ブルーエコノミーに変えよう

  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (360ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478013625

作品紹介・あらすじ

ブルーエコノミーとは、自然生態系から着想された経済モデルであり、「成長の限界」を克服し、「ゼロ・エミッション」を実現する、すべての人々が待ち望んでいた理想的な21世紀の経済と環境のビジョンである。カスケード(連鎖)的に利用することで持続的なビジネスを実現できる100個の技術的イノベーションを紹介し、そこから、競争型のレッドでもなく、援助型のグリーンでもなく、連鎖型のブルーエコノミーを実現し、10年間で、1億人の雇用が創出できることを説く本著は、現代人にもたらされた必読の書である。

感想・レビュー・書評

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  • 単一目標達成スキームでは財政も社会保障も破綻する
    複数の資金調達機械を含む総合的な計画によって、多様な課題に同時に対処する複合的なやり方への転換が必要。
    これがブルーエコノミーである。
    健康、人、環境に有益なものを、低コストかつ手に入る資源で実現するためのアプローチ

    自然の摂理の活用。

  • ビジョンを示すリーダーはこのくらい夢あふれる語りであるべきなのだろう。簡単なことでないのは明らかでも、これがきっと向かうべき方向だ、と感じさせる。
    「プロセス」「原材料」「生産物」「成果」で組まれるフローチャートは思考方法として参考になる。

    [more]<blockquote>P013 おそらく京都議定書の最も重大な欠点は、ただひとつの持続可能性の問題、即ち炭素排出量への対処だけを狙いとしていることである。ただひとつの目標を掲げた政策と戦略はほぼすべて、コスト負担があまりにも重いという共通の問題を抱えている。

    P050 ビジネススクールの古い教えに基づいて操業している企業は今も多い。その中では、既成概念から踏み出すことは勧められない。

    P051 競合他社を圧倒する強みというコア・コンピタンスの盲目的な追求は、企業を社会の倫理から切り離し、道徳面での二重規範を作ることさえある。驚くことに、自社の活動による「悪影響が少ない」ことを、まるでよいことをしているかのように結論づける企業は少なくないのだ。

    P064 私たちは生分解性が持続可能性と同一ではないことを学んだ。貧困層の生活や、霊長類の命をリスクにさらすグリーンソリューションは、道徳的、倫理的に受け入れがたい、別の形のグリーンウォッシング、環境偽善にすぎない。

    P071 生態系は周りにあるものだけを使い、簡単に入手可能なものでニーズを満たすのだ。その土地の生物多様性があってこそのものであるため、生態系では標準化はほとんど役に立たない。結局のところ、生物多様性は文字通り多様性を基盤にしているのだ。

    P074 「自然のMBA」つまり生態系の「見事な適応力」は、資源や存続に必要なものを消費する代わりに、この惑星の物理の力を利用している。「自然のMBA」はとにかく驚異的でその成果は魅力的である。

    P115 シマウマは縞模様の相互作用によって生じる空気の流れで、体表温度を8.1℃下げることができる。

    P164 すべての惑星が太陽を中心に回り、太陽に頼っているというのに、まるで宇宙には他にやることがないかのように、一房のブドウを実らせる−ガリレオ・ガリレイ

    P233 自然では、非や燃焼はどちらかと言えば例外だ。乾物顔料が50%でも、燃焼によって処理することはない。人間は、廃棄物とみなせば何でも、水でさえも安易に燃やそうとする。取り扱いがわからないものは、何でも燃やす。

    P284 私たちの周りに豊富に存在する微小なエネルギーを活用する時代がきたのだ。これこそが、まさしくブルーエコノミーが提案していることである。</blockquote>

  • ・生態系を模した原材料、栄養分、エネルギーのカスケード(連鎖的)接続
    ・必要だったものを不要にする技術
    ・接続可能性を支えるプラットフォーム技術
    ・とてもユニークで検討すべきアイディア

    の4つに分けて、事例を説明。

  • グリーンの次はブルーエコノミー

  • ああ、これは夢が拡がるいい本です。
    すべての血の気の多い、そして悪いことよりはいいことをする方がうれしい野心家(企業家でも政治家でも)の人、これから社会の中枢となる若い人たちに読んでほしいなあ。そして片っ端からやってってくれないかなぁ。
    カテゴリーを「実用」にしたのは、実用であってほしいから、であります。

    「ブルーエコノミー」は、自然をお手本とした、連鎖によっていくつもの利益を得ることができる新しいかたちの経済モデル。

    いわゆる「エコ(ロジー)」なことを考えると、手間とお金をよけいに使ってでも自然を守りましょうというようなところがあって、なんかもやもやします。こう、自然派とつけばなんでもちょっとお高くて当たり前、みたいなね。その分はちょいといいことやったった的な自己満足でおつりがでればいいですけれどもね。
    あと、実は本当にそれが自然にいいことなのかもよくわかんないしなあ。

    「ブルーエコノミー」はあくまでビジネスのお話なので、ちゃんと採算を考えます。自然のシステムを元にすれば、廃棄するものなんてない、というのが基本的な考え方で、いちいちなるほどなあ、と思ってしまいます。そしてかならずそのことによって雇用が確保される、というのも私の好みです。
    あまりにたくさんの例が羅列されているのでちょっと途中でだれてしまいましたが^^;

    最後に「日本を脱原発で経済再生させる」という章があります。
    本当に、権力と実行力のある人に読んでほしいなあ....
    あのね、検討するだけでもいいんです。「反・反原発」の人たちってもう最初に原発ないと絶対だめでしょ、これだから無知蒙昧な輩はみたいな前提で話すでしょ。読売新聞の社説の人とか編集手帳の人とか、とりあえず読んでください。

    追伸:孫さん、頑張れ。そしてよろしくお願いします。

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著者プロフィール

世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)で「21 世紀のリーダー」の1人に選出されたサステナビリティ分野の起業家。廃棄物の排出をゼロにする「ゼロエミッション」や、海洋を保全しながら経済活動に結び付ける「ブルーエコノミー」の提唱者。1956年ベルギー生まれ。聖イグナチオ大学経済学部を卒業し、1991年に世界で初めて「ゼロエミッション」の考えを取り入れた洗剤工場を建設。94~97 年に国連大学学長顧問として「ゼロエミッション構想」を提唱し、多くの企業に影響を与えた。96年に国連開発計画(UNDP)とスイス政府の出資で「ゼロエミッション研究構想(ZERI)財団」を設立して代表に就任。ローマクラブ会員。

「2020年 『海と地域を蘇らせる プラスチック「革命」』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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