文明の子

著者 :
  • ダイヤモンド社
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  • Amazon.co.jp ・本 (312ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784478017715

感想・レビュー・書評

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  • 前作のマボロシの鳥では、何かのオマージュ短編で構成され、全体として何か物足りないものを感じた。
    だが、今回の文明の子では、ちりじりにみえる短編が、ある大きな物語として展開していることに違いがある。
    私たちがつくりあげてきたこの世界を、終わらせるのか、それとも続けるのか、問うことからこの物語は始まる。文明は破壊され、そして次に繋ぐことの意味を最後には訴える。文明を光のようにとらえることによって、この世界を強く肯定する。そのことに強く心打たれた。今、見えている星の光のその星は存在しないかもしれない、という言葉をくつがえし、いま、見ている星の光は永遠に続いてゆくことの美しさに焦点を当てる。美しい作品だった。

  • 表題作は、ご存知、爆笑問題太田光の小説第二弾「文明の子」です。

    この小説は、「人間とは」、「生きるとは」、「愛とは」といった事や

    ある種の正義が大勢を占めた時に切り捨てられてしまう何か、

    といったものを著者独特の無垢な感性でとらえ表現しています。

    正直、「小説」としての巧拙は、私にはわかりませんが、

    著者の表現者としてのストレートな愚直さや無垢な感性は、

    巧拙を超えて、読み手を小説の世界に引き込んでいきます。

    また表現の形は小説ですが、著者の想いと向き合う中で

    様々なことを考えさせられる(考えずにいられない)という意味では、

    ある種の哲学書ともいえます。

    名作、手塚治虫「火の鳥」と似たようなの読後感を得られました。

著者プロフィール

一九六五年埼玉県生まれ。八八年に田中裕二と「爆笑問題」を結成。二〇一〇年初めての小説『マボロシの鳥』を上梓。そのほかの著書に『違和感』『芸人人語』『笑って人類!』などがある。

「2023年 『文明の子』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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