会社は頭から腐る―あなたの会社のよりよい未来のために「再生の修羅場からの提言」

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (223ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478000700

感想・レビュー・書評

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  • 『挫折力』が面白かったので、遡って読んでみた。
    その昔、毎日のようにニュースで見た産業再生機構の4年間のドラマはすごく刺激になった。

    P132
    重要なことは、カネボウの意思決定者が、合理的な意思決定を下せるように、プラットフォームをすっきりしてあげることなのだ。

    P146
    経営というのは、基本的に自由裁量行為である。違法行為や反社会的行為は論外だが、何をするのかは経営に委ねられる。執行と監督を分離した取締役会なら、ビジネスジャッジメントの範囲である限り、そこで口出しはするべきではない。

    P152 (株主主権に関する記述)
    マルクスではないが、生産手段、付加価値の源泉は、再び「働き手」、人的資本の側に戻ってきたのである。そんな彼らにとって、納得感のない統治権など、現実には機能しない。観光客に選挙権を与えるような仕組みがあるなら、そこに住む住民は、たまったものではないだろう。

  • 産業再生機構のCOOを勤めた筆者の経営者を語った本ですが、極めてストイックかつ、バランス感覚を持った意見に思いました。

    経営は理詰めで合理的に進めなくてはいけないものだが、いかんせん人間は情に流されやすい存在なので、経営者たるものは合理と情理の両方を極めなくてはいけないとの意見は、経営現場で苦労された方だからこその意見に思いました。

    この本に書かれてある事を踏まえますと、日本大企業にプロの経営者と言えるべきトップはほとんどいないように思います。他の本で筆者が現場の最前線にいる30代に経営者的視点を持つように提言していますが、経営者世代の方がしっかりとした経営者の観点を以てもらえれば、日本の閉塞した状況は打開できるように思いました。

    30代でも組織のリーダーたらんと考えている方は読んでみれば参考になることは多いと思います。

  • 端的でわかりやすい、冨山さんらしい本でした。

  • 2018年(平成30年)11月、カルロス・ゴーン逮捕により、永らく読みかけのまま本棚に積んであった本書の存在を思い返し、最初から読み直した。

    企業再生を生業とした著者の実体験を元に、経営を行う人々の劣化について警鐘を鳴らした書である。

    読み進める中、著者は現在のゴーンの姿を想像していたのだろうか、何を感じ、未来に向けて更にどんな警鐘を鳴らす必要があるのだろうか、あるいは現在の社会を俯瞰して、本書から何を削り、何を書き加える必要があるのだろうか、ふと疑問に感じた。

    警鐘を鳴らしていたのに、カルロス・ゴーンは、結局、瀕死の企業をV字回復させた経営者であるのと同時に、インセンティブの奴隷でもあった。

    残念なことに、製造業の製品品質に関わる社会的な問題が顕在化している。
    しかし、品質は、製品を評価するモノサシのみにあらず、経営を評価するツールとしても利用されなければならない。
    「経営品質」という言葉があったな…
    と、「品質月間」である11月に、読了し感じた事である。

  • 現場で闘ってきた人の重みがある。内容をしっかりと腹に落とし込めることができれば…と思うが、まさにインセンティブのしがらみが頭をよぎる。

  • あたりまえのことをあたりまえにやることが大事。でもそれが難しい。
    所詮、「競争ごっこ」。覚悟・決心は、生温い中からは生まれてこない。

  • リーダーシップと組織経営について著者の実体験をもとに書かれた本。
    産業再生機構での経験を中心に、”現場”と”経営者”、”ゲゼルシャフト”と”ゲマインシャフト”など二項対立で解説されており読みやすい。

    「リーダーとはかくあるべきである」ということはもちろん
    組織を変革するためにはどう行動するべきなのか、など示唆に富んでいる。

    図書に示されているデータには若干の疑問があるものの、
    著者の主張には納得させられる点も多かった。

  • 非常に読み応えのある一冊。ライターの人がまとめているんだろうなぁ、というのは途中からよくわかってしまったんですが(職業病ですね)、それにしてもここまで濃い内容を一冊にわたって綴れるというのは、それだけ濃密な経験をなされている証拠。
    企業再生というテーマは自分の中でもずっと携わってみたいものでもあるので、濃密な本でありながら最初から最後まで熱く読み解くことができました。
    こういう本を読むと、本当に企業の経営者って、それがサラリーマン社長だとしても社員とその家族の人生という重すぎる十字架を背負っていて、毎日仕事しているんだろうなぁと思う。そして自分には人数によらずその十字架を背負える覚悟がないということを改めて感じてしまいます(笑)
    「会社は頭から腐る」と言いつつも、「頭が発展させる」のも事実ですから、現在ワンマン経営者と呼ばれるほど強烈な経営者のリーダーシップで成功を成し遂げているユニクロだったりソフトバンク、楽天などの企業がどのように腐らないでいけるか、という処方せんも今後は求められてくるのでしょうね。「会社を腐らせないために」みたいな。

  • 繰り返し読みたい本。

著者プロフィール

冨山 和彦(トヤマ カズヒコ)
株式会社経営共創基盤(IGPI)グループ会長
1960年東京都生まれ。東京大学法学部卒業、スタンフォード大学経営学修士(MBA)、司法試験合格。ボストン コンサルティング グループ、コーポレイト ディレクション代表取締役を経て、2003年に産業再生機構設立時に参画し、COOに就任。2007 年の解散後、IGPIを設立。2020年10月より現職。日本共創プラットフォーム(JPiX)代表取締役社長、パナソニック社外取締役、経済同友会政策審議委員会委員長。財務省財政制度等審議会委員、内閣府税制調査会特別委員、内閣官房まち・ひと・しごと創生会議有識者、国土交通省インフラメンテナンス国民会議議長、金融庁スチュワードシップ・コード及びコーポレートガバナンス・コードのフォローアップ会議委員、経済産業省産業構造審議会新産業構造部会委員などを務める。主な著書に『なぜローカル経済から日本は甦るのか』(PHP新書)、『コロナショック・サバイバル』『コーポレート・トランスフォーメーション』(いずれも文藝春秋)などがある。

「2022年 『両利きの経営(増補改訂版)』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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