南相馬メドレー

著者 :
  • 第三文明社
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本棚登録 : 88
感想 : 9
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  • Amazon.co.jp ・本 (259ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784476033908

作品紹介・あらすじ

東日本大震災後、福島県南相馬市に転居した作家・柳美里が5年にわたって綴った珠玉のエッセイ47篇。「今日もわたしは、夕陽の赤が静かに広がる南相馬の町を、小声で歌を口ずさみながら歩いています。今、ここに在る、という自分の位置を確認しながら‥‥。」(「あとがき」より)。「南相馬に転居した理由」「漂泊の果てに」「原ノ町─小高駅間九・四キロ」「フルハウス」「女川駅舎の紙製のベンチ」「縁の糸」「最後の避難所」「『青春五月党』復活」「『警戒区域』と演劇」「ある晴れた日に」ほか、月刊誌『第三文明』の好評連載を書籍化。

感想・レビュー・書評

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  • 作家・柳美里さんが福島につくった本屋「フルハウス」 絶望した人の「魂の避難場所」に|好書好日
    https://book.asahi.com/article/14191440

  • 柳美里「人生にはやらなくていいことがある」を読んだら、俄然、南相馬に移住してからのことも詳しく知りたいという気持ちをおさえきれず。「いま、小説に書きたいのは、日々繰り返される生活です。生活の中にこそ、絶望を擦り抜ける小道がある。」というのを地でくように、南相馬で暮らし、と。「痛みを感じつつ住まうことによって人々と繋がり、その繋がりの中で温もりや優しさを日々育んでいるのです」と。地域FMに番組を持ち、地元の高校に授業で出向き、書店を開店し、地元のキャストで劇団「青春五月党」を復活させ、東京公演まで行う様が描かれ、地域に根ざした活動の一端にふれることができる。「静物画」が収録されている戯曲集に含まれてない奏人くんのセリフは心に深く届きました。「全ての生き物は、その個体の欲望を成就させるために生きているのではない。生きる意味や目的は個の内に決して留まらない。個から飛び出し、他へと繋がっている。同じ種の命を繋げ、異なる種の命のリレーにも加わっている。」/田口幹人「まちの本屋 知を編み、血を継ぎ、地を耕す」(ポプラ社文庫)、ファラダ「ベルリンに一人死す」、若松英輔「悲しみの秘儀」は読みたい三冊。

  • 震災後、鎌倉から南相馬に居を移し、舞台や書店開店など様々な活動を行う柳美里さん。
    たくさんの悲しみや喪失に寄り添う姿に尊敬の念を覚える。

    避難所でおにぎりを1日3000個握って手が真っ赤になる、寒い東北でも1週間後の支援物資のおにぎりは腐っていた、車の中での避難生活…

    より現実感を持って震災が迫ってきて苦しくなる場面もあった。知ることには責任が伴うといあ言葉も重い。

    心に残った言葉
    その人が大切ならば、その人を失った悲しみもまた大切なのです

  •  1968年生まれの柳美里さん、2015年、鎌倉から息子と4匹の猫とともに原発から25㎞の南相馬に居住。2015年から2019年までの暮らしを綴ったエッセイです。そのバイタリティと素直な文章に感銘を覚えました。「南相馬メドレー」、2020.3発行。柳美里さんの小説を読むと閉塞感に陥ることが多いし、途中で失速することもありますが、本書の読後感は爽やかですw。角田光代さんとは、ゆうはん、みつよどん、と呼び合う仲なんですね! 柳美里さんは161㎝、北海道の大学に進学の息子丈陽君は186㎝だそうです。

  • 福島県南相馬市に移住した作家・柳美里さんのエッセイ集です。
    被災地の人々というよりも、地域そのものに寄り添う柳美里さんの生き方に、深く感動しました。
    折に触れて読み返したくなりそうな、また続編も読みたくなる良書です。

  • 914-Y
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  • 自分のやりたいことは、自分のうちにある確固たるものではなく、他者とのかかわりの中で、常に流動していくと筆者が考えていると知ってからは、なぜ鎌倉から福島に転居し、書店を開き、お芝居を再開したのか、しっくりきました。特に他人の人生を生きるお芝居の再開は、福島にあったかもしれない別のパラレルワールドを考えてみる方法としても良い選択なのかもしれません。

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著者プロフィール

柳美里(ゆう・みり) 小説家・劇作家。1968年、神奈川県出身。高校中退後、劇団「東京キッドブラザース」に入団。女優、演出助手を経て、1987年、演劇ユニット「青春五月党」を結成。1993年、『魚の祭』で、第37回岸田國士戯曲賞を受賞。1994年、初の小説作品「石に泳ぐ魚」を「新潮」に発表。1996年、『フルハウス』で、第18回野間文芸新人賞、第24回泉鏡花文学賞を受賞。1997年、「家族シネマ」で、第116回芥川賞を受賞。著書多数。2015年から福島県南相馬市に居住。2018年4月、南相馬市小高区の自宅で本屋「フルハウス」をオープン。同年9月には、自宅敷地内の「La MaMa ODAKA」で「青春五月党」の復活公演を実施。

「2020年 『南相馬メドレー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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