- Amazon.co.jp ・本 (387ページ)
- / ISBN・EAN: 9784478001226
作品紹介・あらすじ
人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、損をすると運が悪かったと思うのか?トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、数学、行動経済学、脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに、金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と、人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物。
感想・レビュー・書評
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著書の書き方が難解で分かりにくい。気になったところを箇条書きにする。
①あまりにも高過ぎるパフォーマンスは一見スキルがもたらしたものであるかのように見えるが、それは間違っている。良過ぎるパフォーマンスは運である。過剰にマーケットに適合するとそうなる。相場というものは参加者が非常に多いので、確率論的にも数年にわたってアウトパフォームできる人間はあり得る。
会社の出世競争もこの類に似ている。運良く開拓できた、自分の在任期間時に大きい案件が決まったなどがあり、在任期間で上位に行くと次の転勤が良くなる。そこでは、良かった人間同士で争う構図になり、顧客、機会などはどんどんその人間に集まるため、一度外れると戻れない。レバ型ETFを買うイメージ。
②高パフォーマンスに陽が当たるのは生存者バイアスが働いている。下手くそは駆逐されている。
③マーケットは短期に捉えると、見えるのはリターンではなくリスクでありノイズである。そこだけを捉えて一喜一憂をすべきではない。
④どんな人間も合理性のみでは生きていけず、必ずヒューリスティック(経験則)で物事を見てしまう。
過去のマーケットがこうだったから、今後こうなるとか、この出来事は過去起こったことがない、とかいう出来事は意外と頻繁に起きる。
⑤確率と期待値を混同してはいけない。例えば1000回で999回は1ドル儲かるけど、1回は1万ドル損する取引は行うべきだろうか?
期待値は-9.001ドルになり、行うべきではない。計算すればわかるのに、目先の利益に走っていないか?詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
投資。金融。確率。
冒頭では一応エッセイであると書かれている。
直接、投資に関係する内容は意外と少なめ。
著者が非常に博識な人のようで、哲学的だったり文学的だったりして、内容はかなり難しく感じた。
しかし、理解できた部分はかなり面白い。
投資的には、ストップロスと損小利大がとても大切。
リスクの重要性と、人間が確率をどれだけ理解できないかが学べた。 -
タレブ本は3冊目だけど、まあ、本人が好き勝手に書いてるだけに読み易くは無い。
投資のプロのおっさんの1人で、かなり癖が強い人な印象。そのおっさんと飲み屋で一方的に話されてるって思いながら読むと良いかも。 -
めちゃくちゃ雑になるけど、一言でまとめると「世の中には我々が思ってる以上に偶然で溢れていますよ」という話。人間の情緒的(本能的)の観点と、確率論の観点を実に見事に掛け合わせて、とてもわかりやすく例が述べてあって非常に面白かった。
人は勝者にのみスポットライトを当てて(生存バイアス)、運悪くドロップアウトしていった何倍もの人のことは見ずに、偶然が重なって成功した様に見える人を見て、後付けで彼はこれこれだったから成功したと勝手に囃し立てる。その人過去の実績のみを見てこの人は将来の実績も大丈夫と判断しがち。だけど、もしかしたらその次に黒い白鳥(ブラックスワン:稀にしか起きない出来事)がやって来て吹き飛ぶかもしれない。こういった本当は偶然で成功を手に入れた人に限って自分の実力でここまで来たと思いがち。うまくいったら自分の実力、悪かったら稀な出来事というのが決まり文句。例えば、無限の猿をタイプライターの前に座らせて適当にタイプさせた時、いつかは1字1句間違わずに何かの本をタイプできる猿が現れる(確率論的にはいつか必ず現れる)が、あなたはその人が次に適当にタイプを叩いて違う本をタイプできる方に賭けないですよね。大事なのはその人の実績ではなく、何人の中で生き残った猿かという事(5匹の猿を置いてタイプをやってのけたのならその猿は本物の可能性が高い)。
人は合理的に考えているつもりでも、実は情緒的な考え方をしている。大事なのは自分で自分のそういった性質をちゃんと認識した上でランダム性に立ち向かうこと。偶然に左右されない尊厳・品位を持つ事(偶然に翻弄されてどうしようもなくなっても周りに愚痴を言ったり、取り乱したりせず品位を持つ)。
本当に筆者の伝えたかったのは最後の部分だったのではと感じた。良書。 -
人間は感情の生き物だ。
高度な数式を解けるのに根拠のないゲン担ぎをしたりする。
無意識に心理的な動き、感情的な心の動きに行動・思考が左右されてしまうらしい。
購入した株価が上がったら、あたかも自分は将来が読めていると思いたくなる。
再現性があるのが科学、反証できるのが科学で、世の中にはそれ以外のエセ科学がどれだけ蔓延しているかを著者は懸念する。
統計も解釈。心理が働く。
確率とは、自分が確実なことがわからないことに気づく方法だそうだ。
まぐれにだまされない理性が自分にはあると耳を塞ぐよりも、まぐれにだまされてしまう感情の生物と認識したほうが良さそうだ。
今信じている常識や理論は将来には反証され間違っているという認識になる可能性があるかもしれない!?
トレーダーである著者は、心理や哲学のお話に興味があるようだ。 -
以前、一緒に仕事をしていたSさんという方がいた。
Sさんは寡黙に仕事をするタイプだが、テクノロジーに関する造詣が深く
また、スクリプトなんかをササっと組んでくれるので
私は問題に直面するといつもSさんに相談していたものだ。
そのSさんは、競艇好きだった。
持ち前のプログラミングを生かして
自作の「あたるくん」という予想プログラムを作っていた。
インターネットの情報サイトから、レースの情報をダウンロードしてきて
戦績、枠順、年齢、出身地etcの情報に重み付けをして
最終的な予想を自動的に行うプログラムである。
Sさんが自分の予想アルゴリズムを注入しているので
「あたるくん」の予想と自分の予想は大体一致するらしいのだが
たまに「あたるくん」が自分とは違う予想を出してくることもあるらしい。
そんな時は「甘いぜ、あたるくん。正解はこれだ!」と自分の予想を推すらしいのだが
結果は、自分が勝ったり、あたるくんが勝ったり
まあ色々だそうだ。
ギャンブルの世界には、過去の情報の分析が腐るほどある。
でも、明日の勝負にはきっと役に立たない。
不確実性が高いからだ。
というか、先が読めないように
わざと不確実性が高くなるように状況を設定してあるからだ。
本書のオビより引用
投資は運か実力か?
人はどうして、投資で儲かると自分の実力だと思い込み、損をすると運が悪かったと思うのか?
トレーダーとしての20年以上にわたる経験と、数学、行動経済学、脳科学、古典文学、哲学等への深い知識と鋭い洞察をもとに
金融市場や日常生活において偶然や運が果たしている隠れた役割と
人間の思考と感情との知られざる関係を鮮やかに描き出す最高の知的読み物!
著者は「ブラック・スワン」が世界的なベストセラーとなった
ナシム・ニコラス・タレブ。
ウォール街の金融トレーダーから
学者・随筆家・哲学家に昇華していった特異な経歴の持ち主である。
本書は書評が難しい。
404 blog not found の小飼弾氏の書評はこんな感じで始まる。
「真の『迷著』」と私は書いた。
ただしここでいう「迷著」は「トンデモ」とか「世迷いごと」という意味ではない。
「迷いながら、悩みながら読むべき本」という意味である。
BGMは「迷い道」がおすすめ。
迷いながら迷った挙句に本書の内容を一文にまとめると
タレブに言わせれば、
数理モデルに基づいたアルゴリズム取引も、Sさんの「あたるくん」も大差はないってことかな。 -
Black swan書いた人の前著だった。
確率苦手で、ほとんど理解できてない気がする。唯一、平均年齢75で今50歳だったら、その人の予想寿命はもっと長い という例が分かりやすかった。
確率に対する日々の思い違いはかなり多いのだろうなぁ。 -
ちょっと難しい。結果とその原因や発生する確率、リスク調整後のリターンなどをみないと本当にその行動や選択が良いものなのかは判断できない。確率の大きさとインパクトの大きさに広く深く思考をして、選択をしていくことで大きな成果が得られることもある。
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「株式投資の本で有名なものを」と借りてきたが、同時期読んでたマルクスアウレリウスの「自省録」のおかげで共感がより深くなった(気がする)。
てかほんとこれですよね。職場は私を除いて美貌の太実家高学歴体育会系が多かったですけど多くの人がこんなマインドセットのようでした。
まぐれ。そう、まぐれ。 -
著者は独特の書体であり、性格もよく現れた文章を書く。運を実力と勘違いしている投資家が非常に多く、やがて全財産が吹き飛ぶ。ダーウィンの進化論に見立て運に頼っている投資家はやがて吹き飛び絶滅するなど内容は非常に面白い。何度も読みたいし、ブラックスワンも読んでみたい。