|新訳|科学的管理法

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (175ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478009833

作品紹介・あらすじ

フレデリックW.テイラーは19世紀末、このように述べた。「マネジメントの目的は、雇用主に限りない繁栄をもたらし、併せて、働き手に最大限の豊かさを届けることであるべきだ」テイラーが実践的な研究をもとに示した、それを具現化するマネジメント手法とは…。

感想・レビュー・書評

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  • マネジメント、改善活動の原点とも言える一冊。IE的な行動観察、動作分析をベースとした改善活動、マネジメント手法について興味深く、学ぶべき点が多い。組織のリーダーやマネジャーは、一度は目を通されることをオススメします。

  • 出会えて良かった本です。
    科学的とは、①一連の作業を一つの単位になる要素に分けて、②作業名をつけて、③平均的な作業者が作業にかかっている時間を計測して、④生産性が最も上がるように組みなおすこと。
    この作業分析の結果として作られるのが標準手順であり、それをコーチして作業者に学習させ、手順と動作を訓練する。そして、より短い作業時間で実行できるよう日々改善をはかっていく。
    100年も前に書かれた本とは思えず、今だからこそ読んで実践していかなければならない内容でした。

  •  著名なテイラーの科学的管理の古典である。教科書的には必ず名前が出てくるが、けっこう短いので一度古典にあたるのもよいかと読んでみた。意外に読みやすく翻訳されている。何とこれが書かれたのは第一次大戦以前で、日本ではまだ明治末期とのことだが、すべてが古いとは感じられなかった。
     一般的なテイラーの科学的管理のイメージはストップウォッチを持っていかに効率的な動作をすべきかの研究という側面に偏っていたが、実際に読んでみるとほかの面もかなり強調されていることが印象的だった。
     特に現代的にいえばチェンジマネジメントに相当するような点である。「自主性とインセンティブを柱としたマネジメント」においては、マネジャーは働き手の経験に任せて丸投げであったのに対し、科学的管理法ではマネジャーと最前線の働き手が役割分担を行う。マネジャーは科学的な観点から人材の採用、訓練、指導を行うし、各人の具体的な作業計画も作成実行することが求められる。だから表面的に手法を導入しても駄目で、マネジャーと働き手がともに考え方を改める必要があり、そのためにはかなりの長丁場で組織変革していく必要があるとのこと。
     またその他印象的なのは、いかに人に向き合っていくかが強調されている。まず人材の選別をすることが重要視されていること。また労使がWin Winとなるような賃金設定をしつつ、マネジャーも働き手に対して特別に気遣いをすることが大事とされている。手法の導入だけで会社の利益ばかり優先されていたりすると、すぐにストライキなど起こされるリスクについて口をすっぱく注意している。

  • 科学が経験則を超える(可能性がある)というのは、今の仕事をする上で非常に希望のある言葉でした。逆に戒めにもなります。

  • 前評判として「科学的手法による作業効率化を追求した結果、働き手の人間性を軽視したマネジメントを推奨している」との反論を見かけた。
    しかし読了後、実際はその逆だと痛感した。
    「雇う側の繁栄・雇われる側双方の人間らしい生活」を目指した名著だと思った。
    アバウトだが、今自分が売っているITツール=科学的手法と捉えると尚更しっくり来る。
    繰り返し読み返したい。

    以下、実践したいアクション。

    ◎アクション
    ・チェンジマネジメントの文脈で、下記質問を顧客に適用〜施策を練る
    (組織的な意識改革+ツール導入が揃って初めて、長期的な従業員のエンゲージメント向上や利益向上に繋がり得るため)

    →実務の計画〜実行に関して、マネージャーは働き手の経験に頼り切っていないか?マネージャーも等しく責任を負っているか?(科学的な観点からの人材の採用、選別、訓練、指導、各人の実務計画作成等)

    →マネージャーが科学的手法の浸透を目的とした、働き手へのコーチングを粘り強く行っているか?

    →マネージャーは、働き手個々人の短期的なインセンティブ(=モチベーションの源泉)を心得ているのか?

  • 販売するプロダクトが決まっていたり単純作業には直接活用できる。複雑系の仕事でも、マネージャーの考え方を統一する教科書になる。

  • 1911年に出版された、すべての経営学の原点とでもいうべき本。

    だが、テイラー主義という言葉は、ネガティヴに使われることが多くて、作業効率にフォーカスすることで、20世紀前半の大量生産システムを推進し、働く人の人間性の喪失につながった、といった批判が多い。

    個人的には、「科学的」という言葉が、また、いやなところで、人間科学、社会科学においては、自然科学ほどの法則性は求めようもなく、「科学」の中立性、客観性は、社会的構築、ディスコースだと思っている。

    一見、価値中立的な「科学」という言葉を使うことで、資本主義のイデオロギーを見えなくしている、と思ってしまうわけだ。

    だが、テイラーについては、ドラッカーは、評価しているし、わたしもしばしば言及される古典的な本については、できるだけ原著(もちろん翻訳)を自分で読むことを大切にしているので、一応、読んでみた。

    本文は、160ページくらいで、思ったよりも短いし、内容もそんなに難しくはない。新書一冊読むより短い時間、集中すれば、多分、2時間くらいで読めるんではないだろうか?

    前半は、「科学」という言葉のイデオロギー性とか、ブルーカラーの労働者に対するX理論的な表現とか、マネジャーが、現場からやや離れて、机で科学的な方法で業務プロセスを分析して計画化するみたいな記述に反感を持ちながら読む。

    まあ、当時は、労働者が自分の仕事がなくなると馘になってしまうという恐怖から、みんなで怠業することが一般的だったということなら、なんらかの規律を持ち込むことは、必要だったんだろうな〜とは思う。そこはわかるが、やっぱ、テイラー古いな〜という感じ。20世紀の初めだから、仕方ないか〜、みたいな感覚であった。

    ところが、半分くらいを過ぎたところで、だんだん面白くなってくる。テイラーも、労働者が人間的な生活を送ったり、仕事を通じて成長したり、創意工夫したりすることを大切にしていたことがわかる。テイラーの管理手法は、そういう状態との乖離が激しい当時の状況を改善し、労働者が、真に人間的な状態になるための入り口を作ろうとしていたのかな?と思えた。

    そういえば、テイラーを高く評価したドラッカーのMBO(目標管理)も、原著を読めば、労働強化のためのツールではなくて、働く人が自主性をもって自ら目標を設定して、それへの努力を通じて、成長したり、自己実現できるようにするための方法論だったことがわかる。テイラーの科学的管理も、その哲学は忘れられ、その「科学的」なツールだけが管理手法として普及してしまったんだな〜。

    また、理論が先にあるのではなく、現場の観察を起点に考えていくというところも、「科学的」な「態度」として、納得する。(わたしが、「科学」を批判するのは、ほんとは「科学的」でもないことを隠蔽するために「科学」を詐称すること)

    事例として出てくるのが、ブルーカラーが中心で、今、読むと疑問も湧くのだが、そこは、これは100年以上前の世界はこんなものであったと距離をおいてみれば、やはり、これは「古典」として、読み継がれるべき本だと思った。

  • 110年前の著書。
    今でも通用する。
    全く色褪せない。


    ただ、エンドユーザーに有益ではあっても
    労働者の給料をどうにか豊かにできないものか‥。


    どんどん貧富の差が開いてゆく。

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