紀版を書いてほしいと思ったくらいだ。

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著者プロフィール

金山宣夫(かなやま・のぶお)

1936年、徳島県生まれ。文明評論家。
東京外国語大学英米語学科卒業。ハワイ大学講師、日本総合研究所国際研究室長、アメリカ政府コンサルタントなど歴任。東洋学園大学経営+人文学部併任教授などとして、企業社会論、比較文化論、異文化コミュニケーションについて教鞭をとる。これまでに約120か国に旅行または在住。地域社会や異文化に直に触れることを通して、人生を豊かに生きる方法についての考察を深めている。また、同時通訳の先駆者、インタビュアーとしても、ドラッカー来日の際の講演・対談をアシスト。氏の自宅へ招かれるなど長年の交流・信頼関係を築き、その生き方・考え方に感銘を受けた一人。著書に『比較生活文化事典』全五巻(大修館書店)ほか100冊ほど、また翻訳書に『ハーバード流交渉術』(共訳・三笠書房≪知的生きかた文庫≫)などがある。

「2022年 『ドラッカー 「答えのない時代」をどう生きるか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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